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業界研究

化学・石油

概要

主に石油などの原材料に、化学反応を利用した分解・合成・発酵などを加えることで新たな製品を製造し、幅広い産業に販売する化学・石油業界。
新興国との競争が激化する中、多角化を図る動きが活発になっている。

化学・石油業界

化学石油素材をメーカーに届ける

化学石油素材というと難しいが、簡単にいうとプラスチックや合成ゴム、合成繊維などのこと。

これらの化学石油素材は、コンピュータなどの液晶フィルムやペットボトル、洗剤、洋服や携帯電話など、生活に密着するあらゆる製品の材料として使われている。

そのため、プラスチック加工や繊維メーカーなど、その素材を必要とするメーカーに、素材を届けるのが石油化学会社の仕事だ。

ナフサ(ガソリンの1種)や天然ガスなどからプラスチックやゴムなどをつくる「石油化学」と、デジタル関連素材など付加価値の高い化学製品をつくる「機能性化学」に大きく分かれる。

リーマンショックの影響から立ち直り、上昇基調にある化学・石油業界

2016年3月に公表された経済産業省の工業統計調査(産業別)によれば、国内の化学工業(医薬品を含む)製造品出荷額は、2007年・2008年は28兆円程度であったが、リーマンショックの影響で2009年は24兆円規模にまで激減した。

2010年から2012年まではアジア向け輸出や国内需要の回復もあり、26兆円規模にまで回復。

2013年からは世界的な景気回復もあって再び上昇基調となり、2013年の出荷額は27兆4,092億円、2014年は28兆1,230億円となった。

また、石油製品・石炭製品製造業についても同様の傾向にあり、2008年に14兆円以上あった出荷額はリーマンショックの影響で2009年に10兆円規模にまで急落した。

しかし、翌2010年には2008年の出荷額をクリア、旺盛な需要に支えられてその後も順調に出荷額を伸ばしている。

2013年の出荷額は17兆6,756億円となり、2014年はさらに1兆円多い18兆6,591億円となっている。

国内需要は減少傾向だが世界需要は年率3.4%で拡大

経済産業省の「世界の石油化学製品の需給動向(対象期間:2006〜2019年)」によれば、石油化学製品の基礎原料であるエチレンの生産量は、中国を中心とするアジア地域の需要拡大が好材料となって2007年に過去最高の774万トンに達したが、2008年のリーマンショック以降は需要が急激に減退し、エチレン生産量は前年比11%減の688万トンにまで減少した。

2009年は691万トンと落ち着き、2010年はアジア向け輸出の拡大、各種需要喚起策による内需回復などから、エチレン年産量は3年ぶりに700万トン台を記録した。

2011年は、震災影響による石油化学製造設備などの一時的な停止や、ユーザー産業でのサプライチェーンの寸断などから生産が停滞したことに加え、歴史的な円高による輸出の低迷、汎用樹脂製品の輸入増加、在庫調整の長期化によりエチレン生産も大きく低迷し、前年比5%減の669万トンに下落、2012年は615万トンとさらに下落した。

この間中国は年率8〜9%の勢いで生産量を拡大し、国内勢との競争は激化。

2013年は669万トンとようやく盛り返したが、2014年については665万トン、2015年は655万トン、2016年は637万トンと、2013年から2019年までは年率で1.6%のマイナスと見込んでいる。

ただし、世界的に見ればエチレンの需要は拡大傾向にあり、2013年には1億3,333万トンだった世界需要の総合計は、3.4%の率で増加し2019年には1億6,321万トンにまで拡大すると予測している。

原油価格に大きく影響をうける原料ナフサの価格変動

日本の石油化学工業は、主な原料としてガソリンの一種である「ナフサ」を使用しており、その5割以上をサウジアラビアやUAE、韓国などから輸入している。

「ナフサ」の価格は基本的に原油価格と連動しているため、2007年以降の原油価格の急上昇にともなって大幅に上昇した。
リーマンショック後は一気に下落したものの、世界経済は2009年春から夏にかけて最悪期を脱し、2010年の時点でナフサ価格は上昇した。

2012年4月、アジアでの旺盛な需要の盛り上がりに加え、中近東情勢の緊迫によりその価格はピークを迎え、一気に1キロリットル6万円台に。
それによりメーカーの中には製品価格の改定を余儀なくされたところもある。

当面の間、衰える気配がないと思われたが、5月以降順調に価格が下落し、8月には1キロリットル4万円台となった。

その後は4月程ではないものの、再度上昇傾向にあり、2013年はほぼ年間を通じて1キロリットル6万円台で推移した。

ところが、2014年の中ごろから原油価格が急落。
それまで、WTIで100ドル以上で取引されていた原油価格は2014年12月には50ドル台を記録し、2016年初頭には20ドル台まで下落した。

そのため、2014年は円安で輸入価格が上がったことなどから上昇し、7万円台でスタートしたナフサ価格だが年末には6万円台に下落。
2015年は、原油価格に連動し4万円台での取引が続いたが、2016年の第一四半期では3万円台にまで下落している。

このように原料価格の変動が激しく、各社とも収益の安定を図るためには「ナフサ」以外の原料を使う割合を高めることも必要だと考えており、そのための研究・努力を行っている。

WTI:ウェスト・テキサス・インターミディエイト(West Texas Intermediate)の略で、アメリカ南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称。世界で産出される原油の1〜2%程度だが、ニューヨーク・マーカンタイル取引所 (NYMEX) において取引が行われており、その価格は世界の原油価格に大きな影響を与える指標として知られている。

次世代向け素材の開発が注目される

今後、ニーズが高まりそうだと注目されているのは、太陽電池に欠かせないシリコンウエハー素材。

電池交換や配電線が必要なく、環境にも優しい太陽電池は、ますます需要が高まりつつあるため、化学石油業界では太陽電池向け素材の開発競争が激しくなっている。

また、地球温暖化や人口増加で世界的に水不足になっており、水処理膜を使った水の浄化技術も注目されている。この水処理膜素材向けに、化学石油業界は素材を提供している。

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豆知識

シェールガスが石油化学業界に及ぼす影響

シェールガスとは、泥土が堆積した頁岩(けつがん=シェール)層から採取する天然ガス
従来のガス田とは異なる場所から採れることから、非在来型天然ガスとも呼ばれる。

採掘が難しいので放置されてきたが、近年技術革新が進み低コストでの採取ができるようになり、低価格での天然ガス供給が可能となった(シェールガス革命)。

エネルギーとしてはもちろん、石油化学原料としての活用も期待されている。

業界に与える影響は大きく、主に米国から競争力の高い製品が流入してくるなどの脅威がある一方で、天然ガスへの転換が進むことで、液化石油ガスの余剰による原料コストの低減がはかれる、などのチャンスも指摘されている。

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業界関連用語

●シリコンカーバイド
メモリーチップやICなどの電子部品の製造に欠かせない半導体シリコンチップ。

微細加工技術の進化で高密度化してきたが、大幅な特性改善は限界に近づきつつある。

そのため、近年はシリコンカーバイド(シリコン=ケイ素と、カーバイド=炭素の化合物)を使った半導体の開発や研究に注目が集まっている。

従来のシリコン製品と比べると、高温にも耐え、損失も少ないことから、より一層の機器の小型・効率化が実現できる。

鉄道車両に採用すれば、大幅な省エネを実現できることも明らかになっており、エレクトロニクス機器の新たな領域を導く牽引役としての期待も大きい。


●吸水性ポリマー
自重の数百倍以上の高い水分保持性能を持つ高分子のことで、紙おむつや生理用品などの吸水材として多く使われている。

砂漠に設置した吸水材を使って植物を育てることも可能で、砂漠緑化の切り札としても注目された。

また、水を吸収することで膨張する性能を活かし、止水材として応用されている例もある。


●アクアマテリアル
東京大学の相田卓三教授らが開発した、98%が水でできている新素材。
固まると適度の硬度を持ち、型にはめて自由な形に加工することもできる。

また、アクアマテリアル同士を張り合わせると分子同士が接合するという特長もあり、様々な用途での活躍が期待されている。

従来のプラスチックは石油を原料に作られており、決して環境に優しいとはいえなかった。

アクアマテリアルが今すぐプラスチックに置き換わることは困難だが、環境に優しい素材として大いに注目をあびている。

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どんな仕事があるの?

営業
化学素材を、顧客である素材メーカーや卸会社に提案・販売する。

●資材調達/購買
各工場やプラントからのニーズをとりまとめて、国内外から原料や薬品を仕入れる。

商品開発
既存商品を改善するほか、新商品の企画を立てて、試作や開発を行う。

基礎研究
次世代向け製品に役立てるため、最先端技術の研究を行う。

生産管理
スケジュールや計画を立てて、スムーズに生産できるよう手配をする。

プラント/設備設計
製品をつくるための工場やプラントを、スタッフがスムーズに効率よく働けるように設計する。

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