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近年の業界の動向と予想される未来

“おもてなし力”オンリーから、“おもてなしをビジネスにする力”へ

ここ20年くらいの間で、日本のホテル業界は大きく変化しています。外資系ホテルチェーンの参入、IT革命、ホテルの金融商品化(資産運用の対象になって売買されている)などが主な変化の理由であると考えられます。そして、最も大きな変化のひとつは、ホテル業界人に求められることが、「サービス力、現場のオペレーション力から、ビジネス力に」変わっていることではないでしょうか。

過去数十年前までのホテルスタッフに求められてきたことは、一人ひとりのお客様を大事にして上質なサービスを提供し、円滑な運営をして、ブランドを維持することだけだったといっても過言ではありません。親会社からは「利益よりも上質なサービスを。赤字にならない程度にビジネスをすればいい」と多くのホテルが言われていたのです。

ところがバブル崩壊以降、親会社の業績不振、連結決算の導入、ホテルの金融商品化などにより、ホテル業界全般が「ブランドを維持することも大事だが、それ以上にビジネスも大事」という方向に転換を余儀なくされます。特に不動産投資ファンドが買収したホテルにおいては、顧客満足よりも利益のほうが重要視され、より厳しくビジネスを遂行して利益を出していかなければならなくなりました。

ビジネスを遂行するマネジャーが必要とされている

皆さんが想像される一般的なホテルマンのイメージというと、フロントクラークやベルマン、コンシェルジュやソムリエといったサービス職人だと思います。もちろん、そうした現場を支える職人的サービスマンの存在もとても大事ですが、上記のような理由から、ビジネスを遂行するマネジャーを、業界はいま必要としているのです。

国内外のホテル業界をよく知る人が口をそろえて言うこと、それは、「日本のホテルのサービスは世界一。しかし、マネジメントレベルが低いのでビジネスとしては厳しい業界になっている」。日本人は真面目で一生懸命働く。細やかな気配り、ホスピタリティにあふれた接客ができる。ところが、その上質のサービスを利益に変える仕組みやノウハウがまだまだ日本には不足しているのです。そこを構築していく人こそ、プロフェッショナルホテルマネジャーです。ホテル業界では、そういう人のことを「ホテリエ」と呼びます。これからホテル業界を目指す方は、ホテリエも選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。

独立系ホテルが減り、チェーンホテルが増加する

ビジネス面重視への変化により、「おもてなしを利益に変えられないホテル」は、淘汰されています。規模の小さい独立系ホテルは、廃業を余儀なくされるか、買収されるか、チェーンホテルの傘下に入るか、看板をチェーンホテルのブランドに架け替えざるを得なくなっています。

外資系ホテルは90年代に合併を繰り返し、米国を地盤とするヒルトン・ワールドワイド、マリオット・インターナショナル、スターウッドホテル&リゾートなどメガチェーンが形成されています。日本のホテルはオーナーによる直営が多いのが特徴ですが、ただ日本国中で「外資系ホテルの看板や、東横インやアパホテルといった大手ビジネスホテルチェーンの看板が目立ってきている」ことにお気づきの方もいらっしゃるかと思います。

独立系ホテルが減少し、チェーンホテルが増え続けています。これは、ホテルというビジネスが、成熟するに従い、より卓越したホテルマネジメントのノウハウが勝負を決め、規模の経済(スケールメリット)が効かせられるようになったためです。おもてなし力があることは前提として、同時にビジネス力が求められる時代に突入していることは、自明の理なのです。

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