上智大学

上智大学
学長

杉村 美紀

杉村 美紀写真

岡山県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部教育学科卒業。東京大学より博士(教育学)学位取得。専門は比較教育学、国際教育学、多文化教育論。2025年4月より現職。

夢への第一歩になったセミナーでの国際交流。

目標を叶えるために大学院へ

学生時代を過ごしたのは、1980年代。男女雇用機会均等法が施行されるなど、働き方の意識に変革がみられた時代で、大学では女性学の研究が進んでいた。私自身はというと、入学後、大学で出会ったそれぞれの具体的目標をしっかりと持つ友人たちに刺激を受け、改めて大学で学ぶ意味を考えるようになっていった。
そうして出会ったのが、国際的な文化交流と教育交流というテーマ。漠然と「国際交流に携わる仕事をしたい」と考えるようになり、大学院進学を決意した。将来にも影響を与える大きな選択だったが、好きな道を選べたのは、家族や友人の応援や、先生方の指導があってのことだったと改めて思う。

友人たちと共同でプロジェクトに挑む

大学院時代の私が没頭したのは国際連合大学主催の「国連大学グローバルセミナー」への参加である。“グローバル”という表現がまださほど一般的ではなく、留学やスタディーツアーのプログラムなども少なかった当時、このセミナーは国際機関の職員や海外の大学の教員による講演を聞き、専攻の異なる様々な大学の学生たちとのネットワークを築く貴重な機会だった。
有志によるセミナー後の勉強会も、実に楽しかった。国際的に活躍されている講師の方々とお会いできたときには感激したし、英語で活発に議論をする友人たちの姿からも、大いに刺激を受けた。普段の授業の面白さとはまた異なる、多くの学びがそこにあった。終了後にみんなで寄り道をして、夕食を共にしたことも、忘れられない思い出になっている。
研究職に進む際も、この時の友人たちの助言と励ましが背中を押してくれ、海外在住の際や子育て中も研究会や学会への繋がりを築いてくれた。ありがたいことに40年近く経った今も、共同研究等を通じて交友が続いている。

「他者に寄り添い、ともに歩む」

結果的に、私は学生時代、取り組みたかったことの多くに挑戦し続けてきた。比較教育学や国際教育学の教育や研究、ユネスコチェアなど国際交流に関わる活動やグローバル推進担当として協定校との交流や新たな協定の交渉、さらに国際専門家会合の委員としてユネスコの勧告改定のための草案づくりなど、貴重な経験を重ねることができた。大学運営に携わり、その過程でも国際交流に従事することになったことは、学生の頃には思ってもみなかった側面だ。
自らの没頭を振り返ると、歩みを進めるときには、いつも誰かが支えてくれた。感謝の気持ちを通じて学んだのは「他者に寄り添い、ともに歩む」という心のあり方である。それを大切にすることで、自身の生き方もまた、豊かなものになったと思う。

学生への応援メッセージ

ご自身の将来に、いろいろな夢や希望をお持ちのことと思います。ぜひその夢を大切に。迷ったときには夢の実現に向けて、自分を信じて道を選択してください。
信じて選んだ道はあとから振り返ったときに、大きな糧となって何よりもあなたを支えてくれるでしょう。一方で、歩みを進めるときには、いつも誰かが支えてくれていることも、忘れないで欲しいと思います。「他者に寄り添い、ともに歩む」。そうした心のあり方が、あなた自身の生き方も豊かなものにしてくれると思います。