ヤンマーホールディングス株式会社

ヤンマーホールディングス株式会社
代表取締役COO

山本 哲也

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京都府出身。1983年に帯広畜産大学を卒業し、ヤンマーディーゼルに入社。在職中に京都大学博士(経営科学)課程修了。2022年ヤンマーホールディングス代表取締役COOに就任。

南米に移住して牧場を!夢へと繋がる濃密な海外体験。

大志を胸に、憧れの南米へ

高校生の頃、北杜夫氏の著書などに影響され「南米に移住して牧場を経営したい」という大きな夢を抱いた。結局、その夢は叶うことはなかったが、大学時代に海外生活を夢見て3つの国を渡り歩いた経験は、私の人生の大きな糧となっている。
一カ国目はペルー。大学に入学して数年が経った頃、JICA後援の学生団体が募集していたペルーでの日系移民の調査員に応募。合格し、憧れの南米への切符を手にすることができた。想定外だったのは、到着後、事前に現地で面倒を見てくれるはずと紹介された人たちが、まったく取り合ってくれなかったことだ。結局、見かねた日系人協会の秘書の方が、狭い自宅の部屋を宿泊場所として提供してくれたために、なんとか調査活動を遂行することができた。人のタイトル(肩書き)なんてあてにならないと実感したし、私が今も大切にしている、その人の本質的な価値を見極めようとする姿勢は、この経験から培われた。

現地で知った厳しい現実

ペルーでの調査対象者から素手で移住する時代は終わったと聞かされ、次はコロンビアに渡った。そこでは、日系移民が経営する牧場で実習、馬に乗って日々牛を追う生活を送った。南米での生活の中で、移住の厳しさや難しさを知り、これから自分はどうしようと思い悩んだが、海外に関わる仕事をしたいという情熱は、決して冷めることはなかった。
帰国後、海外経験を積むため、交換留学生制度を利用して韓国に渡航。韓国の工業技術は目覚ましい発展を遂げており、そこに可能性を感じていた。しかし、当時の韓国は軍事政権下で社会的には混沌としており、不条理とも思えるような場面に何度も遭遇した。朝鮮戦争の厳しい傷跡も知った。

想定外が広げてくれた世界

結局、南米で牧場主にはなれなかったが、今の会社に入社してから、念願かなって、海外で働く機会にも恵まれた。また海外経験で学んだ、タイトルではなく心を見て人を判断することの大切さや、不条理に直面した際の乗り越え方は、社会人として生きる上で大いに役立った。さらに、海外経験以外にも、帯広畜産大学の大自然で実感した「農作物や家畜の命をいただいて自分たちは生かされている」という感覚は、都会で暮らしていたら知りえない、貴重な学びだった。
思い通りにならない想定外だらけの学生時代。しかし、大学進学で地元を飛び出し、海外へ向かった選択は間違いではなかったと、胸を張って言える。新しい世界や価値観に出会った経験は、確実に私の世界を大きく広げてくれたのだから。

学生への応援メッセージ

人生は実験の連続で「失敗だ」など思う必要はありません。結果に落ち込んだ時の復元力を身につけ再挑戦する。私たちの会社にも社員の挑戦を後押しする風土が根付いています。国籍、性別、年齢、肩書きなど、属性に関係なく、本気でやってみたいというパッションをこそ評価したい。タイトルではなく心で人を見るという、私の学生時代の学びとも共通する価値観です。人目なんか気にしなくて大丈夫。自分を信じて一歩踏み出してみてください。