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Q テーマ解説
インタビュー

多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来の実現のために、日本航空が新たに取り組めることを提案してください。

日本航空株式会社

西岡 桃子さん/総務本部 ESG推進部 企画グループ
伊藤 洪一さん/人財本部 人事部 採用グループ


日本を代表する航空会社として、世界中の人々に安全・安心で快適な空の旅を提供する日本航空株式会社(以下JAL)。時代の変化を読み、進化を続けてきたJALですが、2020年には未曾有の世界的なパンデミックにより、これまでに経験したことのないような苦境に立たされます。国内外に移動制限がかかり、航空需要も激減。しかし、そうした苦境の中で気付かされたのは、“当たり前に移動できること”の価値と、日常的な体験の尊さ。空を舞台とした交通インフラの担い手だからこそ、できることがある。今回の課題は、そんなJALがめざす社会・未来を実現するためのアイデアです。テーマに込めた想いや皆さんに期待することをお聞きしてきました。

「利他の心」を胸に、社会課題の解決をめざす。

───改めて御社の事業領域についてお聞かせください。

西岡さん ご存じのとおり、私たちの主たる事業は航空事業なのですが、実は2020年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で航空需要が大きく減少しました。その時、率直に言って航空事業だけでは今後が安泰だとは言い切れないくらいの危機感がJALの中で芽生えたんですね。そうした意識から、航空事業以外の重要性も改めて実感し、マイル・ライフ・インフラ事業の拡大にいっそう注力するようになりました。マイル・ライフ・インフラ事業では、「マイレージ・ライフスタイル」「地域」「次世代エアモビリティ」、そして「受託(空港・整備・貨物)」と大きく4つの柱を中心にしつつ、「社会課題の解決」をキーワードにしながら取り組みを進めています。

───マイル・ライフ・インフラ事業では、具体的にどんな取り組みをしているのでしょうか?

西岡さん 例えば今だと、ドローンの技術を活用して「地域」に潜む社会課題を解決できないか、ということを考えています。奄美大島の周辺には、さらに小さな離島が多くあります。その島々には飛行場がなかったり、大波で船が動かせなかったりするなど、アクセスの手段が限られてしまいます。そこでドローンを活用して、食材や薬、荷物などを運ぶようにできれば、島の暮らしが安定して豊かになる。日本には、奄美大島以外にもたくさんの離島があるので、まさに私たちが目指す、事業を通じた社会課題の解決につながるのではないかと考えています。また、「空飛ぶクルマ」が人を運ぶ未来も考えています。


───「空飛ぶクルマ」! 未来的でワクワクしますね。

西岡さん 今考えているのは、空港を降りた後の「タクシー」のような活用です。実現すれば、空港から不便な場所にお住まいの方やお体の不自由な方など、移動に制限がある方をお運びできるようになります。ドローンもそうですが、JALはこれまで航空事業を通じて培ってきた、「空の安全」に対するノウハウを持っているので、ドローンや空飛ぶクルマを開発するメーカーとタイアップをして、実際の活用をめざして取り組みを進めています。


───どれも、確かに「社会課題の解決」につながる取り組みですね。そうしたアイデアが生まれる風土として、「JALらしさ」を挙げるとすればどんな点でしょうか?

西岡さん 私は入社8年目になりますが、全社に「利他の心」が根付いているのを入社から今までずっと感じています。元々、故・稲盛和夫元名誉顧問が大切にされていた言葉で、それが社会のためにも発揮されているし、働いている同僚同士でも日常的に感じます。オフィスでも、客室でも、空港でも、どの社員と話していても、相手に対する気遣いが当たり前にできているので、すごく働きやすい会社だな、と思います。

伊藤さん 私も就活生に「どんな社員が多いですか?」と聞かれた際に「物腰が低くて、柔らかな人が多い」と自分の経験をもとに自信を持ってお伝えしています。仕事でつまずきそうな場面でも、周囲の方々全員が相手の立場に立って物事を考える方ばかりなので、一緒になって「どうすればより良いものになるか考えよう」と言ってくれます。

単なる“移動”のための交通インフラを超えて。

───では、ここから課題解決プロジェクトについてお聞きしていきますが、今回、このテーマにした理由を教えていただけますか?

伊藤さん JALには「多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来を実現し、世界で一番選ばれ、愛されるエアライングループを目指します」というパーパスがあります。今回のテーマでは、このパーパスにもある“心はずむ社会・未来”のために、学生の皆さんに自由な発想で、JALが持つアセットを生かしてできることを考えていただきたいと意図して、この課題を設定しました。

───JALさんが思い描く「心はずむ社会・未来」とは、どんな世界なんでしょうか?

西岡さん 2020年以降、コロナ禍で多くの人の移動が制限されました。それは私たち航空会社の社員もそうですし、学生の皆さんも、誰しも同じ経験をしたのではないでしょうか。その期間を経て、友達と直接会ったり、美味しいものを食べに行ったり、旅先で何かを感じたりする喜びが研ぎ澄まされたのではないかと考えています。 ではそんな時代に、航空会社として私たちにできることは一体なんなのか。それは、単にA地点からB地点に行くための“移動手段”としての交通インフラとしての役割だけではないと思っています。久しぶりに友達に会いに行く人や旅に出る人が、機内で素敵な体験をしたり、着いた先でその地域の魅力を感じたり……。移動に、ワクワクや感動の体験をセットでお届けできるような、そんなJALグループでありたいと考えています。

今回の課題を通じて、ぜひ皆さんにも、単なる“移動”ではなく、“意味や価値のある移動”について考えていただきたいと思っています。同時に「心はずむ社会・未来」と言われて思い浮かべるものは、人それぞれ違うと思いますので、ぜひそれがどんな社会・未来なのかも考える機会にしていただけたらと思います。

───例えば「心はずむ社会・未来」に向けた御社の取り組みの例を、教えていただけますか?

西岡さん先ほどお話した奄美大島のドローンや、空飛ぶクルマも、そうした未来をめざしたものとしてやっているものではありますが、たとえば「どこかにマイル」という2018年に始めたサービスも、「心はずむ社会・未来」に向けた取り組みの一つです。こちらはマイルを使って、何ヶ所か決められた日本国内の行き先から抽選で航空券が当たるという、なかば強制的に行き先を決めてしまうガチャガチャのようなサービスです。実は知らないだけで魅力的な場所って、たくさんありますよね。行くことが決まれば、そこでどんな観光ができて、どんなものを食べて、どんな風景に出会えるのかを調べますよね。お客さまからすれば予想外の楽しさや日本の魅力に出会える機会になるし、地域にとっては経済的な後押しになる、そしてJALにとってはマイルを使っていただけるということで、Win-Win-Winな関係になるのです。

お客さまも楽しく、かつ地域が元気になり、ひいては日本が元気になるということで、これは「心はずむ社会・未来」につながる、一つのいい事例だと思っています。

「持続可能性」はパーパス実現のためのエンジン。

───今回の課題では、審査項目が5つあります。これらの審査項目はどのようにして決めていったんでしょうか?

伊藤さん JALには、「JAL Vision 2030」や、私たち社員の行動・価値観・考え方の指針となっている「JALフィロソフィ」があります。基本的にはこの中から抽出するような形で、今回の審査項目も設定いたしました。

  

───とくに重視している審査項目はありますか?

伊藤さん もちろんどれも大事な項目ではありますが、あえて意識するとすれば、「持続可能性」「実現可能性」「最高のサービス」「新たな価値創造」「果敢な挑戦」と上から順に重要度が高いイメージではあります。とくに、最初に挙げた「持続可能性」というのは、私たちがパーパスに向かっていくためのエンジンのようなもので、今回の課題ではベースとなっていてほしい部分ではありますね。その上で「実現可能性」、つまりビジネスとして成り立たせる採算意識と、企業理念にも合致する「最高のサービス」という要素を加えています。そして「新たな価値創造」「果敢な挑戦」は、付加的な要素として入れていますが、ここまで提案していただけたら非常に嬉しいですね。


───4つ目の「新たな価値創造」は、苦戦しそうなポイントですね。これは、「新しい事業」とかそういう方向で考えたほうがいいんでしょうか?

伊藤さん いえ、全くそういうつもりではなくて。「新たな価値創造」といっても、必ずしも新規事業でなければいけないわけではなく、むしろ既存の中に新たな価値をつくる余地はいくらでもあるものだと考えています。たとえば「航空券と他の乗物の予約システムを統合して、シームレスに1回で予約できるようにする」ということも、これまでにない新しい価値の一つだと思うんですね。それは一例ですが、私たちから見えない視点、観点がたくさんあると思うので、皆さんに自由に考えていただいて「これまでにJALが提供してこなかった新しい価値」だと言えるものを、ぜひ見出してもらえればと思います。


───課題に取り組むにあたって、参考になるような資料やHPなどがあれば教えていただけますか?

西岡さん 例えば『JALグループ中期経営計画』を見ていただくと、私たちのパーパスやJALグループの全体像を俯瞰して見ていただけるので、ご一読いただいてもいいかもしれません。また航空事業以外のマイル・ライフ・インフラ事業については、こちらのページをご覧いただければ、収益規模やアセットなどの強みを私たちがどう生かして事業を広げようとしているかが書いてあるので、ご参考になると思います。

ただ、あくまで皆さんの発想も大切にしていただきたいので、あまりそこに縛られすぎず、考えていただけたら嬉しいです。

働く上でも大切な、情熱や楽しさを見出してほしい。


───今回の課題解決プロジェクトに取り組むにあたって、学生の皆さんに何かアイデアや考えのきっかけやヒントになるようなことはありますか?

西岡さん 私からは二つあります。

一つは課題に関することで、先ほど伊藤からお話しした「持続可能性」についてです。「持続可能性」にはいろいろな側面があって、社会に対するもの、環境に対するものもそうですが、会社や社員にとっての「持続可能性」も非常に重要だと思っています。私たちは「社会課題の解決」を目指していますが、企業として、利益を上げて発展していくこと、同時に社員が働きやすくあることもとても大事だと思っています。私自身がESG推進部に所属しており、企業の社会的責任と利益とのバランスを見ながら仕事をしています。今回の課題でも、どちらかに偏りすぎないように意識していただけると、社会と自分たちの「持続可能性」という点に近づくのではないかと考えています。

西岡さん もう一つは、課題に取り組んでいただくときの心持ちについてです。例えば、新しいサービスを考えていただくときに、ぜひ学生の皆さん自身が、JALグループをご利用いただくお客さまとしてそれを「やってみたい」と思える、自分がワクワクできるようなことを提案していただけたら嬉しいなと思います。それは、例えばご両親や友人など、身近な方をお客さまと想定していただいてもいいと思います。考え始めると、意外と「何がやりたかったんだっけ?」と方向性を見失ってしまうこともあるので、そういう気持ちを出発点にして、立ち戻れる場所をつくっておいていただけたらいいな、と思います。

伊藤さん 私は人事部なので、どうしても採用目線になってしまうかもしれないんですが、ぜひ課題に取り組むことをきっかけに、JALのことをよく知って望んでいただけたら嬉しいですね。JALについていろいろと調べていくうちに、今回の課題に対しても、アイデアが出てくるかもしれません。「なぜ、このタイミングでJALがこの課題を出したのか」というのを、資料などから読み解きながら問題を見つけていただいて、当社のアセットやリソースを存分に使って、ご提案していただければと思っています。そうすることが良い提案に繋がっていくのではないかなと考えています。


───ありがとうございます。最後に、お二人から学生に向けてメッセージをお願いします。

西岡さん 今回の課題に取り組むことはかなり仕事に近いので、それを学生のうちに前もって体験できるのは貴重な機会だと思います。もちろん仕事は楽しいことばかりではないですが、できるだけ自分が「どうやったら楽しめるのか」を考えて、取り組んでいただければと思います。仕事の中に、自分がやる意味、情熱、楽しさといった部分を見出せることは、働く上でもすごく大切なことになりますので、ぜひそのような意識で望んでいただけたら嬉しいです。

伊藤さん まずは、貴重な大学生活の中で当社の課題に取り組む時間をつくっていただいて、非常にありがたいと思っています。決して簡単な課題ではないと思いますが、せっかく時間を使うのであれば一生懸命向き合っていただけたら、皆さんにとっても有意義な時間になると思います。ぜひ終わってから「素敵な時間だった」と思えるように取り組んでいただけたら幸いです。


───本日はお話いただきありがとうございました!


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