オンライン完結型 企画アイデアコンテスト 全国どこからでも気軽に参加可能!課題解決プロジェクト

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益々グローバル化、ボーダーレス化が進む国際社会において、活躍できる日本人を長期的に育て続けるためのアイデアを提案してください。

一般社団法人 日本旅行業協会

事務局次長 渡辺 正樹さん
広報室長 桑名 美保さん


一般社団法人日本旅行業協会は、旅行業界の発展を目指し、1959年に発足された組織です。現在約1,160社の正会員と連携し、様々な取り組みを行っています。業界全体の活性化につながる様々なキャンペーンを企画・実施するほか、旅行業を営む会員に向けた営業支援、法的支援といったサポートも行っているそうです。今回は、旅という枠にとらわれず日本と世界を広く見渡しつなげる立場から、課題解決プロジェクトに出題いただいたと言います。テーマに込めた想いと、学生の皆さんへのメッセージをうかがいました。

ツーリズムを通じ、社会をよりよくしたい。

───はじめに、日本旅行業協会について教えてください。

桑名さん 日本旅行業協会は旅行業の発展はもちろん、ツーリズムを通じ新たな文化・価値の創造と、持続可能な経済発展に貢献することを目指しています。主な業務は、国内旅行や海外旅行の活性化、インバウンドの誘致拡大、旅行業界の社会的地位向上を見据えた取り組み、そして観光産業の持続的な発展に向けた社会貢献ほか、旅行取引におけるトラブルなど消費者からの相談にも対応しています。このほか、旅行業法に関する法務・コンプライアンスの相談受付や、会員に向けた研修なども実施しています。また、新しく旅行業を始める方に登録制度のご紹介や、国家試験である「総合旅行業務取扱管理者試験」の試験事務を観光庁に代行して行っています。現在、業界全体を盛り上げるために、「平日に泊まろう!」というキャンペーンを実施しています。土日に集中する旅を平日に分散させ、旅行事業の平準化を目指していますが、旅行者にとっても、混雑を避けより快適に旅を楽しんでいただけるメリットがあります。


───旅行業界活性化の旗振り役というわけですね。

桑名さん 2024年は「海外旅行自由化60周年」の記念の年でしたので、会員の皆様と一緒に海外旅行を盛り上げる取り組みも行っています。また、年に1度「ツーリズムEXPOジャパン」という世界最大級の観光イベントも実施しています。2024年は東京ビッグサイトで開催し、世界80カ国の国と地域から、1,000を超える企業・団体に参加いただきました。旅の魅力や地域の魅力をご紹介しており、とても回りきれないほどたくさんのブースが並びます。旅行に出かけた気分が味わえると、今回は、来場者も18万人を超え大盛況でした。


───とても興味深いイベントですね。ぜひ次回は参加したいです。

桑名さん 2025年は愛知県での開催を予定しています。ぜひ皆さんにも足を運んでいただきたいです。

若い世代にもっと、国際交流の機会を。

───ではここから、課題解決プロジェクトについてうかがいます。今回のテーマに決定した背景を教えてください。

渡辺さん 実は今、日本の若い世代の海外離れが深刻化しています。コロナ禍の影響もありますが、諸外国に比べ日本はひと際、海外への興味関心が薄れています。調査によると、日本の国際理解教育は調査対象国の中でも非常に低い評価となっています。パスポート保有率も、コロナを境に約23%から17%まで下がっています。お隣の韓国のパスポート保有率は約40%、台湾に至っては約60%と大きく差をつけられています。出国率(年間出国者数÷人口)も同様の傾向で日本だけ突出して低い状況が続いています。円安と世界的な物価高が重なったことも日本人の海外離れに拍車をかけており、個人旅行だけでなく、各種学校で実施されていた海外研修や留学、修学旅行も大幅に減少しています。

───てっきり、グローバル化に向けた教育が進んでいると思っていましたが、お話をうかがい驚きました。

渡辺さん 海外を旅するということは、単に娯楽という訳ではなく、見聞を広める教育的効果の側面があります。旅によるコミュニケーションを通じた異文化への理解が深まるなど、様々な人間形成の機会を広げる“教育の力”が、旅にはあるんです。その機会が減った結果は数字に如実に現れています。英語圏以外の116カ国を対象とした民間の英語力調査において、日本は、過去最低の92位という結果に。特に20歳前後の若い人たちのスコアが大きく下がっています。

───たしかに、海外に出かけると、英語を学ぼうという意欲が湧きますが、それが薄れてしまうんですね。

桑名さん アメリカへの留学生数の順位も、1994年から1997年度は日本が一番でしたが、中国やインドが台頭し韓国にも抜かれ、今では9位にまで落ちています。


渡辺さん 感受性豊かな若い人たちが海外と交流する機会を失い、語学力の低下が起こり、そこから未来の日本の国際競争力にも大きな影響を与えるのではないかと懸念しています。そのような危機感から、今回のテーマとなる「国際社会において、活躍できる日本人を長期的に育て続ける」という課題を設定させていただきました。


人々の移動と交流を促進すること全てがツーリズム。

───課題に取り組むにあたり、特に留意すべき審査項目があれば教えてください。

渡辺さん 「ツーリズムの観点」と「現役学生としての視点」を、ぜひ盛り込んで考えてほしいのですが、一つ気をつけていただきたいのが、ツーリズムは観光目的の旅行に限定しているわけではないということ。「人々の移動と交流の促進」と定義し、アイデアを考えてください。飛行機か船が無いと国境を越えられない日本で訪日インバウンド客を増やすには、日本人の海外渡航者も増やして、就航便数を増加させる必要があります。持続可能な観光のために、協会では、双方向で人々が行き交い交流する大切さを重視しています。交流の場所は海外の場合もあるでしょうし、国内において、訪日客と日本人の交流の可能性もあるでしょう。アイデアの形も、海外への興味喚起を図るきっかけでもいいですし、コミュニケーションを生み出す仕掛けもあるかもしれません。


───なるほど。双方向の交流につながるアイデアがポイントですね。

渡辺さん 先ほど日本人の英語力が低下している話をしましたが、よく日本人は学習期間が長い割に、英語を話せる人が少ないといわれますよね。流暢な英語で世界中の人と自由にコミュニケーションできる理想の姿と、現状とのギャップを感じている方も多いかもしれません。そのギャップを埋めるために、どんなことが必要か、交流プログラムの充実なのか学校教育の仕組みなのか?当協会への提案である必要は全くありません。政府・自治体や教育機関への提言でも結構ですし、民間企業へのアイデアも面白いと思います。幅広く検討してみてください。


桑名さん 参考までに、私たちの会長は、「新成人全員にパスポートを配ってはどうか」というアイデアを常々発信しています。これくらいダイナミックでインパクトのあるアイデアをお待ちしています。観光庁がZ世代に行ったアンケートによると、海外旅行経験者は、再び海外に行きたいと考える傾向があることもわかっています。最初の一歩が肝心なんですね。


───データもいろいろ検索してみると、アイデアのヒントがありそうですね。

渡辺さん パスポート保有率や出国率、留学率もそうですね、内閣府をはじめ様々な機関による調査データは、検索すればすぐにたくさん出てくると思いますので、ぜひ調べてみてください。

海外に目を向ければきっと、日本の未来は明るくなる。

───この企画を通じ、学生の皆さんに期待することがあれば教えてください。

渡辺さん 率直なところ日本が今、国際社会で以前ほど輝いていないという不安を少なからず皆さんお持ちかと思います。海外へ目を向けることは、現状を変える大きな一歩になるはずです。海外に行くと、「日本の●●があったら便利なのに」というシーンが山ほどあります。逆に、諸外国の良いところを日本に持ってくることもできるでしょう。海外はビジネスのヒントに溢れているんです。

桑名さん 国際的に活躍する若い人も、昔に比べれば増えている側面もありますよね。出国率が少ない中でも健闘しています。ここに掛け算したら、すごく面白いことになるんじゃないかと可能性を感じます。日本の若い人を後押しできるアイデアを聞かせてください。


───プロジェクトに参加する方にとっても、海外へ目を向けるきっかけになったら嬉しいですね。最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします。


渡辺さん そんな考え方があるのか!と、私たちを驚かせてほしいですね。なによりもご自身がワクワクするような提案を期待しています。日本人が世界で輝くために、皆さんが描く夢をぜひ聞かせてください。

桑名さん 既成概念にとらわれず、自由な発想で、楽しい提案をお待ちしています。

渡辺さん 普段聞きなれない言葉もいくつか使用しているため、解説動画で丁寧に解説しています。ぜひそちらもご覧いただけると、より検討がスムーズになると思います。



───本日はありがとうございました!

一般社団法人 日本旅行業協会ホームページ
ツーリズムEXPOジャパン2025 愛知・中部北陸

渡辺 正樹さん

2018年4月一般社団法人日本旅行業協会:事務局次長として着任。 協会活動全般に携わると共に、大学生向けインターンシップや、多くの大学・専門学校等における業界研究講座の講師を務めています。


桑名 美保さん

2021年4月一般社団法人日本旅行業協会:広報室長として着任。協会の広報活動全般を担当。