
今後の福祉現場に必要なのは、スキルでも制度でもなく「考え方」の改革。
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私は、スウェーデンと日本の福祉現場を繋ぐ仕事に長く携わってきました。日本全国の施設を300カ所以上見て回り、その中で日本の認知症ケア現場に足りないものは何かを模索し続けてきました。
スウェーデンは福祉大国と言われますが、他国との最も大きな違いは制度やスキルなどではなく、「考え方」にあります。特に認知症ケアについては、末期がん患者に対する治療法の「緩和ケア」を取り入れている施設が多いです。認知症は完治することはありませんが、適切なケアによって進行を遅らせたり、現状維持することは可能です。介護を受ける側がいかに快適に、普段通りの生活を送りながら症状の進行を抑えるか。そのために何をすべきかということを、すべてのケアの基本として根幹に据えておくことが重要です。
例えば当社の施設では、タクティールケアを導入しています。タクティールケアというのは、マッサージのようにやさしく手足に触れることで、介護する側と受ける側の精神的な交流を図る手法の一つです。認知症の方は、時として介護者に対して暴言をはいたり介護を拒否したりすることもありますが、タクティールケアを定期的に行うことで別人のように穏やかになり、介護がスムーズに行えるようになります。スウェーデンでは1990年代から現場に導入されるようになり、非常に有効な手段として多くの施設で行われていますが、日本の現場ではまだまだ普及していません。当社ではこうした最新ケアを自社の現場に導入するだけなく、広く情報を発信する役目も担っています。そのために研修センターで定期的に研修を行っています。また地元・浦安市との協働事業は3年目になり認知症支援活動を行っています。当社には認知症ケアについて知識とスキルを持つスタッフやインストラクターが多く在籍しセミナーも行っています。このような取り組みの成果もあり、国内外からノウハウ提供の要請を受けています。
私たちは、ただ単にスウェーデンと同じやり方を導入している訳ではありません。両国、あるいは他国も含めた最新の認知症ケアを柔軟に取り入れ、ご利用者に快適な生活を送ってほしいと願っています (代表取締役社長 グスタフ・ストランデル)
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