朝日ファスナー(株)

弊社は創業より66年余り、国内では数少ないZipperメーカーとなっています。そして、アパレル、カバンなど業界の一端を担ってきました。元々は大阪を拠点としておりましたが、1953年に名張に移転し、朝日ファスナーとして創業いたしました。創業者である川北清一郎、そして父（福本逸郎）を経て、現在は私が代表取締役を努めております。

私はもともと東京の会社に就職して、そこで営業職に就いていました。しかし当社の業績が思わしくなく、テコ入れのために名張に呼び戻されることに。そこで、東京で培ったセールステクニックを活かし、新たな市場を開拓。会社は危機を脱し、業績を大きく伸ばすこととなりました。その後、1940年代アメリカ発祥のZipperであるWALDES(ウォルディス)が捨てられていたので日本で復刻させました。それが当社のものづくりの原点となるVintage Zipperとの出会いでした。ちょうど今から20年ほど前になります。

当時は古着ブームで、アパレル業界ではヴィンテージテイストの商品が人気を博していました。よって弊社のVintage Zipperは他社とは違う独創的なビジネスに発展し業績も向上。しかし需要が高まる業界においては、大量生産・低コストの波が押し寄せてくるのが世の常です。海外の工場で生産コストを極限まで抑えた安価なZipperが瞬く間に広がりました。そんな中においても、弊社はものづくりへのこだわりを持ち続け、デザイン性の高さと機能性にこだわったVintage Zipperを創り続けました。他社が安価な商品を量産する中で、変わることなくVintage Zipperを作り続けたのです。

そして新たな時代を迎え、こだわり続けた『ものづくりの精神』は、同じくこだわりを持つ国内アパレルブランドからの深い信頼を得て、さらには海外企業からメイドインジャパンという新しい付加価値を獲得。今現在、国内では数少ないZipperメーカーとして確固たる地位を築いています。Vintage Zipperの良さを継承し続けること、そしてそのベースをしっかりと守りながら、そこに時代が求めるデザイン要素を融合させること。それが今までもこれからも変わらず大切にしている当社のモノづくりです。
（代表取締役社長 福本毅さん）