最終更新日:2024/6/11

日本赤十字社

  • 正社員
  • 既卒可

業種

  • 公益・特殊・独立行政法人
  • 医療機関
  • 教育
  • 福祉サービス
  • 学校法人

基本情報

本社
東京都

取材情報

事業について伝えたい

子どもから社会へ、社会から世界へ。想いをつなげる。

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―青少年赤十字をご存知ですか?―

松原 昌平さん(本社 事業局 パートナーシップ推進部 ボランティア活動推進室 青少年・ボランティア課)

献血や災害時の救護活動の印象が強い日本赤十字社ですが、「青少年赤十字」と呼ばれる、子どもたちの成長を支援する活動も行っています。本社で青少年赤十字事業を担当している入社3年目の松原さんにその内容と仕事の魅力について伺いました。

※記載している取材対象者の所属等については、取材当時のものです。

日本赤十字社は、苦しんでいる人を救う活動を続けています!

心肺蘇生をはじめ一次救命処置などの普及を通して、一人でも多くの命が救える社会を目指しています。(救急法講習の様子)
病気やけがの治療で輸血を必要とする方のために、献血による安全な血液を安定的にお届けしています。(献血協力呼びかけの様子)
紛争や自然災害などで苦しむ世界中の人びとを救うため、192の国と地域に広がる赤十字ネットワーク。(国際救援活動の様子)

誰の心の中にもある「やさしさ」や「思いやり」を育てる

私が担当している「青少年赤十字」は、保育所・幼稚園から高等学校までの教育の場において、将来を担う子どもたちが、赤十字の価値観を通じて、やさしさや思いやりを育み、その想いを社会へと広げていけるように、そして世界の平和に貢献できるように支援していくことを目的とした事業です。

青少年赤十字では、大きく分けて2種類の目標を掲げています。
1つは具体的な活動を表す「実践目標」です。赤十字の理念をもとに、児童・生徒が、自分や他人のいのちと健康を大切にすること、地域社会や世界に奉仕すること、世界の人々との友好親善の精神を養うことを目指して活動を行うことにしています。2つ目は、児童・生徒が生活や様々な課題を自ら主体的に捉えるようになるための「態度目標」です。自らの周囲や社会での問題に「気づき」、その原因と解決のための道筋や方法を「考え」、解決のために具体的な活動を「実行する」ことを大切にしています。これらの目標にもとづいた活動は、青少年赤十字を取り入れていただいている学校等の教育の場で実践されるもので、私たち日本赤十字社の職員は、様々な側面から支援をしていきます。

実際に日本赤十字社では、教育資材や国内外の赤十字ネットワークの提供、講師の派遣、教員や生徒向けの研修会の開催などを行っています。近年は、災害の頻発を背景に、防災教育のニーズも高まっているように感じます。日本赤十字社が提供する防災教材である青少年赤十字防災教育プログラム「まもるいのち ひろめるぼうさい」などでは、災害が発生したという設定のもと様々な状況が提示され、児童・生徒たちは共に考えながら、対処方法を学びます。このプログラムは、災害の知識を身に付けることのみを目的にしているわけではありません。災害というテーマの中で、それぞれができることを「気づき、考え、実行する」ことで、必ずしも正解が1つではない問いに対し、自ら解決しようとする力を身に付けていくのです。

青少年赤十字事業において、教育現場と直接的に連携するのは各都道府県に所在する支部の職員です。私たち本社の担当者は、全社的なイベントや研修の企画立案・実行、青少年赤十字が取り組んでいくべき社会課題に対する全社的な方針策定、現場の先生方・生徒たちが活動しやすい資材の作成などを担っています。また、文部科学省などの関係機関との連携も本社担当者の業務です。

宿泊型イベント、海外スタディーツアーなどを企画・実施

入社1~2年目に、私が担当した印象的な事業をご紹介したいと思います。
入社1年目の3月には、各都道府県支部において選出された高校生を対象とした大きな研修を担当しました。初めて会う生徒たちが過ごす4泊5日の共同生活の中で、各地の青少年赤十字事業をより活発にすること、参加者のリーダーシップの資質を高めることを目的にディスカッション等を行うもので、ボランティアとして協力いただく青少年赤十字指導者の先生方とともに企画・運営を行いました。
また入社2年目には、バヌアツ共和国へのスタディーツアーを担当しました。同国は自然災害リスクが高く、2015年にはサイクロンにより大被害を受けました。そのため、日本赤十字社では、青少年赤十字加盟校の生徒が集めた「1円玉募金」を原資に、バヌアツ赤十字社が実施する防災教育を支援しています。また、1円玉募金がどのように使われているのかを現地で確認すべく、日本全国から選ばれた高校生がスタディーツアーに参加し、私も引率として同行しました。

いずれも、短期間ながら生徒たちの大きな成長を目の当たりにできるイベントとなりました。普段は直接生徒と接する機会が少ない本社職員ですが、こうした機会には大きなやりがいと感動を覚えます。企画を立ててから実現に移すまでは、内容の検討や関係者との折衝など、必ずしも楽な作業ばかりではありません。しかし、初めは緊張して話せない子どもたちが、プログラムを通じて活発に意見するようになり、最終日には周囲に今後の目標を説明するほどに成長する姿を目の当たりにすると、「頑張ってよかった」と心の底から実感できました。

日本赤十字社というと「堅苦しい」というイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、実際は担当者の裁量がかなり大きく、風通しの良い職場です。上司が若手の意見や提案にきちんと耳を傾け、議論してくれる風土があります。入社してみると、真剣な中にも柔軟さや遊び心のある会社でした。

※追記:アジア・大洋州の各赤十字社の高校生等が交流するイベントについて、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で、初めてWEBで開催。結果、WEBの特性を活かし、例年の5倍である500名以上の赤十字関係者が国を超えて交流をすることができました。目的の達成のために様々な関係者と調整・協働するなど、自分自身も主担当として成長を感じることができた経験となりました。

すべての人が尊重される社会をつくりたいという想いから

大学入学時、私は高校の教員を目指していました。しかし勉強していくうちに、学校に通えない子どもや様々な事情で生きづらさを抱える子どもたちの存在に出会いました。それにより「教員として学校で教えることだけが教育ではない」と気付いたのです。すべての人の生き方が尊重されるような社会環境をつくりたいと、就職活動では地方自治体などへの就職を考えていました。しかし、「苦しんでいる人を救う」という理念にもとづき活動する日本赤十字社を知り、強い共感を覚えました。この組織なら、どの事業であっても苦しみを抱える人たちに焦点をあて、幅広く助けることができる。それがこの組織を選んだ理由です。

先述のスタディーツアー中、移動時も含め参加者は赤十字マークの入ったベストを着用するのですが、外国ではいたるところで声をかけられました。「赤十字に寄付している」「母国の赤十字でボランティアをしている」に始まり「ベトナム戦争で父親が赤十字病院にお世話になった」という声もありました。世界中で赤十字のマークが信頼されているということと、「苦しんでいる人のために」という想いは、国を問わず普遍的なものということを改めて実感しました。

また、当社の魅力をもう一つあげるのであれば、活躍できるフィールドが多岐にわたっているということだと思っています。もともと学校という場にとらわれない「教育」に関心を持つようになったのも、学生時代に様々な場所で様々な人と出会ったからです。今後、これと同じように関心を寄せる領域が出てくるかもしれませんし、実際に今、様々な事業に興味を持っています。私のような総合職は、「赤十字」の職員としての「総合力」を養うべく、若いうちは3年程度の頻度でジョブローテーションを経験している方がほとんどです。まったく別領域への異動も珍しくありません。新しい職場で、どのような仕事や人との出会いが待っているのか、とても楽しみです。先入観を持たずチャレンジできる人にとっては、チャンスが無限にあると感じています。

学生の方へメッセージ

学生の皆さんには、各事業への関心に加え、事業の背景にある「理念」についてもぜひ考えていただきたいと思います。仕事で辛いことがあった時には、なぜ自分がこの会社を選んだのかという理由が必ず支えになるはずです。「自分は何に心がときめくか」、「何に心が動かされるか」など、ぜひ考えてみてください。
バヌアツで体験した現地の生活は、日本に比べとても不便でしたが、人々は不幸せだとは思わないと答えてくれました。幸せの尺度は人それぞれであることに改めて気付かされたのですが、災害によって命を失うことは、すべての人に苦しみをもたらします。人々の苦しみを少しでも減らすための支援事業に携わることで、日本の子どもたちが集めた1円玉という小さな善意が、バヌアツという異国の地で多くの人のいのちを救っていることを実感する機会をもらいました。このような赤十字ならではの経験を、皆さんと一緒にできることを楽しみにしています。

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質問に答える松原さん。大学時代には野球部の三塁手を担っていました。今、仕事に打ち込んでいるように野球に熱中していたと明るく語ってくれました。

マイナビ編集部から

日本赤十字社と聞くと、多くの人は「役所のような組織」を思い浮かべるのではないか。そもそも献血や災害救護くらいしか事業をイメージできない人も多い。学生も例外ではないだろう。いずれにせよ「堅苦しい」という印象を持っている人が多いかもしれない。ところが取材現場で耳にしたのは、楽しそうな笑い声と自由で気さくなやり取り。決して不真面目というわけではない。むしろ松原さんはこちらが恐縮するほどの真摯さで質問に答えてくれた。同席された人事部の方も同様だ。なのに「笑い声」。これでこの会社の雰囲気が伝わるのではないだろうか。

若い頃は、3年程度に1回の頻度で配置転換があるというのにも驚いた。事務系職員は徹底したジェネラリスト育成だが、別の狙いもあるのではないかと感じる。多様な業務を経験する中で、その全てに共通する赤十字社の理念への理解を深めていく。若いうちに様々な事業を経験することで、自分自身の強みと赤十字の総合力を活かし、苦しむ人に寄り添うことのできる「赤十字人」に成長するのだろう。「人間を救うのは、人間だ。」は日本赤十字社のモットーだが、苦しんでいる人を救うだけでなく、救う側の「人間」を育てるのも、同社の大きな使命なのだと感じた。

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東京都港区にある日本赤十字社本社。

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