最終更新日:2024/7/12

独立行政法人国立印刷局

  • 正社員
  • 既卒可

現在、応募受付を停止しています。

業種

  • 公益・特殊・独立行政法人
  • 印刷・印刷関連
  • 情報処理
  • 紙・パルプ
  • 化学

基本情報

本社
東京都

取材情報

仕事・キャリアパスについて伝えたい

世界最高水準の技術で日本銀行券などを製造。国家公務員としての公的使命を果たす

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若手職員たちのキャリアパス

世界に誇る高い技術で日本銀行券などの製造を手掛ける国立印刷局。文理問わず多彩な人材が活躍できるフィールドで、職員たちはどう成長していくのか。
異なる部署に所属する若手職員3名にキャリアパスを聞いた。

■I.Y.さん(写真右)
研究所 総合研究部所属
融合理工学府創成工学専攻イメージング科学コース修了/2020年入局

■M.A.さん(写真中央)
本局 財務部契約課一般契約係所属
心理学部心理学科卒業/2020年入局

■N.I.さん(写真左)
東京工場材料部インキ課インキ管理係開発第3作業所属
理学部基礎化学科卒業/2022年入局

それぞれの強みを活かして活躍する職員の皆さん

「官報電子化の取り組みなど、国立印刷局も情報系の技術との融合が求められています」とI.Y.さん。培ってきたデジタル分野の知識と技術を活かし、研究開発部門で活躍中だ。
「工場で培ったチームワークは今の仕事にも生きています。自分が所属している係だけでなく、他部署の方とのコミュニケーションも大切にするようにしています。」とM.A.さん
「日本のお札は色彩が豊か。2024年に発行される日本銀行券はぜひ裏面にもご注目ください。特に千円札の富嶽三十六景の図柄がダイナミックで気に入っています」とN.I.さん

国立印刷局のDXの前線で活躍/I.Yさん

元々、私が大学で学んでいたのは「画像処理」の分野です。特に画像データや動画のセキュリティについて知見を深めていたので、この知識を国立印刷局が手掛ける公共性の高い製品のセキュリティにも活かせるのではないかと感じたことが入局の決め手です。国立印刷局が製造する紙幣や切手、パスポートなどはその真正性や確実性の担保が重視されており、偽造防止の観点から私の専門性との共通点を見出していました。

入局後に配属されたのは東京都北区にある王子工場です。王子工場では、郵便切手や証券製品の印刷などが行われており、4人チームでそれぞれの役割を持つ形で製造業務に従事しました。わからないことも多々ありましたが、都度チームの先輩に聞きながら取り組み、高品質かつ安定的な製造が製品の信頼性に強く結びつくことを身をもって学びました。
また、この業務を2年間経験した後に長期派遣研修制度を活用し、大学院にて社会人学生として情報セキュリティを学びました。修士論文のテーマは「情報系資産を扱うレガシー制御システムのセキュリティ分析」です。レガシー制御システムは、サポートや保守を十分に行うことが難しいため、特に厳格なセキュリティ管理が求められます。製造業の機器には長期間の稼働を想定したものも存在するため、サポートや保守に制限があることを条件として脅威分析を行い、実用性を考えた上で将来どのような措置を行うべきかについて考察しました。この研修は、情報セキュリティの基礎知識を習得するとともに、製造業特有のセキュリティ環境について深く考える機会になったと考えています。

現在は研究所に在籍しており、情報通信技術関連の研究開発に従事しています。これからの時代、国立印刷局もデジタル分野の製品を扱っていくことになります。デジタル技術を用いた新たな事業の展開を見据えて、トレンド技術から未開拓の技術まで、それらの仕組みや導入可能性を検証しています。時にはプログラミングによるシミュレーションなども行うため、現在の職場は国立印刷局のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える最前線とも言えるかもしれません。先端技術に触れることが多い環境からはどこかベンチャーらしい風土を感じており、柔軟な発想をもってデジタル事業の展望を開いていきたいと思っています。

製造部門で「改刷」を経験、その後国立印刷局を支える財務部へ/M.A.さん

私が就職活動に取り組んだ際は、新社会人として仕事をしていくうえでいきなり一人で業務を任されるのは不安だと感じたため、キャリアプランや研修の手厚さに注目しました。また、仕事とプライベートのオンオフを切り替えられる環境で働きたいと思い、調べていく中で出会ったのが国立印刷局です。国家公務員でありながら製造業に携われるという点や入局後から1年間は指導員が付いてくれる制度があることに惹かれ、入局を決意しました。

入局後に配属されたのは彦根工場の製造部門で、日本銀行券の検査業務に携わりました。断裁された日本銀行券を機械で検査する工程で、納品までの最終工程となるため、責任のある業務でした。
その後2024年7月に発行される新しい日本銀行券の製造(改刷)に向け、ホログラム貼付工程を経験。印刷後の日本銀行券にホログラムを貼付する工程です。一万円・五千円には、ストライプ型のホログラムが採用されることになり、最新の設備が導入されました。ホログラムは偽造防止において重要な技術であると同時に、目の不自由な方が銀行券を識別しやすくするために必要なものです。オペレーターとして新たな設備を安定して稼働させるためには試行錯誤もありましたし、改刷の中でも大きな役割を持つ工程に関われたことは大きな経験になりました。
また、彦根工場のある滋賀県は住んだことの無い土地でしたので最初の頃は不安もありましたが、工場の方々は本当に良い方ばかりで不安も徐々に消えていきました。私は工場近隣の宿舎に入居しましたが、隣の部屋には同期の職員が住んでおり、これも心の支えになりました。休日には美味しいご当地グルメを楽しんだり、友人と出かけたりと充実した日々を過ごせました。

4年目に本局に転勤し、現在は財務部契約課に在籍しています。業務に使用する物品の調達に従事しており、日本銀行券の製造で使用される機械部品から、書籍やソフトウェアのような事務用品、防災用の消火器など取り扱う物品はさまざまです。調達する物品の中には製造現場で取り扱ったことのあるものも多く、工場勤務時代の経験が生かされています。また、専らチームワークが重視された工場勤務時とは趣が異なり、契約課は一人一人が担当を持つ形で業務に携わるため、購買を依頼された部門や取引先の方々とコミュニケーションを図りながら、円滑に業務を進めることを目標に責任感を持って仕事に臨んでいます。

印刷に用いる「インキ」を通し、紙幣の信頼維持に貢献する/N.I.さん

就職活動では「自分が興味を抱いたことは何でも手を出そう」という軸を定め、製薬会社や銀行など他業種にも幅広く目を向けていました。国立印刷局との出会いはマイナビの合同説明会です。たまたまブースに入ったところ、「日本の紙幣を製造している独立行政法人です」と説明されて驚いたのを覚えています。紙幣はてっきり日本銀行で作られているものだと思っていたのですが、日本銀行からの発注に基づき財務省所管の独立行政法人が製造していると知り、驚きました。さらに、日本銀行券には高度な技術が用いられており、ものづくりを通じて通貨制度の信頼維持を担う責任重大な仕事であることを知り、ここならばやりがいを持って続けていけるだろうと確信し入局に至りました。

国立印刷局は入局後、最初の数年は製造現場での勤務が続きます。私の場合は東京工場で日本銀行券に使用されるインキの製造を経験、その後に日本銀行券の印刷も経験しました。現在は東京工場にて、再びインキなどの諸材料の開発等に関する業務に携わっています。
日本銀行券は偽造防止に様々な技術が用いられていますが、インキも重要な技術の一つです。インキは様々な学問的要素の複合体です。「流体」という側面から見れば物理的ですし、「光色」という側面から考えれば光学的です。使用している原材料の論文を読んだり、構造を見たりするような場合もあり、大学時代に培った理学部の知識を生かすこともできます。

論理的な知識が必要とされる一方で、現場の知識・経験も大切です。インキは原材料が変わると色に差異が生まれますが、その差異を一定の品質内に収めなくてはなりません。諸材料の開発は日本銀行券の信頼に直結する仕事なので、基準は非常に厳密です。初めて色を合わせたときは調整に一日以上かかったこともありました。現在は原材料の代替品候補を審査する仕事にも従事していますが、現場での経験が非常に生かされています。原材料が変わるからといって、品質を落とすわけにはいきません。背景を読み解き、あらゆるリスクに備え、早めに動けるように心がけています。

日本銀行券は現代社会において欠かせない存在と言えると思います。今後はインキの開発を通して、日本銀行券の安定供給、信頼維持に寄与する新しい技術の開発に携わっていきたいと考えています。

学生の方へメッセージ

国民の生活に欠かせない製品を社会に送り出している国立印刷局は、製造業としての一面と、国家公務員としての公共的な使命を併せ持ちます。それゆえに大きなやりがいを感じられる一方で、社会的に大きな責任が伴う仕事でもあります。

私たちは、職員が生き生きと働けるように、休暇取得の推進や超過勤務時間の削減を始め、かねてより働きやすい環境整備に力を注いできました。出産・育児に関する休暇制度についても充実しており、2022年度の育児休業取得率は、女性100%、男性76%です。背景には、それぞれの生活を大切にするために職員同士がサポートし合う雰囲気が根付いていることがあります。こうした環境整備の結果として、職員の勤続年数が長いことも特徴です。

職員の成長をきめ細かに支える教育・研修制度もアピールしたいポイントです。新規採用職員研修に始まり、日本銀行券製造に関する基礎から専門的な内容まで学ぶ技術系研修、知的財産や機械設計などの業務に必要な知識を学ぶ職種別研修、国内外の大学や民間企業への長期派遣研修などを整えており、一人一人のキャリア形成を支えています。入局後に製造現場を経験した後は、研究所や本局勤務など幅広いキャリアの選択肢があります。学生時代の専攻のみをもって配置を決定しているのではなく、本人の適性、希望等を踏まえて配置転換を行っているため、柔軟にキャリアを形成して自己実現を図ることができます。
(人事担当)

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職場は和やかでフラットな雰囲気で、さまざまなバックグラウンドを持つ職員が活躍している。高い技術を持つ組織ゆえに、技術者としての意識が強い職員も多いそうだ。

マイナビ編集部から

2024年に20年ぶりにデザインを一新した新しい日本銀行券が発行されるというニュースは大きな話題となった。日本銀行券は日本銀行が発行するが、実際の製造を担当するのは国立印刷局だ。私たちが安心して日本銀行券を使えるのは、同法人による研究や開発の積み重ねがあるからに他ならない。日本銀行券には特殊なインキや製紙技術、印刷手法などの偽造防止技術が用いられており、技術レベルは世界最高水準に達している。取材した3名のように、さまざまな専門性を備えた職員がそれぞれの職務を全うすることで、こうした信用力が生み出されていることが理解できた。

同法人は日本銀行券のほか、旅券や郵便切手など多くの製品を製造している。印刷に特化しているわけではなく、情報サービスの提供も推進。法制分野のDX化の基盤となる官報の電子化や、公的機関で登録された情報を社会基盤となるデータベースとして活用するベース・レジストリのプロジェクトに参画するなど、デジタル・ガバメントの実現に向けた取り組みも進めている。

入局後に全職員が製造現場で知識や技能を習得した後、配置転換を行いながら、本局勤務や研究所など多様なキャリアを選択できる環境にも注目したい。文理に関わらず活躍できる多彩な職種があり、同法人の事業に関心を持つ多くの人に門戸が開かれている印象を受けた。向上心を持って挑戦を続けたいという人は、きっと活躍して成長し続けられるに違いない。

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1876(明治9)年建設の大蔵省紙幣寮の工場に設置された石造りの鳳凰像。鳳凰は国立印刷局のシンボルマークであり、現在も東京工場で大切に保存されている。

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