フィルタと深紫外線の相乗効果でウイルスを削減。独創的なモノづくりで新たな価値を生み出す【石田さん】
「固定概念にとらわれない、他社とは違う新しい空調を目指して社会貢献しよう」という企業風土のもと、新製品の企画・開発を担うのが技術開発一部。より快適な環境づくりを目指してアイデアを出し合い、機能や構造を検討し、試作品開発と評価を繰り返しながら完成を目指していきます。風を感じない空調吹出ユニット『誘引エアビーム』も、“快適に感じる温度や気流は、空間用途や人の代謝量によっても違うはず” “空調機の風を感じることなく長時間過ごせる空間を作れないか” といった着想をもとに開発がスタート。病院やこども園はじめ、女性社員が半数を占める下着メーカーのオフィスなどにも導入され好評をいただいています。
さまざまな新製品の開発に携わってきましたが、近年のトピックスに中部電力様と共同開発した『ベストUVエアー』があります。新型コロナウイルスの感染防止に貢献するべく、 “ウイルス除去に有効な機能を開発し、広い空間を効果的に均一に清浄する” “サステナブルで環境負荷が少ない” といったコンセプトをもとに開発が始まりました。
フィルタを使って空気中の細菌やウイルスを捕集し、深紫外線LEDを照射して清浄化させる仕組みを採用しましたが、フィルタの捕集率を高めればエネルギー消費量が増え、照射が強すぎるとフィルタが劣化してしまいます。そこで、フィルタのサイズや深紫外線LEDの照度などをさまざまに変えてテストを実施し、捕集したエアロゾルを培養して清浄化できているかを確認。結果をもとに再びテストを繰り返しながらベストな組み合わせを追求していきました。目標とする効果が出ずに焦る場面もありましたが、約2カ月かけて満足できるデータを得られた時は、それまでの苦労が全て報われた思いでした。
こうして2021年秋にリリースされた『ベストUVエアー』は、老健施設や病院などのお客様を中心に導入計画が進んでいます。
企画、開発、試験、リリースまでトータルで手がけられることが当社で技術者として働く魅力。手塩にかけた製品が稼働し、お客様から「やっぱり木村工機さんの製品は他とは違うね」とお褒めの言葉をいただくことが何よりのやりがいです。
現在取り組んでいるのは、地球温暖化につながるフロンの使用量を抑え、水を利用した利便性の高い空調システムの開発。業界の常識に一石を投じるモノづくりを通じ、これからも世の中に新たな価値を届けていきたいと思います。
業界初のヒートポンプ式外調機の開発に挑み、20年を超えるロングセラー化を実現【後藤さん】
私が所属する技術開発二部は、空調機の制御ソフトの開発をメインに、基板設計、リモコンなどの制御機器の開発まで幅広く担っています。特に力を入れているのが業務用外調機に関わるソフトウェアの開発です。外調機とは、換気のために外気を室内に取り入れる際に温度や湿度、清浄度を整える専用の機械。たとえば夏のジメジメした空気をカラッと心地よい空気に整えることで室内空調機の負荷を抑えながら、心地よい環境を生み出します。全国各地の工場やオフィスビル、商業施設などで当社の外調機が活躍していますが、近年は工場からの引き合いが増加し、快適な作業環境を生み出すことで人手不足の解消や生産性の向上に貢献しています。
特に印象に残っているのは、『空冷ヒートポンプ式熱回収外調機・ベストブレス』の開発です。プロジェクトが始まった2001年当時、ヒートポンプ式の外調機は世の中に殆どなく、まさにゼロからのスタートでした。さらに、それまで外注していたソフトウェア開発を自社で行うために社内に部署を新設。外注先のシステム開発メーカーで働いていた私もメンバーに抜擢され、ソフトウェアや基板の開発に挑戦することになりました。
テスト環境で正常に動いたとしても、現場環境で不具合が発生するケースは少なくありません。リリースされた後もお客様先の工場へ足を運び、各種センサや制御システムを現場の状況に合わせて細かく調整。工場の立地によっては冬場にかなり低い外気温になるためにコイルが凍ることも分かり、知見やノウハウを蓄積しながら高品質なソフトウェア開発に取り組んでいきました。
こうしたブラッシュアップを繰り返しながら、『ベストブレス』は初号機のリリースから20年以上のロングセラー製品へと成長。ヒートポンプ式外調機という新たな市場を切り拓くきっかけとなったプロジェクトに関われたことを今も誇りに思っています。
仕様の企画からリリースまでの全てに携われることが技術者としての喜びで、大きなやりがい。オフィスビルや商業施設で当社製品を見かけることもたびたびあって、人々の暮らしに貢献していることを日々実感しています。今後も複数台の空調機をまとめて管理するシステムや、IoTを活用した空調の “見える化”などあらゆる可能性を追求しながら、快適な環境を生み出していきたいと思います。
工場から大規模商業施設まで、お困りごとに合わせたプラスアルファの提案で信頼を獲得【藤川さん】
当社には、施主・建築事務所・建設会社へ空調機器の提案を行う「営業開発」と、提案で決まった仕様をもとに設備業者に対して機種の選定、価格折衝、納品までトータルで行う「営業」の2部門があり、私は「営業」に所属しています。お客様との打ち合わせで心がけているのは、お困りごとをしっかり掘り下げること。たとえば工場内をもっと涼しくしたいという要望に対し、まずは現状を細かくヒアリング。「工場自体は涼しいが、作業中に汗ばんでくる」という課題をキャッチしたら、「温度ではなく湿度を下げる方法はどうでしょう」とプラスアルファの提案で解決に取り組んでいきます。単に仕様通りの機種を提案するのではなく、お客様の立場で考え抜くことが信頼に繋がり、自分自身の成長にも繋がっていくと確信しています。
以前、病院に納める空調機の提案を担当した際も、この仕様で納品したら医療従事者の方々が汗ばむ場面が出てくるのではと考え、湿度を考慮したスペックへの変更を提案。納入後に「とても快適に過ごせている」と好評をいただきました。もちろん提案が受け入れられないこともありますが、失敗を恐れず挑戦する中で「こんなことで困っているので相談したい」とお客様から頼られるようになり、空調機以外の知識も身に付けながらスキルアップしていけることが醍醐味ですね。
さらに、全国のランドマークとなる建物の空調を手がけているため、何千万・何億単位の案件に携われることもやりがい。私も大型テーマパークや商業施設などを担当しましたが、巨大物件になればなるほど空調機以外にも様々な設備の取付工事が行われるため、納期の遅れは許されません。指定された期日に数百台の空調機を納めるために、製品の仕上がり日から搬入日までのスケジュール調整に奔走し、後日、完成した建物を目にしたときは嬉しさもひとしおでした。
当社は一品一様のモノづくりを追求して成長してきましたが、それは営業の仕事にも言えること。それぞれのお客様のニーズに合わせたより良い提案を実践していくことが使命であり、面白さでもあります。今後は若手の育成にいっそう力を注ぎ、豊富な知識と提案力をあわせ持つ空調のエキスパートを育てていきたいと思っています。