最終更新日:2025/3/1

キヤノンITソリューションズ(株)

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プロジェクトストーリーを紹介したい

原点は顧客との“共想共創”。AI、映像認識を駆使した革新的ソリューションの創造

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AI商品認識プラットフォーム「StoreMotion」の凄みとは

AI商品認識プラットフォーム「StoreMotion」の企画・開発・販売推進に携わってきたFさんに、技術推進課のミッションや、ソリューションの特徴、プロジェクトを通した学び、やりがい等について伺った。

エンベデッドシステム事業部 エンベデッドシステム技術営業部 技術推進課 課長 
F.R.さん(2004年入社)

社員は語る

「各分野のプロフェッショナルが集まっていますが意見がかち合って収拾がつかなくなることはありません。ミッションをしっかり理解しているからだと思います」(Fさん)
「私のチームにはAIや画像処理に関する勉強会の講師を務めているメンバーもいます。アカデミックな研究発表の場にも積極的に参加してもらっています」(Fさん)
「StoreMotion」は数々の展示会に出展。「店舗DX」に関心のある企業からの引き合いも少なくないという。

AIや映像認識などの先進的な技術を活用し、新たなビジネスを立ち上げる――。技術推進課のミッションとは

エンベデッドシステム事業部は、主に製造業のお客さまの製品開発、とりわけソフトウエア開発の支援を目的とする部署です。もともとはキヤノン株式会社が製造するデジタルカメラ、事務機の製品開発を行う母体として成長を遂げた事業でした。これが現在は「車載組込みソフトウエア」、「半導・FPD製造装置や医療機器のソフトウェア」、「カメラ・プリンタなどのソフトウェア」の開発を行う3つの部隊に分かれています。

私の所属する技術推進課は、エンベデッドシステム事業部の一員として製造業のお客さまを支援しながら、AIなどの先進的な技術を活用し、新たなビジネスを立ち上げることを目的としています。技術推進課のメンバーは9名。AIや映像認識、光学・撮像系、クラウド技術のスペシャリストからなる少数精鋭チームです。これからお話しするAI商品認識プラットフォーム「StoreMotion」のほか、AIおよび映像認識技術の活用により、製造工場や設備点検、物流倉庫における外観検査、非破壊検査の省力化を実現するためのソフトウエアプラットフォーム「Visual Insight Station」の開発も進めています。そのほか、自律走行や自動運転に必須の要素技術である「SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術)」の開発に携わっているメンバーもいます。

この記事でご紹介する「StoreMotion」は、商品棚の上部に取り付けたステレオカメラの映像から、消費者が手に取った商品、あるいは、棚に戻した商品をリアルタイムに自動認識する仕組み。「店舗マーケティングツール」や「レジレス無人決済」などのソリューションへの活用を計画しています。詳しい内容については、後ほどお話しいたしますが、このプロジェクトがスタートしたのは2018~19年頃のことでした。もともとエンベデッドシステム事業部には画像処理を強みとするチームがあり、その技術力を展示会等でアピールするためのソリューションをつくろうと開発に着手したのが始まりです。当初、商材化の予定はなかったのですが、開発の途上でリテールのお客さまから引き合いを頂き、PoC(Proof of Concept:概念実証)を行うことに。お客さまにフィードバックを頂きながら改善を繰り返し、2021年10月にリリース。現在は試験運用を行っています。

顧客ニーズに寄り添ったソリューション。「StoreMotion」のメリットは導入の手軽さにあり

AI商品認識プラットフォーム「StoreMotion」の活用方法の一つとして無人店舗があります。
ここで想定しているのは、オフィスの一角にあるスマホ決済型の無人コンビニなど「マイクロマーケット」と呼ばれる“超小型商圏”です。消費者がショーケースのQRコードをスマホの専用アプリで読み取り、欲しい商品をショーケースから取り出すと、商品棚の上部に取り付けたステレオカメラの映像から、その商品をAIが自動認識。専用アプリ上に商品と価格が表示されます。それを確認の上、「お支払い」ボタンを押すと決済が完了する仕組みです。

「StoreMotion」のメリットの一つは、導入の手軽さにあります。これまでは商品棚に重量センサーを設置して、商品の出し入れを判断する仕組みが主流でした。しかし、この方法では専用の什器を新たに用意する必要があり、導入コストが過大になるというデメリットがあります。また、商品と商品を一定の間隔を空けて配置する必要があるなど、さまざまな制約がありました。その点、「StoreMotion」は、既存の商品棚に三次元計測を行うための「ステレオカメラ」と「映像解析用PC」を設置するだけで導入できるため、コストを抑えることができますし、先に述べたような制約もありません。さらに、商品が棚に戻された情報を収集し、消費者が商品を購入しなかった理由を分析するなど、「店舗マーケティングツール」として活用したいというお客さまのニーズにも十分対応できるのです。

また、独自のアルゴリズムにより、商品を登録するのに必要な画像枚数を削減することに成功。従来はAIに商品を学習させるためには千単位の画像が必要でしたが、150枚程度の画像を現場で撮影するだけで十分な精度を確保できる仕組みを構築しました。お客さまご自身で登録作業を完了できるようにするなど、ユーザーインターフェースもかなり洗練されています。

先ほど申し上げたように、「StoreMotion」は試験運用を進めている最中ですが、今、特に力を入れているのは認識精度の向上に向けた取り組みです。この点に関しては、カメラのレンズ性能・センサー性能の向上によって解像度の高い画像データを活用できるようにするアプローチと、AIのアルゴリズムの性能を向上させるアプローチがあります。いずれにしても、コストとのバランスを取りながら精度向上を図ることが大切だと考えています。

やりがいはコンセプトがお客さまに刺さったとき。お客さまの課題解決につながるソリューション創造に向けて

「StoreMotion」には、先ほどご紹介した無人コンビニ向けの「ショーケース型」だけでなく、トレーに載せた商品をカメラの下に置くと、俯瞰映像から商品の種類と数をAIが自動認識する「トレー型」のソリューションもあります。「トレー型」のソリューションを活用すれば、お皿の裏にRFID(Radio Frequency Identification:電波を用いて非接触で専用タグの情報を読み取る技術)などのチップを実装することなく、学生食堂・社員食堂などのレジの無人化、省人化を図ることができます。また、認識精度をはじめ解決すべき課題はまだまだありますが、将来的には倉庫における在庫管理業務の効率化にも活用できると考えています。

やりがいを感じるのは、製品のコンセプトがお客さまの心に刺さったときですね。展示会などでも「すごい技術だね」と驚かれることはよくあるのですが、私たちが開発しているのはソリューションであり、お客さまの課題をいかに解決するかということ。したがって、「まさにこれが欲しかったんだ」とおっしゃっていただけることが一番の喜びであり、「自分たちがやってきたことは正しかったんだな」と思える瞬間なのです。

このプロジェクトを通しての一番の学びは、高度な技術力を持っているからといって、お客さまにご満足いただける製品を世に出せるとは限らないということです。技術を持っていることが大きなアドバンテージであることは間違いありませんし、これを生かさない手はありません。ただし、お客さまの課題解決につながるソリューションを創るためには、乗り越えなくてはいけないハードルがたくさんあるのです。実際のところ、PoCを通して個々の現場にソリューションをフィットさせていくなかで、「お客さまに教えてもらっている」「お客さまに育ててもらっている」という感覚を強く持っています。エンベデッドシステム技術営業部の一員として、営業部隊と一体となってソリューションを開発することの意義をあらためて感じています。「StoreMotion」は今後、試験運用を通して認識精度のさらなる向上を図った上で、お客さまのサービスに導入される予定です。販売にあたっては、親会社のキヤノンマーケティングジャパン株式会社と連携し、サブスクリプションモデルの活用も検討しています。

学生の方へメッセージ

「やりたい仕事」のできる会社を選ぶことはもちろん大切です。ただ、皆さんには、入社後に「やりたい仕事」ができるよう、自分自身でシフトしていく力の重要性も意識していただきたいと思っています。私の経験をお話しすると、入社当初は、映像認識や自社製品の開発とは無縁の部署で仕事をしていました。ですが、そこでの業務をしっかりとこなしながら、折をみて「やりたい仕事」を上司に伝えるようにしていました。私が今、AIや映像認識といった「やりたい仕事」ができているのは、私の考えを汲み取ってくれた上司がチャンスをくれたおかげだと思っています。その意味でも、周囲の人々としっかりとコミュニケーションをとって、「やりたい仕事」を伝えていく努力が重要と感じています。

当社は非常に風通しの良い会社だと思っています。さまざまな会社の統合によってできたという経緯もあり、数年前まではある種の“壁”を感じることも少なくありませんでしたが、今や出身会社の違いを意識することはほとんどありません。むしろ、組織の多様性、事業の多様性が大きな魅力になっています。周囲のメンバーとコミュニケーションを取りながら、じっくりと学んでいくことのできる人にご活躍いただきたいと思っています。

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「どこの会社でも同じだと思いますが、報連相をしっかりする、わからないことがあればしっかり聞くといった、基本的なコミュニケーションが大切です」(Fさん)

マイナビ編集部から

最先端の技術と高品質なサービスを強みに、製造・流通ソリューション事業や金融・社会ソリューション事業、デジタルイノベーション事業、ITプラットフォーム事業を展開している「キヤノンITソリューションズ株式会社」。今回、同社エンベデッドシステム技術営業部の技術推進課長として、「StoreMotion」の企画・開発・販売推進に携わるFさんにお話を伺った。そのなかで感銘を受けたのが、顧客視点に徹底的に寄り添いながらソリューション開発を進める、その姿勢だった。AIや映像認識といった先端的なテクノロジーを活用するとなると、“技術オリエンテッド”に偏ってしまうケースも少なくない。技術を活用すること自体が目的となり、顧客のニーズと乖離した製品、ソリューションが生み出されることもあるだろう。この点、「StoreMotion」は現場での実用性に徹底的にこだわったソリューションであり、いわば“顧客オリエンテッド”“課題オリエンテッド”に基づいてつくられている。“共想共創カンパニー”をスローガンに掲げ、顧客と共に課題解決策を考え、新たな事業を創出することを大切にする同社らしいソリューションといっていいだろう。ITに興味関心をお持ちの方の中でも、顧客のために役立つソリューションを提供することに喜びを感じられる方におすすめしたい会社である。

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品川区にある天王洲事業所のフロアは、至るところにグリーンが配置され、開放的な雰囲気が広がっている。

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