最終更新日:2025/4/17

(株)フジシール【フジシールグループ】

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  • 上場企業

業種

  • 化学
  • 印刷・印刷関連
  • 機械
  • 機械設計
  • 日用品・生活関連機器

基本情報

本社
東京都、大阪府

取材情報

プロジェクトストーリーを紹介したい

詰替え容器の世界に革新を巻き起こせ――、あるキーパーソンの挑戦

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フジシールだからこそ実現できた革新的な価値創造

従来型の詰替え用パウチが抱える課題をクリアし、新たな価値を持つ次世代パウチを実現せよ――。そんな革新的なミッションに挑み、その可能性をさらに広げている大鹿さんのプロジェクトストーリーに迫りました。

大鹿 智貴さん
パウチ事業本部 開発技術部
理工学部研究科機能分子工学専攻
2006年入社

<プロジェクトの変遷>
2005年 新しいパウチを開発するプロジェクトが発足。
2010年 「フジパウチ」と命名して東京国際包装展TOKYO PACKに出展。
2012年 花王様の詰替え製品開発のプロジェクト立ち上げ。
2015年 「エッセンシャルシャンプー」の詰替え製品の生産開始。その他商品の詰替え製品も次々に生産。
2020年 多種多様なフジパウチの生産ができるように生産機械の開発に着手。生産プロセスや包装設計を見直す。
現在、「フジパウチ」は多彩なジャンルの詰替え製品に採用されています。

フジパウチの秘話

上下にマチをつくり、大きなキャップを付けることで究極の詰替え性を実現。業界に革命を起こしたフジパウチはシャンプーをはじめ、多彩な詰替え製品に採用されている。
包材設計担当の大鹿さんは、機械設計や生産現場のメンバーと試行錯誤を繰り返し、多くの課題をクリア。これからも新たなチャレンジを続け、製品の可能性を広げていく。
「生活に身近な製品に関わることが多いので、ドラッグストアなどの店頭で目にしたり、新製品のTVCMを見たりしたときにやりがいを実感します」と笑顔で語る大鹿さん。

序章―― プロジェクトの発足

●新たな価値創造への挑戦
「何か目新しいパウチが出来ないものか」――。そんな当社上層部の声が上がったのが2005年のこと。フジシールという会社は、現状に満足することなく、常に新しいものを追い求める文化があり、それをカタチにしてみよう、ということで「これまでにない新たな形状や特性を持つパウチ」を試作したことが本プロジェクトの序章となります。当社はパッケージ業界のリーディングカンパニー。このプロトタイプ「フジパウチ」は、その立場を確固たるものとする上で、非常に大きな意味を持つものでした。

●新しいパウチの特徴
従来の詰替えパウチはマチが下部だけに設けられていましたが、新しく開発したパウチは上下にマチを設けることでボトルのような形状となる点に特徴があります。ボトル形状となることで従来パウチと同じ容量ながらコンパクトにすることが可能となり容積効率が向上します。これによって保管効率や輸送コストなども向上することとなり、メーカーにとっても、ドラッグストアなどの小売店にとっても大きなメリットとなります。加えてこれまでにないパウチ形状により、シャンプーなどの製品をよりスタイリッシュに魅せるなど、デザインやプロモーション面でも新たな価値を生み出すことが可能となりました。

●2012年 花王様とのパウチ開発プロジェクトが始動
この新たなパウチを「フジパウチ」と命名し、2010年包装関連の展示会「東京国際包装展TOKYO PACK」に出展しました。そして2011年末、今後拡大が続いていく詰替え製品において、より消費者にとって「使い易い、詰替え易い」パウチを開発すべく、花王様より包装資材メーカー数社へ声がかかりました。複数の提案があった中で当社が開発を進めていた「フジパウチ」が選ばれ、開発取組先メーカーに選定頂く結果となりました。

次章―― 価値創造への挑戦

◆プロジェクトの始動
「フジパウチ」は、当社にとってこれまでにない新たな価値を生み出す新規事業ということで、社内でも秘密裏に進められました。それゆえプロジェクトの人数規模も包材担当の技術営業としては、私を含めて3名だけの小所帯。一人ひとりが担う役割は幅広く、私は素材の選定から包材設計、生産設計、品質管理まですべてを担いました。営業技術として花王様との窓口に立ってその要望をキャッチし、先方が望む仕様を満たすために何度もフィルム等の素材の組み合わせを試験したり、構造を変えたりしながらスペックを追い込んで行きました。

◆どんな苦労があったか
一言で表現すると「明けても暮れても試験評価」。従来の詰替えパウチとは違い、まったく新しい形状と構造のパウチなので、強度確保の部分で苦労させられましたね。商品が置かれる棚から落下した場合の強度検証など、日常的に使う中での「漏れ」を想定した試験を行うのですが、新しいパウチに関する事例やノウハウはゼロの状態。すべて手探りで評価試験を考え、あわせて試験環境も整えていくことが求められました。その苦労と労力は想像以上で、裂けた断面を顕微鏡で調べることも。加えて、経年変化などロングランのデータがなかったため、季節や温湿度に応じた素材の変化など、年間を通じたデータのサンプリングにも尽力しましたね。

◆足掛け3年で生産開始へ
「フジパウチ」が生産開始されたのが2015年8月。足掛け3年でようやく花王様への納品が行える体制を築けました。当社の新たな価値を創造し、お客様である花王様のご要望にお応えすることができ、達成感は非常に大きなものがありましたね。この「フジパウチ」は第一弾として「エッセンシャルシャンプー」の詰替え容器に採用。花王様のご要望の一つであった詰替え性が向上したということで、CMなどのプロモーションでも「詰替えやすさ」を大々的に謳っており、そのお手伝いができたことに大きな手応えを感じました。

終章―― 新たな挑戦により、可能性を広げる

◆予想を超える反響
「フジパウチ」の最大の特徴は、究極の詰替え性です。円柱状で持ちやすく、キャップ付きで開けやすい。注ぎ口が広いので詰替え時間が早く、中身を残さずに注ぐことができます。包装業界の権威ある賞である木下賞(新規創出部門)を花王様とフジシール共同で受賞するなど、自分たちが想像した以上に大きな反響と賞賛があったことに驚きましたね。この特性を活かし、花王様は詰替えパウチを本体として利用できる専用の「スマートホルダー」、S字フックにつりさげて使える「らくらくスイッチ」を開発され、詰替えいらずの新発想を提案。新たな価値創造に取り組む花王様とパートナーシップを組み、革命を起こせたことは大きな喜びに繋がりました。

◆新たな生産機械の開発に着手
様々な業界からオファーを受け、2020年からパウチの容量や形状、口栓、構成(素材)など、お客様の様々な要望に対応できるパウチの生産機械の開発にも取り組みました。特に苦労をしたのは、包装材の設計です。これまでとは異なる新しい生産プロセスに変更し、それでも品質を落とさないように耐性試験と落下試験を繰り返して設計のブラッシュアップを図りました。さらに生産現場ではパウチのサイズや形状に合わせて部品を交換するため、稼働率の低下や部品交換起因での不具合発生という課題に直面。そこで部品ではなくユニット全体を入れ替えるなど設備面の改良を行うことで型替えの再現性を高めることに成功しました。

◆食品などのジャンルにも展開
お客様の要望にフレキシブルな対応ができる生産体制が整うと「フジパウチ」の用途は格段に広がりました。これまではヘアケア・スキンケア製品が中心でしたが、歯磨き粉や洗口液などのオーラルケア、調味料をはじめとする食品、除草剤などあらゆる製品に採用され、目を惹くパッケージ、持ちやすい形状などデザイン性や機能性も向上。次々と新たな価値を生み出しています。また、本体容器と比べてプラスチックの使用量を1/5~1/10に削減でき、環境保全の面でも貢献しています。これからも開発職として新たな形状の開発や品質の安定に取り組み、市場を広げていきたいと考えています。

学生の方へメッセージ

まずは、自分のやりたい仕事や興味のある分野について深く調べることです。私の場合、大学で取り組んでいたプラスチックの研究を活かしたいと思い、その分野の開発職を中心に企業研究を進めました。なかでもペットボトルの包材であるシュリンクラベルでトップクラスの実績を誇る当社であれば、幅広いジャンルにおいて新しい技術や製品の開発に挑戦できると思い、入社を決意しました。

また、トライ&エラーの精神を大切にし、失敗を恐れずにチャレンジする風土が根づいていることも決め手になりました。フジパウチのプロジェクトでも機械設計や生産現場などの関連部署、他拠点の多くの人たちと関わってきましたが「お客様のためによりよいものを創り出そう」と意見交換を重ね、一丸となって取り組んできました。情熱を持つメンバーと切磋琢磨しながら自己成長のできる職場が魅力です。

ものづくりは一人ではできません。チームワークでいくつもの課題を乗り越え、苦労と喜びを分かち合いながら最後までやり遂げていきます。だからこそ、情熱を注げる仕事を選んだ方がいいと思いますし、どんなメンバーと一緒に働くのかも重視すべきでしょう。自分なりのこだわりを持ち、最後まで妥協せずに取り組んでほしいですね。
(大鹿さん)

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「当社にはチャレンジする人が活躍できる社風が根づいています。これからもトライ&エラーを通じて、世の中にインパクトのあるものを生み出したいですね」と大鹿さん。

マイナビ編集部から

日常的にペットボトル飲料を利用していても、製品名などが印字されているラベルを手掛けている会社を知っている人は少ないだろう。実はフジシールが世界で初めてシュリンクラベルの開発に挑戦し、現在に至るまで業界をリードし続けているのである。

1879年に木工業メーカーとして創業した同社は、世の中の容器トレンドに合わせて木製の樽から瓶、缶、プラスチックへと進化を続け、1950年代にシュリンクラベルの開発をきっかけにパッケージビジネスに転身。いち早くグローバル市場に進出し、素材の研究開発から機械の設計開発、製造までの一貫体制により独自の技術を培ってきた。日本国内はもちろんのこと、米国や欧州でも数多くの実績を誇り、シュリンクラベルの代名詞的存在として確固たる地位を築いている。

2000年代からは、使いやすさや環境に配慮したソフトパウチ製品の将来性に着目。飲料・日用品・医薬流動食などの分野で市場を開拓し、その流れで「フジパウチ」という今までにない次世代型のパウチを生み出した。このプロジェクトの一員である大鹿さんから開発の苦労話や製品の優位性、市場規模の拡大などの話を聞き、今後の可能性と将来性を実感。最後に「今は環境に配慮した新製品の開発に取り組み、これから世界規模で展開していきます」と語ってくれた。新しい分野に挑みながらあらゆる産業界に貢献し、10年、20年後の話をいきいきと語る姿が魅力的に映った。

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「フジシールだからこそ、常に最前線に立ち新しいことに挑戦できます。世界を視野にダイナミックに活躍できることが当社の魅力です」と語る先輩たち。

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