最終更新日:2025/6/3

(株)中嶋製作所

  • 正社員

業種

  • 機械
  • 機械設計
  • ソフトウエア
  • 農林・水産
  • 食品

基本情報

本社
長野県

取材情報

事業について伝えたい

あなたが普段食べているその肉は、当社のお客様が育てたものかもしれない!

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日本の畜産業を支える、業界トップの畜産機械メーカー

国内では数少ない畜産機械メーカーの中で、業界トップクラスの『中嶋製作所』。今回は、取締役の黒岩祐介さんのもとを訪ね、事業内容や歴史、強み、今後の展望を語ってもらった。知られざる百年企業の実態とは?

長野県長野市に本社を構える『中嶋製作所』。業績が伸び続けているのにも関わらず、社員の数は、20年前からほとんど変化がないそう。社員の数は約100人。全国各地にある協力会社と連携しながら、少数精鋭で売上を伸ばし続けている。

中嶋製作所ってどんな会社?

建築や機械工学、制御、動物行動学など幅広い知識が求められる仕事だが「10年、15年かけてじっくり専門知識を吸収してくれればいい」と黒岩取締役。
主力製品である養鶏向けの全自動給餌装置。常に新しい飼料が供給される仕組みになっている。ゲージ1段・1列ごとに給餌量の調節もできる。
日本の畜産業に欠かせない様々なシステムを開発・製造してきた同社。きめ細やかなカスタムメイドとアフターフォローで信頼を勝ち取ってきた。

お客様にも動物にもストレスのない畜舎環境を

大正10(1921)年に、養蚕や養鶏育雛機器のメーカーとして始まった当社。その後、順調に事業を拡大し、創業100周年を迎えた現在は、養鶏、養豚、養牛の3部門をトータルで担う畜産機械専用の総合メーカーに成長しました。養鶏は、採卵とブロイラーの両方をカバーしていて、酪農を除く日本の畜産業全般を陰から支えています。
“畜産機械”と聞いてもピンとこない方が多いかもしれませんが、我々の仕事は皆さんの食生活と深く結びついています。たとえば、スーパーの精肉コーナーに並んでいる肉は、当社の機械設備を導入した農場で育った家畜のものかもしれません。特に鶏肉においては、当社の国内シェアは7割と群を抜いて高く、精肉だけでなく、大手外食チェーンのフライドチキンやコンビニエンスストアのレジ横で販売されている唐揚げの鶏肉も、これに該当します。有名メーカーのギフト用のハムに使われている豚の農場にも当社の畜産機械が寄与。ひと口食べただけで「ストレスフリーの環境で育った豚なんだな」ということを感じていただけるほど、おいしい商品に仕上がっています。「畜産機械って何だろう?」と思われていた方も、「普段口にしている精肉や加工肉、卵をおいしく、安全に食べられるのも整った飼育環境があってこそ」と考えると、なんだか親近感が湧いてきませんか。
最新の畜産機械を通じて快適で便利な飼育環境を提供することは、豊かな食生活を支えるだけでなく、掃除やエサやりなど、畜産農家さんの日々の作業負担を軽減することにも貢献しています。また、健康的な家畜は病気にもかかりにくく、肉質も良いため、国産肉のブランド価値の底上げにもつながっていることでしょう。お客様にも動物にもストレスのない畜舎環境を提供することで、当社は日本の畜産業を総合的に支えているのです。

カスタムメイドでお客様の想いをカタチに

我々の主力製品は養鶏、養豚及び養牛の給餌給水設備。他にも、畜舎の全自動空調環境システムや畜舎の洗浄ロボット、ICTを活用した遠隔監視システムやトレーサビリティシステムといった幅広い畜産機械を手掛けることで、畜産の現場を総合的に支えています。当社の一番の強みは、開発、設計、製造、販売、アフターフォローまで、全工程を一貫して請け負えるということ。お客様が不安やトラブルを抱えた時に、迅速に対応できる点も特徴の一つです。日本には畜産機械に特化したメーカーがほとんどないため競合は海外メーカーになるのですが、“痒い所に手が届く”きめ細やかなサービスを提供できるのは、国内メーカーならではの強みといえるでしょう。
また、当社ではお客様の要望に合わせて仕様を変更できるカスタムメイドのスタイルを採用しています。なぜなら、畜産の現場は一つとして同じ物がないからです。敷地の広さも、形状も、お客様によって様々。同じ畜舎は二つと存在しないので、設置のレイアウトもワンパターンというわけにはいきません。ベースは同じ仕組みの給餌システムを使っていたとしても、お客様の想いをカタチにするのが我々のポリシー。「作業のしやすい、ストレスフリーな畜舎になった」と、お客様から感謝のお言葉をいただいています。
“メイドインジャパン”にこだわり、ボルト1つに至るまで、信頼できる国内産の部品を貫いている当社。数十年前に購入した製品のパーツでも、変わらず部品供給しているので、お客様からは「安心して使い続けられる」と大変喜ばれています。また、東北営業所(岩手県)、南九州営業所(宮崎県)、苫小牧出張所(北海道)の営業拠点と共に、全国各地にあるアフター協力会社により、修理依頼にも迅速に対応できるシステムを構築しているのも特徴です。目指しているのは、相談からカスタムメイド、アフターフォローまでトータルでの“便利で頼れるパートナー”。お客様一人ひとりに寄り添い続けてきた結果、国内トップメーカーとして、ここまで走り続けてくることができました。おかげさまで今も業績は伸び続けています。

創業100周年を迎えてなお広がっていくビジネスチャンス

後継者不足問題や輸入肉の台頭が目立つ昨今ですが、日本の畜産業の未来は決して暗いものではありません。なぜなら、卵や肉の消費量は、減少するどころか、今なお増え続けているからです。価格の安い輸入肉との闘いは今後も続いていきますが、食品としての需要がなくなることはないでしょう。おいしさの面でも安全の面でも、国産肉は絶対的な信頼があるので、日本の畜産業はマーケットとしてまだまだパワーを秘めていると確信しています。確かに高齢化や過疎化による後継者不足で農家の数自体は減少していくかもしれませんが、その分、資本力のある企業や団体が畜産業にどんどん参入してきているので、問題はないと考えています。むしろシステム化された大きな畜舎を管理したり、人手不足を解消するために、今後はますます機械に頼らざるを得ない時代になることが予想されます。こうした時代のニーズに応えていくことで、新たなビジネスチャンスが期待できます。
これまで給餌給水設備の開発・製造を中心に事業展開を進めてきた当社ですが、国の出先機関である農研機構や香川大学などの研究グループと共に畜舎洗浄ロボットを開発しました。中規模養豚農家向けの、日本の狭い豚舎通路にも対応したコンパクトで安価な豚舎洗浄用ロボットが誕生。これまでの豚舎洗浄は、長時間をかけて人間の手で行う過酷なものでしたが、このロボットの誕生により、人手による洗浄時間を3割以下に縮減することが可能になりました。徹底した洗浄と消毒を行うことで疾病のリスクも低減できます。現在は、こうした技術を生かし、養鶏関係の洗浄ロボット開発を進めています。また、時代を見据えてICTを活用した情報通信機器の開発にも力を入れております。さらにもう一つ、昨年5月に北海道にも拠点を設けました。日本の畜産業の中枢を担っている北海道のお客様を支えることで、業界の発展や国産肉のブランド力向上に一層寄与できればと思っています。創業100周年を迎えてなお、我々の夢は尽きることがありません。

学生の方へメッセージ

畜産機械を製造・販売する国内のリーディングカンパニーとして、日本の畜産業の発展に寄与してきた当社。一般の方にはなじみのない分野ではありますが、オリジナルブランドの「ナカマチック(nakamatic)」は業界でも一目置かれる存在です。当社のようなニッチトップの企業はたくさんあるので、ぜひ広い視野を持って就職活動を進めてほしいですね。知らないまま終えてしまうのは、正直、もったいないと思います。また、入社後の「こんなはずじゃなかった!」というミスマッチを防ぐためにも、会社説明会にはぜひ参加してください。当社の場合は製造工場を見学したり、先輩に直接質問をすることもできるので、入社後の仕事のイメージや職場環境をつかむことができるでしょう。

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宴会やバーベキュー、篠ノ井地区のびんずる祭りの参加などレクリエーション活動も盛ん。二年に一度は、社員旅行も実施しているそう。

マイナビ編集部から

取材にあたり、同社の会社説明会用の資料を読ませてもらった。そこには、堅調な伸びを見せる過去6年の売上高営業利益率や自己資本比率の推移などが書かれていて、好調な業績を見てとることができた。さすがは業界のトップ企業だ。だがそれ以上に、ネガティブな情報も包み隠さず書かれていることに驚いた。たとえば「いい会社」の基準が書かれたページには、組織として「実現できていること」と「できていないこと」が○×で表記されている。「平均年間賃金(平均年齢)業界平均以上」や「正社員の転職的離職率3.0%以下」という項目は○。「1カ月の社員一人当たり超過労働時間10時間以下」という項目には×が付けられていた。なんと正直な会社だろう。また、社員全員で5S活動などの改善活動に取り組み、効率よく働くために、考えて行動していこうという積極的な姿勢が見られたのも好感が持てた。黒岩取締役によると、下駄を履かせずありのままを伝えることで、学生とのミスマッチを防いでいるそうだ。同社の離職率の低さはこういったことも関係しているのだろう。「65歳まで勤め上げてほしい」と取締役は話すが、一番長い人は76歳になった現在も第一線で活躍している。所属は設計関係の部門。培った専門知識や技術があるからこそ、希望を出せば定年後も長く働ける。

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歴史ある百年企業でありながら、変化を恐れず、常に新しいことに挑み続けている同社。職場環境の改善や社内制度の見直しにも積極的だ。

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