最終更新日:2025/3/1

興亜耐火工業(株)

  • 正社員
  • 既卒可

業種

  • ガラス・セラミックス
  • プラント・エンジニアリング
  • 金属製品

基本情報

本社
岡山県

取材情報

仕事・キャリアパスについて伝えたい

顧客に億単位の利益をもたらす“消耗品”! 電気炉製鋼用耐火物メーカーの秘宝とは?

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営業・技術・製造のエキスパートが育て続ける『興亜耐火』の価値

(写真左から)
大和 正明さん(技術部技術科課長代理/2006年入社)
木原 和希さん(営業部営業課/2018年入社)
野崎 和彦さん(製造部製造課課長/1998年入社)

興亜耐火工業は1948(昭和23)年、岡山県備前市に創業した製鋼用電気炉専門の耐火物メーカー。社会インフラの整備と発展、さらには人々の暮らしに欠かせない鉄鋼製品の生産を、耐火物・耐火レンガといった“消耗品”の開発・提供を通じて支え続けてきた。自社製品自体が世の中で日の目を見ることはないが、それでも現場のエキスパートたちが業界の成長と発展に懸ける想いは、炉内より熱く、鉄鋼に勝るほど強い。

先輩社員の横顔

未知の業界での営業、経験もまだ浅い木原さんだが、尊敬できる先輩たちによる丁寧な指導とノウハウの徹底で顧客から信頼される存在に。“会社の顔”として自分をアピール。
いかにも技術者らしい冷静さと忍耐強さを備える一方で、取引先への想いはことさら熱い大和さん。「お客様からの喜びの声が、すべての苦労を忘れさせてくれます」。
「自分の苦手を克服するために」独学でソフト管理能力やプログラム設計技術を習得した野崎さん。製造課長としてはもちろん、今や社内SEとしても頼りにされる存在だ。

【情報収集力がすごい!】知識ゼロから飛び込んだ世界で、顧客の立場で行動し、自分の強みを生かす

大学時代は法学部で学びましたが、自分が何をしたいのか手探り状態のまま就活を開始。いくつか条件を定め、合う企業を訪問する中で、興亜耐火工業に出会いました。「フレンドリーな方が多くて働きやすそうだな」と大切にしていた第一印象の良さが自分の中で終始感じられたことが、入社の決め手となりました。

主要製品である耐火物、耐火レンガについてはまったくの知識ゼロ。何に使われるかのイメージすらもほとんどなく、少々不安はありましたが、入社後半年かけてじっくり研修を受けました。製品や製造現場の流れ、開発の様子などを勉強する中で大まかな知識を身につけることができました。そしてその後は先輩に同行し、お客様とのやり取りを間近で感じながら、OJTで営業としてのスキルを覚えていきます。段階を踏んで徐々に知識や経験を増やせ、さらに先輩方が細やかに指導してくださったことで次第に不安は消えていきました。

当社のお客様は全国に広がっていますが、担当はエリアで分けられ、私は大阪や姫路などの関西圏と山陰を担当しています。高炉製鉄会社や電気炉製鋼会社など長いおつきあいをいただいている既存顧客ばかりなので気心は知れていますが、築いてきた関係をより強く長く継続するためには何が大事なのか、自分なりに考えながら対応しています。
訪問した際にはお客様との雑談の中にあるヒントや現場の掲示物にも気を配り、生産工程の変化がないかとアンテナを張っています。普段から把握しておけば、急な納期変更にも快く対応できますから。ささいなことかもしれませんが、情報収集の意識を常に持つように心がけています。
耐火物の歴史は長く、鉄鋼生産に不可欠なものとして需要は安定していますが品質や納期面などお客様毎のニーズを正しくキャッチし、しっかりと対応していくことが非常に重要と考えています。“自分の対応力を買ってもらう”意識で、会社の顔であることを肝に銘じています。

会社はライフワークバランスもしっかり取れており、誕生日月の有給取得奨励制度などユニークな制度も整備されています。人間関係も良好なので居心地がよく、皆さん面倒見のいい方ばかり。「どう働くか」も大切ですが「誰と働くか」も企業を見分ける重要なポイントだと私は思っています。

【品質向上力がすごい!】取引先に数億円もの利益をもたらした、業界屈指の技術力と静かな闘志

技術部SE(サービスエンジニア)である私の仕事は、今よりさらにお客様のご要望・理想に近づける耐火製品を実現することです。そのため営業と同様にお客様先を定期的に訪問しますが、SEによる炉材点検ではより技術的観点から使用状況や耐火物の状態をチェック。必要に応じて交換を促すだけでなく、確認データを持ち帰ったうえでそれぞれのお客様に最適な製品の開発・研究に取り組んでいます。

稼働率がそれほど高くない電気炉の場合、施工された耐火レンガは数週間でも、場合によっては数カ月でも使用することができます。一方、連日絶え間なく稼働する電気炉であれば、まったく同じ製品を使用していても長く持って2週間。それ以上使用すると耐火レンガの消耗が進み、炉内で溶融する鉄鋼の品質に問題が生じるばかりか、電気炉そのものが損傷して稼働がストップする恐れもあります。そのため耐火レンガは定期的に交換しなければなりませんが、問題はその交換コスト。電気炉が巨大であればあるほど必要なレンガの数量も費用も増大しますから、お客様の負担は決して軽くありません。もちろん、製品の品質自体に問題がなくあらかじめ設定した額で取引が成立している限り、より高頻度で製品を納入できる方が当社の目先の売り上げは大きくなるでしょう。けれど当社にとってお客様は、立場は違えどともに鉄鋼業界を支える“同士”。耐火レンガにかかるコスト抑制でお客様先の原価低減に寄与することは、鉄鋼業界において当社の存在意義を示すことでもあります。そのため私たちSEはお客様先の炉内の状況に応じて耐火レンガの厚みや材質、形状などの検証・試作・テストを繰り返しながら、より高耐性・高品質・高効率な製品の開発に取り組み続けています。

製品の性質上、社会で最終的に評価を受けるのは、私たちが手掛ける耐火物ではなく耐火物を使った電気炉で生産される鉄鋼製品。そのため私たちの仕事が世の中に広く知られる機会はほとんどありません。けれど、ご提案した製品で抑制できるお客様先の生産コストは時に数億円にも上り、その成果を目の当たりにしたときの喜びや達成感は何物にも代えられません。今後もさらなる研鑽を重ねるとともに、お客様の立場に立って能動的に行動できる仲間を一人でも多く育てて行けたらと思っています。

【業務改善力がすごい!】駆け出しのころの小さな思い付きと行動が、全社員の働き方を激変させた

営業であれ、技術職であれ、製造であれ、組織で働く私たちは皆、主要な任務のほかにさまざまな業務を抱えています。かくいう私もかつては耐火製品のプレス加工を担当していましたが、業務に付随して指示書や業務日報といった書類の作成は必須。しかも当時はペーパーレスなどという言葉もなくすべて紙上の手書きで、もともと字を書くことが苦手な私にはことさら負担が大きく感じられたものです。

そんな私が面倒な手書き作業から逃れようと挑戦したのが、各書類・データのシステム化でした。まずは業務日報のワープロ打ちからスタートし、独学で身に着けたエクセルを活用して日報や仕様書など身の回りの書類はすべてソフトで管理。それが部内で好評だったことからさらに知識や技術を広げ、外注管理や在庫管理、受発注システムなどを次々と開発していきました。はじめは苦手な作業から逃れたいがために、その後は同僚や上司が喜ぶ姿を励みに取り組んできたことでしたが、その挑戦はさらに予想以上の成果をもたらしてくれました。受発注や在庫管理状況などさまざまな情報・データが社内LANを通じて全社で共有できるようになると、全体の業務スピードが飛躍的に向上。通常、お客様から受注した製品は在庫があっても情報共有や準備に時間がかかり発送は早くて翌日・翌々日でしたが、最近は午前中に受注した製品をその日のうちに発送することも少なくありません。状況の伝達や把握に要する時間を節約できるようになったことで営業は営業活動に、技術部は開発や試験により多くの時間を当てられるようになったのに加え、部署間の連携力もアップ。結果としてそれぞれの業務や製品・サービスの質まで改善・向上させることができたのです。

苦手を克服するための小さな思い付きが、20年の年月を経てまさかここまで発展するとは、当時は想像もしていませんでした。けれど自ら開発したシステムが今や当社のあらゆる業務を支えているのだと思うと、行動する大切さや探求心をもって成長し続けることの価値を実感せずにはいられません。仕事を通じて仲間たちの役に立つことができたおかげで、自分が誰かの助けを必要とするときも安心して頼ることができるようになったことも、またひとつの財産。今後も自分の気付きや得意を存分に発揮しながら、よりよい環境づくりに取り組んでいきたいですね。

学生の方へメッセージ

耐火物・耐火レンガと聞くと、家の外壁や外構、暖炉の壁を覆う長方形の角材を思い浮かべる人も多いかもしれません。実際に当社が手掛ける耐火物・耐火レンガは製鋼現場に欠かせない必需品。自動車や鉄道、船、ビルといった社会インフラを支える鉄鋼製品は、1,500℃もの高温に溶融された鉄鋼原料から高炉や電気炉を守る私たちの技術・製品がなければ、決して生み出すことができません。
また私たちの仕事は、これからの循環型社会とマッチする側面が大いにあり、使用済みの鉄スクラップを新たに蘇らせるなど未来明るいリサイクル型産業を根底から支える、今後伸び盛りの企業だと自信を持って言えます。そしてその中で、電気炉の存在感はますます大きくなるでしょう。
そんな当社の強みはお客様のニーズを細やかにくみ取る営業、そのニーズを知恵と技術でカタチにする技術・製造などさまざまな部門が密に連携し、常に新たな製品を生み出し続けているところにあります。世の中になくてはならない製品を手掛ける誇りとともに、互いに信頼し尊敬し合えるチームの中で、お客様に必要とされる喜び、新たなものづくりの達成感を常に実感し続けられる環境が、大きなやりがいと成長へのモチベーションになっています。
皆さんも、自分にとってのやりがいとはどういったところから見出せるのか、そういった部分も考えながら企業研究を進めていってくださいね。

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当社が手掛ける耐火物。日々1,500℃もの高温にさらされる過酷な環境での耐性を追求しながら、顧客のニーズに応じた多彩な材質や厚み、形状の製品を生み出し続けている

マイナビ編集部から

岡山県備前市は、日本の耐火物業界のうち約3分の1が集積する国内屈指の耐火物の生産地。なかでも興亜耐火工業は1948年の創業以来70年もの歴史を築いてきた老舗だ。
その長い歴史のなかで、国内に存在する電気炉製鋼メーカーほぼ全てとの取引実績を持っており、トップクラスのシェアを誇る。しかしながら本特集でも触れた通り、耐火物はその歴史が深いだけにメーカーごとの技術差が小さく、販売においてはユーザーとの関係性が大きく左右する難しい市場でもある。
そんな中で今なお同社が顧客からの支持を広げ続けているのは、新たな新規顧客の開拓ではなく、既存のお客様の信頼をより深く、親交まじえることを主眼とした営業スタイル、また電気炉製鋼用耐火物に特化して開発し続けてきた多種多彩な製品群と、新たなものづくりに挑み続ける作り手たちのたゆまぬ努力が最大の源泉だ。
その成果を象徴的に示したのが、耐火物メーカーが合同で開催した2020年のVA(価値分析)発表会。大和さんを中心に構成された興亜耐火チームは、耐火物の品質・性能向上を追求したパネルセッションで見事2年連続で金賞を獲得。脈々と受け継がれてきた技術と顧客目線の豊かな発想力で、既に成熟した業界・企業であってもさらなる成長と革新を実現できることを証明した。社会インフラ・暮らしの必需品を支える鉄鋼業界の安定性に甘んじることなく、あくなき挑戦を続ける同社のさらなる飛躍に期待したい。

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備前市に本社を構える興亜耐火工業。日本屈指の耐火物生産地である備前市から、安全で快適な暮らしや社会インフラを担う全国の製鋼メーカーを縁の下で支えている

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