最終更新日:2025/6/12

川田工業(株)【KTI川田グループ】

業種

  • 建設
  • 建築設計
  • 建設コンサルタント
  • その他メーカー
  • 金属製品

基本情報

本社
東京都、富山県

取材情報

DXが変える、私たちの仕事

土木・建築の現場を変える!数々の功績を収める橋梁メーカーが挑む3つのDX

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100年を迎えた老舗橋梁メーカー「川田工業」が創る業界の新常識

・北川 悟さん(事業企画部/2021年中途入社)
※写真左

・池田 俊雄さん(橋梁事業部 開発部/1993年入社)
※写真右

・櫻井 真奈美さん(橋梁事業部 開発部/2021年入社)
※写真中央

橋梁メーカーであり、鋼構造物のスペシャリストである川田工業。同社では自社の成長のみならず、業界全体の発展に貢献するDXを推進している。それぞれの立場で進める同社のDXについて話を伺った。

溶接業界の課題解決に向けたDX、3Dデジタル溶接マスクシステム開発で見えた新たな可能性

当社は橋梁事業、鉄構事業、建築事業の3本柱で事業を展開してきました。新たな柱として、屋上緑化システムや太陽光発電機の販売など「環境」「防災」をキーワードにした事業が加わり、さらにDX製品・サービスの開発にも尽力しています。その一つが、3Dデジタル溶接マスクシステムです。溶接マスクに内蔵した小型カメラが捉える溶接状況を3D映像に変換し、溶接中や溶接後に溶接動画を確認できます。これによって、溶接作業者は通常よりも広く鮮明な画像を見て溶接を行ったり、確認することが可能になりました。

開発の背景には、当社の溶接技術を向上する目的と、溶接業界が抱える課題があります。溶接業界では少子高齢化による慢性的な人材不足と技術伝承の困難が深刻化していました。特に後者は、「見えづらい・見せづらい・伝わりづらい」という溶接の特性上、若手の成長速度が遅くなる状況を引き起こしています。加えて、優れた技量を持つ溶接士の引退が続き、解決策を見出せずにいました。これらの打開策として着目したのが、DXによる可視化です。3D映像に変換・表示することで見えづらかった部分の可視化や、溶接士のアークの軌跡や溶融池の推移などの技量の定量的評価も可能です。これらは熟練溶接士ならではの経験値やコツなどのノウハウを可視化できることが、最たる特徴と言えます。現在は溶接士の教育を目的に、自社工場のほか職業訓練校での運用が主ですが、今後は実溶接現場にも溶接可視化技術を適用していく予定です。

3Dデジタル溶接マスクシステムは「技能伝承」をテーマに開発しましたが、今後は緑化システムなどの運用管理を可視化する仕組みを開発していきます。IoTやAIによるビッグデータを活用して、煩雑な管理作業の効率性を高められればと考えています。ゆくゆくは当社の成長のみならず、土木・建築業界全体の発展に貢献できるよう、DXを事業として拡大していきます。

DXが叫ばれる中でも、土木・建築業界は伸びしろがあり、どんどん新しい技術を発展させていける業界です。だからこそ、最新技術を活用したDXは取り組むほどにやりがいが大きくなると感じます。将来的には当社のノウハウとDXを掛け合わせて、エネルギーマネジメントなど大きな視点で革新を起こす事業を生み出せればと考えています。(北川さん)

社員が語る川田工業の魅力

「当社は自由度が高い社風。若手の意見に耳を傾ける文化が根付いているため、裁量を持って働けます。本人次第で活躍の場を選べることが当社の魅力です」(北川さん)

目指すはロボティクスで建設現場の働き方改革。自由闊達な風土で生まれたアバターロボットで描く未来

橋梁事業部開発部では、橋梁建設の現場や工場での生産性向上と品質向上を両立させる技術や安全に関する技術開発をしています。当社のDXを世間に広めたのが、建設現場用アバターロボットです。建設現場の寸法検査、塗膜厚測定などをスタッフに代わって検査業務支援を行うために開発しました。いずれの検査も不可欠ですが、現場に常駐している限られた人数のスタッフが、工事の進捗管理に加えて測定データの収集や分析、帳票作成などを行っており、これらの業務負担について改善策が見出せずにいました。しかし、コロナ禍でリモートワークが急速に広がり、書類作成業務の多くは、職場から離れていても処理できることが広く認識されました。遠隔地からロボットを操作し現場スタッフの作業を代行できれば課題解決につながるのではないかと考え、開発に着手。開発期間に約2年を要し、現場実証実験を終えていますが、アバターロボットを実用化するために、引き続き開発中です。

アバターロボットの導入は少し先の話ですが、既に使える技術は先行して取り入れています。それが資材搬送ロボットやクラウドサーバーを使った写真管理システムです。写真管理システムでは、店社で現場工程から写真撮影計画を作成し、現場スタッフが現場の進捗写真をクラウドサーバーに転送すれば処理は店社で行うため、現場で処理する必要がありません。現に、現場の業務削減につながりました。在宅でも現場業務を担う職種を確立できれば、子育て中の時短勤務者や建設経験のあるシニア層などが無理なく働くことが可能です。今後もデジタル技術を活用し業務効率化を図ることで、生産性向上や品質向上および労働力不足の解消のため尽力していきます。

これほどまでに開発に踏み切れるのは、当社の自由闊達な風土があるからこそ。また、グループ会社や協力会社、共同研究を行う大学など、たくさんの方々のお力をお借りできる恵まれた環境も開発に注力できる理由です。社外との連携が当社の強みと言えるでしょう。

建設現場は屋外かつ環境条件も異なるため、ロボット化は一筋縄ではいきません。しかし、それらの問題をクリアにする技術を開発するのが私たちの役割。今後も技術力を磨きつつ、従来と異なる仕事のやり方を取り入れられる開発に励む所存です。(池田さん)

社員が語る川田工業の魅力

「トライ&エラーを恐れない姿勢です。失敗しても次への糧にしようと切り替えるところや、開発案をすぐに行動に移す風土は、開発者としてやりがいを感じます」(池田さん)

建設現場の労働環境を変えるのは工数削減。現場経験を生かし業務効率化システムの普及に尽力

新入社員研修後は、ジョブローテーションで設計、自社工場での橋梁製作、架設現場での施工管理と多様な業務に携わってきました。ジョブローテーションの良い点は幅広い知見を培えること、そして施工現場の課題を直に見られることです。さまざまな現場を見てきた中で最も課題に感じたのは、工数の多さです。製作・施工現場では、作業終了後にお客様へ提示する資料の作成や次の工事の計画立案など業務が多いため、どうしても残業が発生してしまいます。このような現場の課題を解決するために、当社ではDXの取り組みを推進してきました。

所属する橋梁事業部開発部では、建設現場用アバターロボット以外にも各現場の省力化・省人化を目的としたシステムを開発しています。その一つが、私が携わっている自動帳票化システム。橋梁現場ではスタッフが計測を行い、手書きで記録、その後事務所に戻ってから、パソコンに入力し直すのが一般的でしたが、新しいシステムを使えばその手間が省ける上に入力ミスなどによるヒューマンエラーを防ぐことが可能です。現在はこのシステムを新しい現場に普及させるべく、現場に出向いて改善点の洗い出しや、使い方をレクチャーしています。現場に訪れた際にはスタッフから問題点をヒアリングし、機能のアップグレードに反映するよう努めています。試行錯誤して完成したシステムを現場スタッフが喜んでくれたり、「次の現場でも使いたい」と言ってもらえたりした時が一番やりがいを感じる瞬間です。

自動帳票化システム以外にも引き続き新システムの開発に注力しています。個人的に希望しているのは、資材の在庫管理を効率化できるシステムの開発です。資材の在庫確認は時間を要するため、完成すれば業務効率はさらに高まると考えています。アイデアの源はジョブローテーションでの現場経験です。現場で働いた経験があるからこそ説得力がありますし、上司も意見を吸い上げてくれます。風通しが良く、過去の経験を生かせる環境はとても魅力的だと感じています。

今後の目標は、より省力化・省人化できるDXを考案すること。着実に進んでいるものの、デジタル技術で変えられる仕事はまだまだあるので解決していきたいですね。そしてゆくゆくは、ロボットを活用したシステムの開発にも携わりたいです。(櫻井さん)

社員が語る川田工業の魅力

「ジョブローテーションでは配属部署や配属期間など、社員の希望や意欲を考慮してくれます。現場の意見をすぐにシステムに反映する点も魅力です」(櫻井さん)

企業研究のポイント

やってみたいと思える仕事や志望業界が見つかっていない人は、視野を絞らずにさまざまな業界を見てほしいですね。いろいろな企業の見学会やインターンシップに参加して実際に働く人と会って話をしてみると、その会社の雰囲気がわかるだけでなく、自分が働くイメージが湧く仕事が見つかると思います。やりたいと思える仕事が見つかったら、そこから深掘りしてみると良いでしょう。また、業務内容以外にも福利厚生や社内制度などの待遇面を比較するのも一つだと思います。

また、私自身の話をすると、見学会で会った社員の仕事に対する熱量や、会社を好きな気持ちが伝わってきたことが入社の決め手の一つになりました。企業研究では、自分の専門分野にこだわらずに幅広い企業を見てほしいと思います。土木・建築業界というと出身学部が影響すると思われるかもしれませんが、当社のようにDXに取り組む企業なら情報系学部や電子・電気系、機械系学部の方でも活躍できるフィールドがあります。ぜひ川田工業のことも調べていただけると嬉しいですね。

(人事担当)

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働き方改革の一環として、現場スタッフに代わって建設現場の検査業務支援を行うために開発されたアバターロボット。現場実証実験を終え、実用化に向けて引き続き開発中。

マイナビ編集部から

土木・建築技術で社会を支える川田工業。橋梁事業では、鋼橋梁の設計から施工管理、保全・補修まで一貫して行っている。鉄構事業では、超高層ビルなどランドマークと呼ばれる超大型鉄構造物の鉄骨製作から建て方工事まで行い、建築事業では独自のシステム建築工法で大規模倉庫や工場を手掛けてきた。「安心で快適な生活環境の創造」という企業理念のもと、高い技術力で社会に貢献し続けている。

時代とともに常に新しい事業に取り組んできた歴史から生まれたチャレンジ精神は、現在のDXを見るとわかるだろう。業界に革新をもたらす取り組みは、社員の幅広い経験が生かされている。同社では若手のうちから多様な経験を積むことに注力し、ジョブローテーションを推進。今回取材した櫻井さんも、現場経験を経てDXを推進する立場になった。社員一人ひとりの「なりたい」「したい」などの意欲を重視し、挑戦する機会も与える風土は、非常に魅力的だと感じた。

既存事業と業界全体の発展に貢献するべく、今後さらにDXを強化する同社。情報系学部や電気・電子系学部、機械系学部の人は、大学で広げた知見を生かすことができる。同社の開発部門を選択肢に加えることをおすすめする。

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独創自立の精神を大切にしている同社は、困難に臆せず果敢に挑む風土。オリジナリティーを発揮して挑戦する姿勢が3Dデジタル溶接マスクシステム開発のDXからも見て取れる。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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