最終更新日:2026/2/6

(株)道路建設コンサルタント

業種

  • 建設コンサルタント

基本情報

本社
千葉県

取材情報

DXが変える、私たちの仕事

設計に留まらないDXの取り組み。ナレッジの共有で土木業務の課題を解決!

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設計分野のDXは“3Dモデル”がキーワード

道路やトンネルなどの社会資本整備で豊富な実績を持つ道路建設コンサルタント。近年の同社は業務全般のDXを積極的に推し進めている。DXによって土木設計の何がどう変わるのか、担当のお二人に詳細を伺った。

八木 亮さん(写真左)
技術統括部 部長
1996年入社

平岡 朝子さん(写真右)
技術統括部
2014年入社

データ管理、CIMの導入、ドローンの活用。土木を変えるDX

さまざまな取り組みが行われている土木業界のDX。その一つに挙げられるのが情報セキュリティー対策です。国土交通省は2004年から業務成果の電子納品化を実施し、当社もそれに合わせて設計図面や作成資料などのデータ化を行ってきました。これらのデータは、当社が長年にわたって蓄積してきた仕事の成果。建設コンサルタントとしてのノウハウが凝縮された資産ですから、漏えいや流出は許されません。

そこで当社は自社内にサーバールームを設け、外部から遮断された形での管理体制を構築しました。ここには過去25年分にあたる測量・調査・設計データが保管されています。また、地震の発生確率が低い遠隔地でのバックアップ体制も構築済みです。運用にあたっては情報推進室に専任のスタッフを置き、リスク管理を徹底しています。ポイントは、厳重な管理体制とデータ利用者の使い勝手を両立させていること。限定ユーザーはリモートでデータにアクセスできますから、どこにいても社内と同じ環境で仕事ができます。

また、昨今話題のCIM(Construction Information Modeling/Management)についても、当社では日常的に業務に活用しています。これは土木の3Dデータを設計者・施工業者・お客さま(施主)の間で共有し、業務全体の効率化を行うための取り組みです。単なる3Dの設計図面ではなく、柱や壁に仕様や数量などの属性情報を付加できる点が大きな特徴。説得力のある説明資料として活用できること、設計上の問題点を見つけやすいことなど、多くのメリットがあります。当社は6年前にCIMを導入しました。使用にあたってはある程度の習熟が必要ですが、オペレートできる技術者は年々増えています。

最後はドローンの活用について。当社は自社でドローンを飛ばし、空撮の情報から3Dデータを作成してソフトに取り込んでいます。威力を発揮するのは災害の復旧現場ですね。人が立ち入れない現場の状況をスピーディーにデータ化し、3Dソフトを持っていなくても利用できるよう、フォーマットを汎用性の高い3DPDFに変換。それを自治体の担当者に提供し、復旧計画の策定に役立ててもらっています。この事例はDXによる社会貢献の一例といえるでしょう。
(八木さん)

3Dモデルの活用例

トンネル坑口部の視認性を検討したもの。 豪雪地帯のため、降雪時の視界を3Dモデルを使用しシミュレーションすることで、幅員構成・面壁の大きさを比較検討した。

シミュレーションが自由自在!当社における3Dモデルの活用事例

当社は土木の設計業務において、3DCADやCIMなどさまざまな用途のツールをパッケージ化した統合型のソリューションを活用しています。ほかにも、トンネル設計や道路設計などに特化した専用のソフトウエアを使用。こうしたツールの中心にあるのが、3Dモデルのデータです。

3Dモデルの特徴は、設計図面に慣れていない人でも形状や位置関係などをつかみやすいこと。理解不足による誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。そして、2Dの設計図では避けられなかった設計上のミスも減らせます。3Dモデルをあらゆる方向から検討することで、部材の干渉や景観上の問題点をチェックできるのです。

実際の活用事例をご紹介しましょう。最初はトンネル坑口の3Dモデルです。このケースで検討したのは降雪の影響。豪雪地帯での工事だったので、雪が降ったときにドライバーから車道・歩道・路肩・中央帯などがどのように見えるのか、トンネルの面壁はどれくらいの大きさが適当なのかといったことを、3Dモデルを使ってシミュレーションしました。

2つ目の事例は人や車の通行量が多い駐車場です。このケースでは付近にビルやマンションがあり、近隣住民への配慮が求められていました。そこで、目隠しフェンスの導入を検討。どのくらいの高さにすれば住民の満足が得られるかを、3Dモデルのシミュレーションを使って検証しました。フェンスが低すぎると駐車場の様子が住民の目に入ってしまいますし、高すぎると日照権や景観上の問題が発生します。シミュレーションにより、最適な高さを導き出すことができました。

最後は勾配のある急カーブです。ドライバーはカーブの向こうから走ってくる対向車と、カーブを曲がる自車の速度に注意しなければなりません。そのためカーブミラーと警戒標識で注意を促すのですが、問題になるのはそれらの位置と高さです。可能な限り早く認識させ、死角を小さくする必要があります。このケースではドライバー目線でのシミュレーションを行い、最適なポジションを見つけました。

これらの検討作業は2Dの設計図でも不可能ではありませんが、膨大な数の平面図と断面図が必要になります。作成の時間や労力もかかりますし、完成してもお客さまにうまく説明するのは簡単ではありません。3Dモデルなら、こうした課題を全て解決することができるのです。
(平岡さん)

3Dモデルの活用例

通行量の多い施設周辺で、近隣住民に配慮した目隠しフェンスを設置した場合の検討。 3Dモデルを使用し、フェンスをどのくらいの高さで設置したらよいかの検証を行った。

土木のDXはまだ初期段階。得た知見を次の世代につないでいきたい

先に説明したCIMの導入は国土交通省が強力に後押ししている施策で、今年度から国土交通省の発注業務は原則適用となります。一方で、各地の公共事業を行っている地方自治体ではほとんど導入が進んでいません。当社においても、CIMを使った設計案件を受注していますが、私たちは今、「CIM活用で得たノウハウを、他の業務でどのように生かせるか」を真剣に考えています。設計の現場では2Dのデータで見落としていた課題が3D化によって見えてきますから、結果的に設計の精度が上がるかもしれません。また、3D化によってお客さまや施工会社、住民の方々の理解が進めば、工事も円滑に進むでしょう。

そこで設置したのがCIM推進室。ここでは毎月1回以上、部署横断的に人を集め、DXに関する意見交換会を実施しています。出てきたアイデアは横方向に展開し、意見交換会に参加していない社員とも共有。練られたアイデアは、今後の業務に活用させていきます。DXの情報への感度が高いのは、20~30代の若い人たち。技術を受け継いできた私たちが土台をつくり、次の世代につないでいきたいと考えています。
(八木さん)

3Dモデルの活用事例は今後も増えてくると思います。近年はこれをさらに進化させた活用例も出てきました。それが、3Dモデルに時間軸を加えた4Dシミュレーションです。データに施工ステップに関する時間情報が追加されるので、実際の工事がどのような段階を経て進められるのかを可視化できるわけです。当社では、既設トンネルの拡幅工事を行った際に4Dモデルを活用しました。

また八木が説明したドローンの活用事例では、多数のアングルから撮影した写真を解析し、コンピューターで3DCGモデルを作成する「フォトグラメトリー」という技術を使用しています。これにより、現場の3Dモデルを素早く作成する事ができ、打合せ資料として役立っています。今後はVR(仮想現実)やAR(拡張現実)の形でも応用が進んでいくでしょう。

当社でも、土木の設計手法は2Dから3Dへと徐々にシフトしています。おそらく、若い皆さんは最初からCIMによる3D設計を経験することになるでしょう。基本的な知識を学びつつ、最先端の土木設計を楽しんでいただきたいですね。
(平岡さん)

3Dモデルの活用例

安全施設の検証用3Dモデル。 運転手の目線で安全施設がどのように見えるのかをドライブシミュレーションを作成して視認状況を視覚的に確認し、施工の有効性を示した。

企業研究のポイント

多くの学生さんに接してきた経験を踏まえて言うと、まずは「自分が何に興味を持っているか」を考えるべきだと思います。未来がどうなるかは誰にも分かりません。もし皆さんがDXに取り組んでいる企業に興味があるなら、そしてその企業のDXがまだ初期段階にあるなら、ぜひ自分がそれを進めるという意識を持ってください。すぐには無理だとしても、20年、30年という長いスパンで考えれば決して不可能ではないはず。自分の判断力を信じ、最後まで興味を持ちつづけられる仕事を見つけていただきたいと思っています。
(八木さん)

建設コンサルタントを志望している方でも、CIMやその建築版であるBIMを知らないという方も多いと思いますが、国土交通省はその活用を推進していますから、これからの土木・建設業界ではそれらを使った業務が主流になるでしょう。企業を研究する際、現段階でのCIMの利用実績や社内でどの程度3Dによる設計を導入しているのか、また導入予定があるのかどうかを一つの指針にするのも良いかと思います。大手企業だからCIM導入に積極的とは限りません。将来のためにも、3DモデルやCIMによる設計に取り組んでいる企業を選んでいただきたいと思います。
(平岡さん)

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道路建設コンサルタントのDXを推進しているお二人。八木部長は技術全般を管理する責任者、平岡さんは3Dモデリングのスペシャリストだ。

マイナビ編集部から

あらゆる業界において導入が進んでいるDX。国土交通省が率先していることもあり、土木・建設分野においても各企業で導入が進んでいる。皆さんも、経済ニュースなどで「遠隔操作する建設機械」や「VRゴーグルを使った建設現場のシミュレーション」を見たことがあるかもしれない。こうした事例は大手ゼネコンによる取り組みがほとんどだが、それ以外の企業でもCIMソフトの導入は徐々に進んでいるようだ。

道路建設コンサルタントは規模的には中堅クラスだが、千葉県で数多くの自治体案件を受注している注目企業である。2000年代の早くから設計図面のデータ化を進めており、それが同社のDXの原点となっている。取材して印象に残ったのは、八木部長が語っていたセキュリティー面の話だ。DXの話では意外に取り上げられないが、これは業務の根幹をなす重要なテーマといえる。「何があっても会社を守る」という、同社の真剣な姿勢が伝わってきた。

平岡さんが教えてくれた3Dモデルによるシミュレーションの事例は、土木のDXを理解する絶好のサンプルだ。同社の狙いは、「分かりやすく説明できる」「迅速に処理できる」「技術を活用できる」「誰もができる」3D化とその提案。聞けば聞くほど納得のいく内容だった。

同社のDXはまだスタートしたばかり。今後どのように拡大していくのか、それによって同社の設計がどのように変化していくのか。興味は尽きない。

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土木分野におけるDXの最も分かりやすい例が、3Dモデルを使ったシミュレーションだろう。測量、調査、設計、保守の各工程で欠かせない基本技術となっている。

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