最終更新日:2025/6/1

利昌工業(株)

業種

  • 半導体・電子・電気機器
  • 化学
  • 重電・産業用電気機器
  • 輸送用機器(船舶・航空・宇宙関連など)
  • 環境・リサイクル

基本情報

本社
大阪府

取材情報

記事で読む社会科見学

研究開発を行うRISHOの強みは、確かな技術と斬新な発想力!

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創業100年、ノウハウから生み出される多彩な製品たち

様々な変圧器を生み出してきた高井さん、70年のロングセラー製品に新たな命を吹き込む横田さん。まだ誰も実現したことのないモノづくりに取り組む技術者の、挑戦の軌跡を追いました。

■高井 恭平 Kyouhei Takai(写真 右)
2012年入社/理工学研究科 システムデザイン専攻修了
開発本部 第一研究開発センター 主査

■横田 晋一朗 Shinichirou Yokota(写真 左)
2020年入社/フロンティアサイエンス研究科 生命化学専攻修了
開発本部 先進材料開発室

変圧器開発に特化!若手のうちから難しい案件に挑み、培ったスキルが私の財産

私が所属する第一研究開発センターは、社会インフラに貢献する情報通信や電力にかかわる電気機器の設計開発を行っており、私は入社以来、変圧器チームの一員として多彩な設計開発を担ってきました。入社後、程なくして任されたのが大手重電メーカーの非接触給電装置に伴う案件で、変圧器と同じ原理の電磁誘導方式を用いた製品開発を担当。2年をかけて取り組みましたが、主流と見込んでいた給電規格と市場ニーズに乖離が生じ、メーカーの開発そのものがとん挫。残念ながら、この製品を世に送り出すことはありませんでした。

しかし、チャンスは巡ってくるもので、次に舞い込んだのが他社のピンチヒッターとしての変圧器開発です。8ヵ月という短期間での開発を依頼され、開発と製造を束ねる統括リーダーとして案件を進めました。限られた期間の中で実験、試作を行い、求められる性能を担保する必要があり、また、量産化においても品質を維持する苦労が最後まで付きまといました。いくつかのトラブルを乗り越え、無事納品できた時は安堵しました。やり遂げたという達成感ももちろんですが、何よりお客さまとの距離が縮まり、この案件をきっかけに関係がより一層強固なものになったのが嬉しかったです。優秀供給元を表彰する「サプライヤー賞」を受賞できたのも、大いに励みになりました。

また、最近も風力発電用変圧器を納めたばかり。環境省の浮体式洋上風力発電用変圧器を手掛けた実績を生かし、陸上風力発電用の変圧器を生み出しました。海外製品からの更新だったのですが、寸法や重量の厳しい制限、過酷な環境に耐えうる性能などの要求をクリアして納品へ。設置の際は私も現場に立ち会い、地上約60メートルの高さで行われる作業を見守りました。当社での仕事の醍醐味は、お客さまとマンツーマンで開発に取り組めること。1対1で開発に向き合うので関係性が深まり、やり遂げた時の達成感もひとしおです。他では対応できない難題が寄せられるのも私にとっては面白く、どう実現しようかと常にワクワクしながら仕事に臨んでいます。(高井)

目標を教えてください!

さまざまなお客さまと一緒に、一つでも多くの製品を生み出したい。また、主査として担当製品を市場に送り出し、RISHOの技術力を世に広めたいと思っています。(高井)

CNFに次ぐ柱に!70年超の歴史を誇る「ウッドライト」の新用途を開発中

私が大学院でペプチドナノファイバーの研究に取り組んでいた時、“利昌工業がセルロースナノファイバー(CNF)100%のボンネットを完成させた”というニュースを耳にし、「CNF100%!?しかも成形体(板)!?」と驚いたのが当社に興味を持ったきっかけです。まったく新しい技術に強く興味を惹かれ、自分もCNFに携わりたいと当社を志望しました。RISHOには電子材料、電気、工業材料と3つの事業分野がありますが、これらに属さない新たな材料を生み出すのが先進材料開発室のミッション。前述した100%-CNFの成形体を生み出したのも先進材料開発室で、私は学生時代から憧れていた同部門の一員として入社を果たすことができたのです。

現在携わるのは「ウッドライト」という製品で、木材をかつら剥きにした薄い板にフェノール樹脂を含浸させ、複数枚重ねたものを加熱しながら高圧でプレスしてつくるユニークなFRP(繊維強化プラスチック)を担当しています。1950年の開発時はこれに電気絶縁性を加え、絶縁強化木としてリリースしていましたが、その新たな用途開発を行うのが私の役割です。開発から70年以上たった今も安定したニーズを誇る「ウッドライト」ですが、SDGsに貢献する材料として最近、再び注目を集めるように。希少な天然木の代替品として「ウッドライト」を用いることで木々の伐採が抑えられ、森林の維持、ひいては地球温暖化防止にもつながると考えています。また、実際の樹木から生み出された木目の美しさや均一ではない味わい深さも従来の工業製品とは一線を画す魅力となっています。

私は新たな用途開発に向け、自ら「ウッドライト」の可能性を見出し、それを立証するための実験・試作を行っています。10cm角の材料でうまくいっても、それを1mにスケールアップすると思うような結果が出ないのが難しいところ。それでも試行錯誤を繰り返し、何とか形にしてはお客さまとの連携のもとで課題を洗い出し、再び実験・試作に取り組んでいます。企業の要望を反映しての用途開発なので、できるだけ早く結果を出すのが私の使命。一筋縄ではいかない案件ですが、少しずつ前進している手応えを感じており、開発者としての喜びを噛みしめています。(横田)

目標を教えてください!

新たな用途を見出すのが目下の目標。考えすぎるあまり、趣味の寺社仏閣巡りをする中でも「これ、ウッドライトでイケるかも」と考えてしまうことも(横田)

私たちがRISHOを選んだ理由、仕事の醍醐味はココ!

【高井】私は大学院の研究室で圧電効果を用いたセンサーに関する研究を行っていました。しかし、思うような成果が得られず、卒業しても研究に携わりたいという思いから研究開発職を志すように。大学院で携わった弱電分野とは異なりますが、重電分野の変圧器や電磁気学に興味があり、重電という社会インフラにかかわる貢献性にも惹かれ、当社を志望しました。入社の決め手になったのは、当社のほどよい規模感と「これをやりたい」という自分の思いを尊重してくれる社風です。実際、入社間もない頃から開発の主担当として責任ある仕事を任され、取引先のベテラン技術者とわたり合う経験を積ませてもらいました。

また、会社の経営基盤が盤石で堅実なところも安心して働けるポイント。会社が安定しているからこそ技術者が本来の研究や開発に専念でき、気兼ねなくチャレンジできるのだと思います。部下や後輩を持つ身として、RISHOならではの和やかな風土を守りつつ、みんながのびのびとやりたいことに挑める研究開発環境を維持していきたいですね。

【横田】入社動機でも触れましたが、私がRISHOを選んだ理由はCNFに携わりたかったから。今もその気持ちは変わっておらず、「ウッドライト」で一定の成果を上げた後は100%-CNFの成形体を使った新製品を生み出したいと思っています。当社はとても自由でやりたいことに挑戦できる環境なので、手を挙げればいくらでもチャンスをもらえるはず。実際の研究活動においても指示されたことだけやるのではなく、自分で計画を立てて実験・試作を進め、結果が出たら報告するスタイルなので、大学院での研究活動に匹敵する自由度があると感じています。

また、企業や大学など社外の方々とかかわる機会にも恵まれており、刺激をもらえるのがいいですね。自分の固定概念を打ち崩される発想に触発され、研究意欲がますます高まります。もちろん社内の人間関係も抜群なので、仕事の話以外にもプライベートな話題で盛り上がることもありますよ。

目標を教えてください!

こちらが「ウッドライト」の採用例。かつては各種機械部品やギヤなどに活用されていましたが、最近はカトラリーの柄やボールペンの軸としても使われています。

企業研究のポイント

電気絶縁材料の開発・製造から始まり、私たちはこれまで電子材料、電気、工業材料と3つの事業分野で数々の製品を生み出してきました。創業100周年を迎えた老舗企業ですが、モノづくりへの飽くなき探求心が衰えることはなく、100年前もこれからも同様の情熱で新たな製品・材料を開発し続けたいと思っています。

そんな当社が創業以来、目指すのは、規模の大きな企業ではなく強い企業。あえて小さな市場を選び、前人未到の開発に取り組むことで着実に成長してきました。そこで重要になるのが、研究開発型企業の核となる研究開発スタッフです。私たちは研究開発人材を全従業員の1割まで引き上げることを目指しています。市場調査から試作、試販、量産化まで当社の開発本部が携わるフィールドは広く、モノづくりの最初から最後まで携われるのが魅力だと自負しています。

また、無から有を生み出す研究開発職に対し、既存品を改良して世に出すのが技術職。当社では開発本部だけがモノづくりに携わるのではなく、生産本部の技術職も自ら手掛けた製品を世に出しています。企業研究では皆さんの志向や適性を見つめ直し、どんな仕事がしたいのかを考えてみてください。さまざまなモノづくりに携われるRISHOなら、ゼロからの開発はもちろん、改良という開発でも力を発揮することができますよ。

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利昌工業の100年の歴史がひと目でわかるショールーム。ずらりと並んだ製品群には研究開発者、製造者の熱い思いが詰まっています。来訪の際にはぜひ覗いてみてください。

マイナビ編集部から

2021年10月に創業100周年を迎えた利昌工業。自主独立の研究開発型企業としてグローバル・ニッチ・トップを目指し、大きな市場より小さい市場、まだ誰もやったことのない新しいモノづくりに挑むことで数々の史上初を生み出してきた。環境省の「ナノセルロースヴィークルプロジェクト(Nano Cellulose Vehicle Project)」で注目を集めたCNF100%のボンネットもその一つで、この画面に登場した横田さんも利昌工業の発想の斬新さ、技術の高さに惹かれて入社を決めたと教えてくれた。

CNFのような先端材料の開発が進む一方、「ウッドライト」は自社独自のユニークな技術として新たな可能性を見い出され期待を集めている。こうした研究に早くから携われるのが同社の魅力の一つだろう。しかもその研究スタイルはいたって自由で主体的。自らの興味、関心を軸に取り組めるから仕事へのモチベーションも上がり、新たなアイデアがどんどん湧いてくるという。顧客ニーズに自社固有の技術を掛け合わせ、時代の一歩先を行く製品・材料を生み出してきたRISHO。そのすそ野は年々広がっており、次の100年に向け、同社はさらなる飛躍を見せてくれることだろう。

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電気絶縁材料といえばRISHOと評される同社。常にどん欲に新製品開発に挑み、盤石な経営基盤を築いてきた。自己資本比率は60%と安定性も抜群だ。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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