最終更新日:2025/6/1

(株)ピー・エス・アイ

業種

  • ソフトウエア
  • 情報処理

基本情報

本社
東京都

取材情報

経営者の視点

創業55年。社会を支えるインフラともいえる情報システムを作りつづけてきた

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老舗IT企業の経営者に学ぶ、エンジニアの存在意義

今回、お話しいただいたのは、新卒として50年前にピー・エス・アイに入社し、現在は代表取締役社長を務めている小島さん。50年以上続くIT企業とはどのような存在なのか、会社の歴史や業界の今後について伺いました。

代表取締役 社長
小島哲夫さん

創業から55年、IT業界の発展とともに、会社を成長させてきました

私たちピー・エス・アイは、1970年に設立された情報システム開発の専門企業。IT業界の中では、創業55年という非常に長い歴史を持った会社です。私が一社員としてこの会社に入社したのは、今から50年前のこと。当時、一般企業には汎用コンピュータ(以下、汎用機)はほとんど導入されていませんでした。私たちの仕事はパンチカードや紙テープなどの当時の記録媒体に書き込まれたデータを、汎用機を使って集計し、企業にお返しすることでした。特に高性能な汎用機は私たちソフト会社も自社で購入できず、1日に数時間、計算センターの汎用機を借りて、処理を行っていたほど。エンジニアの人件費よりも、汎用機の使用料のほうが、はるかに高かったのです。

オフコン(オフィスコンピュータ)と呼ばれるコンピュータが、一般企業に広く導入されるようになったのは1980年代に入ってからのこと。Windowsのような汎用OSはまだ登場しておらず、ハードウエアのメーカーがさまざまなOSを開発していました。またメインメモリーが数百KBしかなかったので、長大なプログラムを処理することはできません。できるかぎり簡潔に、合理的なプログラムを書くことにエンジニアがしのぎを削っていた時代でした。しかし、この頃には、ピー・エス・アイが手がける仕事は、現在の業務システムの開発と基本的には同じになってきます。

当社は55年という歴史の中では、どちらかと言えば、一般企業向けの各種業務システムの開発に力を注いできたことで、当社は早い段階からお客さまの業務分析やワークフローの構築といった情報システム開発の上流工程のナレッジを蓄積してきました。そして、現在にまで続くお客さまとの信頼関係を作り上げてきたのです。

その後、いくつもの技術革新や業界の好不況の影響を受けつつも、ピー・エス・アイは安定した成長を続けました。現在では、社員数約100名、年商約14億円のソフト会社に成長。私たちは、多くのお客様のコンピュータ導入初期から、システム開発のお手伝いをし、お客さまとの長いお付き合いを続けてきました。当社が開発・保守を手がけた情報システムは30年、40年と続くものもあり、財務体質が非常に良好なことも特徴の一つです。

社内風景を拝見しました

「当社に入社した50年前とは、技術も業界の規模も大きく変化しましたが、仲間と協力してモノを作り上げるという喜びは変わっていません」(代表取締役 社長/小島哲夫)

社会を支えるインフラとしての情報システムの開発を手がけています

昨今のIT業界では、AIやIoTといったデジタル技術を活用して生活を豊かにする「DX」の取り組みが盛んになっています。こうした分野こそが最先端であると考え、憧れを持つ人も多いかもしれません。しかし、ピー・エス・アイは、そうした分野に特化した会社ではありません。当社が得意とするのは、私達の生活や企業の活動に不可欠な社会を支えるインフラともいえる情報システムの開発です。電車が正確に動くのも、クレジットカードで買物ができるのも考えてみれば、すべてはバックグラウンドで情報システムが動いているから。こうした情報システムに求められるのは、事故なく確実に作動し、業務の効率を上げることです。AIやIoTから今後各種の情報システムに画期的な効果を表す可能性があり、我々はどのようにこれらを安全に取り込んでいくかのお手伝いをしていきます。そのために、当社はビジネスパートナーと提携してAIビジネスの推進を進めています。

当社は、お客様が必要とする情報システムを正確に理解して設計し、確実に動くプログラムを作成します。そのため、エンジニアには地道な努力の積み重ねが必要で、派手さや華やかさはありません。世の中が今、必要としているのは、そうした情報システムとそれを開発できるエンジニアなのです。

このような社会を支えるインフラともいえる情報システムの構築には、いくつもの工程があります。上流工程と呼ばれる企画や設計と得意とする会社から、下流工程のプログラミングをメインに行っている会社など様々です。いくつもの階層がありますが、どの工程が偉いという訳ではありません。しかし、モノ作りの本質的な喜びを味わえるのは、なんといっても上流工程だと思います。ピー・エス・アイは、情報システムの企画・設計からプログラムの開発までを一貫して行っています。まず、若手のうちはプログラムの開発でしっかりと基礎を身につけてください。その後、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーへと成長しながら、上流工程を担当できるキャリアの道を用意しています。

このようにIT業界と一括りにいっても、最先端分野の開発に挑む会社もあれば社会を支えるインフラともいえる情報システムを作る会社もあります。どちらも社会にとって必要不可欠な会社です。私達は後者に重点を置きながら、前者をお客様のニーズに応じてわかり易くシステムに取り込んでいく役割も担っていきます。

社内風景を拝見しました

以前は社員の半数が客先に駐在していたが、ここ数年で持ち帰りの開発が増加。また、コロナ禍の影響もあり現在テレワークを殆どの社員が活用している。

会社が50年以上続いてきたのは、必要とされる「人」を育てつづけてきたからです

ピー・エス・アイが創業して55年、IT業界は当時からは考えられないほどの大きな発展を遂げました。しかし、絶えず好調な業界だったというわけではありません。当社より大きな会社が、景気の波に飲み込まれ、消えてしまうことも数多くありました。この業界で、経営が途絶えずに長く続く要因は何なのかを考えると、結局は「人」だという結果に至ります。お客さまが情報システム開発を依頼するとき、「おもしろそうだから、新しい会社に発注してみよう」とは、まずなりません。前に依頼したとき、しっかりとした実績を出してくれた会社を選ぶと思います。もっと言えば、前回しっかりと信頼に応えてくれた「人」のいる会社に、次の開発も頼むのです。

ですから、会社が50年以上続いていることは、その間ずっと、お客さまの信頼に応えられる人材を育てつづけたということです。そして、お客さまから必要とされる企業でありつづけているということなのです。社会を支えるインフラともいえる情報システムは、今の世の中には決して欠かすことのできない存在。AIが実用化されている現在、プログラム開発が自動化されることはあるかもしれません。しかし、上流工程だけは、お客さまに寄り添い、一緒になってより良い情報システムを考えるエンジニアが必要になります。身びいきに聞こえるかもしれませんが、20年先、30年先も必要とされるエンジニアになるためには、長く続いている会社を選ぶのが確実な方法の一つです。

ちなみに、私は代表取締役に就任後、現場での開発を退きましたが、昨年まで担当のプロジェクトを持っていました。それは、私自身が30年ほど前に開発した情報システムのプロジェクト。今となっては改修の必要もほとんどないのですが、システムその中身を理解している人がほかにいなくなったので、担当エンジニアとして、今も私の名前が残っているのです。自分自身、70歳過ぎまで現役を続けているとは思ってもみませんでしたが、振り返ってみればエンジニアというのはとても楽しくて、やりがいの大きな仕事でした。手がけてきたのは派手な情報システムではありませんでしたが、完成までにはいつも何らかの苦労があり、それを仲間と一緒に乗り越えてようやく完成する。そして、お客さまから感謝の言葉をいただき、仲間と喜び合う。技術がいかに発展しようと、これは変わりません。私にとってエンジニアとは、そんな仕事です。

社内風景を拝見しました

社会を支えるインフラとしての情報システム開発のために、「人」を育てるのがピー・エス・アイの重要な役割。次の50年を担う若手社員がしっかりと成長している。

企業研究のポイント

初めまして、ピー・エス・アイの人事を担当している伊藤です。社長の小島の言葉にもあったように、当社は最先端技術に強いベンチャー企業ではなく、50年以上の歴史と実績を持つ老舗とも呼べる存在です。これを受けて、会社説明会では、AIやIoTといった分野のみに興味のある人は、当社には向いていないとはっきりお伝えしています。それに加えて、社会を支えるインフラともいえる情報システムを、真面目にそして地道に作りつづけられる社員が多いことをお話しています。

私たちはできることなら、社員に定年まで勤めつづけてほしいと思っています。そのためには、入社時点での学生さんの思いと当社の思いのミスマッチは避けなければなりません。ですから、学生さんの受けが良い最先端技術の話ではなく、当社の現実をお話ししています。その結果、入社後の定着率は非常に高くなっています。

また社員の得意・不得意や個性に合わせて、さまざまなキャリアを選べるのも当社の特徴です。全員がプロジェクトリーダーやマネージャーに成長する必要はありません。人と接するのがあまり得意でないなら、プログラミングのスペシャリストになることもできます。多彩な個性を生かすことができてこそ、企業は強くなれると信じているからです。

企業研究の際にはその企業が持つ強みや、離職率、制度に着目されてみてはいかがでしょうか。そういった点に企業の姿が表れているでしょう。

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できれば定年まで働きつづけて欲しいというのが私たちの願い。長く安心して働ける環境作りに力を注いでいます。(顧問・人事担当/伊藤誠紀)

マイナビ編集部から

1970年の創業と、50年以上にも及ぶ歴史を持つピー・エス・アイ。大手企業系列のいわゆるユーザー系のソフト会社を除けば、これだけの歴史を持つ企業はIT業界には決して多くない。今回、お話を伺った小島さんは、自分たちのビジネスのことを「環境適応業」であると説明してくれた。

つまりは、新しいニーズや新しい技術に対応しつづけられた会社だけが、生き残ることのできる業界なのだ。そうした業界の中で、絶えずお客さまから必要とされる「人」を育てつづけてきたのだ。また、市場環境の変化に適応しつづけてきた55年の歴史は、非常に重いものだと言える。同社の現在の取引先には、30年、40年と信頼関係を培ってきた企業も多く、言わば切っても切れない関係性にある。こうしたことがピー・エス・アイの非常に安定した財務体質にもつながっているといえそうだ。

採用や教育、労務管理などについても、極めて誠実な取り組みを続けてきた企業だけに定着率も非常に高く、ほとんどの社員が定年まで在籍しつづけている。移り変わりの激しいIT業界にあって、長く安定して働きつづけたいと考えている人にとっては、大きな魅力を持った企業だと感じた。

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2018年に社員旅行でケアンズを訪れた時の写真。社員同士の交流を図る為社内イベントの開催にも注力しています。※コロナで中断していたが2023年再開沖縄旅行に総勢70名参加

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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