最終更新日:2025/6/12

結城信用金庫

業種

  • 信用金庫・労働金庫・信用組合

基本情報

本社
茨城県

取材情報

経営者の視点

「地元とともに心はひとつ」―その根幹は、揺るがない

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信用金庫本来のあり方を追求しつづけて約120年

理事長 
石塚 清博さん(写真左)

総務部長 
塚原 隆夫さん(写真右)

創業から約120年の歴史を誇り、茨城県西部を中心に現在24の営業店を展開する結城信用金庫。安定経営を長年続け、また職員の離職率も低いという優良金融機関は、どのような経営方針や理念に基づいて運営されているのだろうか。同庫の特色や今後の展望を理事長に、教育や福利厚生など働く環境について総務部長に伺った。

信金では広域のエリアを担い、お客さま一人ひとりと信頼関係を構築

私たち結城信用金庫は、本店のある茨城県結城市を中心に、同県西部から栃木県小山市に至る広域エリアに店舗を展開しています。茨城県の経済圏というより、県西地域から他県に広がっているのが当金庫の特色の一つ。また、同規模の信用金庫と比べて、より広域をカバーしているのも大きな特色といえます。結城市はもともと城下町として発展し、名産では結城紬が有名。小山市一帯も製造業や建設業をはじめ、農業では白菜の生産量が全国の3割を占めるなど、広くものづくりが盛んなエリアです。地域に根差すこうした事業を営むお客さま、また個人のお客さまとの信頼関係を維持し、経済面からの支援に加え、地方創生に取組むことで、共に発展するのが私たちの使命だと考えています。

1902年(明治35年)に創業した当金庫は、来年で120周年を迎えます。創業以来、「地元とともに心はひとつ」という理念を大切に歩んでまいりましたが、その姿勢は120年前も今も、そしてこの先も絶対に変わることはありません。近年はITの進展にともない、当金庫もさまざまなシステムを導入して業務の効率化を図っていますが、それはあくまで手段の一つです。むしろこうした“補助ツール”により、さらに対人業務に集中できる環境を整えることができたと受け止めています。

相談業務なら今のAI技術でも代替できる、という意見を持っている方もいるかもしれません。しかしお客さま一人ひとりと長く続く信頼関係を築くことはシステムには不可能、かつ対人でも一朝一夕にできることではありません。真似しようとしてもすぐにはできない「信頼の蓄積」が、120年続く私たちの最大の強みです。どれほど社会環境が変わろうとも、信用金庫の軸足はお客さまと正面から真摯に向き合うことだと考えています。これからも地域とともにある金融機関として、私たちの原点である「Face to Face」の対話に取り組んでまいります。

(石塚理事長)

経営陣の横顔

石塚さんのネクタイは、地域名産の結城紬。多忙な日々のなかでも「静かな喫茶店でコーヒーを味わいながら読書をすることでリフレッシュしています」と教えてくれた。

現体制を維持し、バランスを図りながら安定的に経営

結城信用金庫は、本店を含めて現在24の営業店を展開しています。今後の展望は、現時点でこれ以上店舗を増やすつもりはなく、今の体制を維持しつつ、引きつづき安定的な経営に努めること。なお経営の視点では、「効率性」と「リスク管理」は相反するものです。例えば、お客さまが密集するエリアだけを対象とする金融機関は効率的な営業がしやすい一方、エリア内の業種に関わる外的な経済ショックが起きたときに、深刻な打撃を受けてしまいがち。その点、当金庫のようにエリアが広域にわたると、お客さまの業種も多岐にわたるので、リスクを分散させやすくなります。反面、効率性の面ではどうかというと、そこは先に述べたとおり、ITツールなどを適宜活用しながら、長期的なスパンで「効率性」と「リスク管理」のバランスを図っていく考えです。

地域貢献については、ボランティアや募金などさまざまな活動に取り組んでいますが、信用金庫における何よりの地域貢献は、お客さまへの円滑な資金提供や資産活用などを実現するため、長期的かつ安定的な信頼関係を築くことにあると考えています。そして信頼を得るには、職員一人ひとりが物事を自分の頭で考え、誠実に行動することが大切です。私の経験でいうと、渉外(外訪営業)時代に、あるお客さまが若手の私にお札の束を預けてくださったことがありました。それほど預金をお勧めしたわけでもなかったので理由を聞くと、「あらかじめ私の口座や生活状況などを丁寧に調べて知っていてくれたことに感激しました」とのこと。金利などの価格ではなく、人として信頼してくださったのです。

職員には「来店してくださったお客さまには必ずお礼を言うように」と話していますが、そうしたことの積み重ねが、他行庫との差別化につながる付加価値をもたらすと確信しています。人としての礼儀を持ち、自分で物事を考えられる職員に成長するためには、当金庫の人材育成システムがしっかりとサポートします。地域のために働き、目の前のお客さまの力になりたい。そんな思いを持つ方を、私たちは全力で支えていきます。

(石塚理事長)

経営陣の横顔

「文書では根幹が伝わらない」との思いから、職員に向けて話をする機会も多い。特に若手社員とは定期的に理事長室で「情報交換会」を開き、なごやかに語り合っている。

新しく導入したメンター制度で、同世代の職員と絆が深まるきっかけに

結城信用金庫では、机上の研修よりも実践を重視し、入社から1週間後には現場に配属しています。とはいえ7日間の導入研修では、金融機関の基礎知識からコンプライアンス、ビジネスマナーまで基本的なことは全て網羅しています。配属後の約3カ月間は、新人一人ひとりに教育担当者がつき、マンツーマンで仕事を教えていきます。毎日の教育担当者とのやり取りはノートに記録して支店長が目を通し、時には上司からのアドバイスもありますので、一対一プラス店舗ぐるみで新人の成長を確かめ、支える体制です。近年、マンツーマン指導は珍しくありませんが、当金庫では私が入庫する30年ほど前にはすでに確立されていました。見直しを重ねて最適化した、伝統の教育制度なので安心です。

さらに2021年度からは、新しくメンター制度を導入。1年にわたり、仕事はもちろんメンタル的な悩みや、プライベートの相談まで年の近い先輩が親身にサポートする制度です。各営業店の推薦だけでなく、全店からメンターの希望者を募るのが特徴で、多くの若手職員が「やってみたい」と手を挙げてくれました。これには事務の効率化により各店の人員が減ったことから、広く同世代のメンターを集める意図もあります。また同世代の交流としては毎年、筑波山でハイキングなどのレクリエーションも兼ねた宿泊研修を実施しています。安心して職場に馴染むとともに、店舗の垣根を越えた職員との交流を通してモチベーション高く、いきいきと働いてほしいですね。また、年度別の研修や通信教育なども充実。なかでも渉外への異動を控えた職員には、1、2年前から事前研修を行って必要な知識や心構えを養っています。

福利厚生制度も充実しており、女性職員も出産後に復職する人のほうが多いですね。皆さん、時短制度を有効に活用しています。信金ならではの特色としては、家や車などの購入時に職員の融資制度があるほか、当金庫が契約する保養施設をお得に利用できます。当金庫の施設は那須や白河にあり、ゆったりリフレッシュできますよ。地域に根付く仕事のやりがいとともに、こうした環境も相まって離職率はかなり低く、どこの営業店に行っても家族的な雰囲気が感じられるのも自慢です。基本からしっかりと教育しますので安心して入庫し、のびのびと、そして着実に成長してください。

(塚原部長)

経営陣の横顔

「男性職員だけでなく、最近では女性の渉外も増えてきました」と塚原さん。自身のキャリアを振り返っても、渉外時代が最も思い出深いとにこやかに語る。

企業研究のポイント

金融の仕事は「商品」が実態のあるモノではないため、なかなかイメージがつきにくいところがあるかもしれません。しかし信用金庫の仕事は実際にやってみると、お客さま一人ひとりにきめ細かいサービスを提供できる、非常にやりがいの大きい仕事だと自負しています。それぞれの信用金庫が持つ特色をしっかりとおさえることが、企業研究のポイントの一つといえるでしょう。

信用金庫のなかで重要な仕事の一つが、渉外活動です。最近では渉外を置かないところも見られるなか、当金庫では全350人の職員のおよそ4分の1、約80名が渉外です。そこまで人を割くのは、お客さまと密に接することで情報を得て、一人ひとりに適切なご提案を行うためです。役立つ情報の中から自分で考えた提案を行い、お客さまに喜ばれるやりがいは計り知れません。またお客さまには中小企業のトップも多く、尊敬できるさまざまな経営者の知見に触れられることも有意義です。若い頃から見聞が広がり、入庫数年目から管理職も目指せる環境で、「自分にできること」を増やし、大きく成長できます。

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店舗を超えた同世代の交流も盛んなため、職員は全員が顔なじみ。新入職員は導入研修や年次研修で顔を合わせる機会も多く、会えばたちまち話が弾む。

マイナビ編集部から

結城信用金庫は、およそ120年の歴史の中で「変わらないもの」「変えるべきもの」を冷静に見極めてきた金融機関である。「変わらないもの」とは、信用金庫としての徹底した地域重視で、バブル期にも事業拡大や吸収合併に走ることなく、地域目線を貫いてきた。創業の形をこれほど今に受け継ぐ信用金庫も珍しく、ちなみに社章バッジのデザインも創業時から変わっていない。

一方で、新人のマンツーマン教育や通信教育、最近では業務のIT化など「変えるべきもの」は迅速に、かつ柔軟に取り入れてきた。商圏が比較的広域にわたるという、外的変化に左右されない強みもあるが、“ユーシン”として各地域の人々に親しまれる、本来の信用金庫らしい姿であり、かつ働く環境は年々アップデートしている。金融を通して地域のために働きたい人に最高の環境といえるだろう。

インタビューでは理事長も総務部長も営業店時代、特に渉外業務の楽しさややりがいを具体的なエピソードも交えていきいきと語ってくれた。経営陣の熱い思いは、そのまま現場に浸透している。

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結城市にある本店は新築移転、別館新築を経て現在の形に。地元では「ユーシンさん」という愛称で親しまれており、数世代にわたる取引業者も多い。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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