最終更新日:2026/6/23

社会福祉法人落穂会

業種

  • 福祉サービス

基本情報

本社
鹿児島県

取材情報

経営者の視点

だれもが「生まれてきてよかった」と思える共生社会の創造を目指す

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真の「共生社会」を実現するために、落穂会が果たすべき役割とは

1958年に「知的障害児施設あさひが丘学園」を開園し、知的障害をもった方を支援し続けてきた社会福祉法人落穂会。水流理事長にこれまでの歩みを振り返っていただき、未来に目を向けた展望についても聞きました。

理事長 水流 純大(つるすみひろ)

落穂会の初代理事長である水流國彦氏の孫にあたり、1993年に落穂会に入職後、1999年にあさひが丘学園施設長を経て、2016年に第四代理事長に就任。鹿児島県知的障害者福祉協会の会長も務めている。

「誰もやっていないからこそ挑戦する意義がある」、それが落穂会のDNA

社会福祉法人落穂会は1958年に私の祖父が開設した知的障害児の施設「あさひが丘学園」がはじまりです。当時、鹿児島県内では民間初の障害児入所施設でした。私の父はその施設で児童指導員、母は栄養士として働いていました。自宅の敷地内に施設があったので、少年時代の私の遊び相手は障害をもった子どもたちです。そのため、私にとっては障害者が身の回りにいることが当たり前でした。

将来を考えるにあたって、やりたいことが見つからない学生さんも少なくないことでしょう。実は私も学生時代、同じ悩みにぶつかりました。何がしたいのか自分でも分からず、自分自身のことを見つめ直す中で頭に浮かんできたのが、ハンディキャップをもったお兄ちゃん、お姉ちゃんにお世話をしてもらったり、一緒にキャッチボールをして遊んだりした幼少期の原体験です。障害者がそばにいること、共に生活することが日常だったので、障害者福祉の道に進むのは自然な流れでした。

私が落穂会で働き始めた当時は、知的障害をもった子どもの入所施設しかありませんでした。子どもが大人へと成長した後も支援するための施設、自宅で生活する子どもたちが通うための施設など、利用者のニーズや社会の変化に対応していく中で、現在では障害児・障害者に関わる40もの事業を展開しています。ここに至るまでには多くのターニングポイントがありましたが、中でも印象深いのは2012年に児童発達支援事業「ガーデンキッズセルク」を開設したことです。それまで障害者施設は郊外に設置されるのが通例でした。「ガーデンキッズセルク」があるのは、鹿児島市内の繁華街・天文館にある商業施設「マルヤガーデンズ」内です。利用者の利便性向上のみならず、地域社会との共生という観点からも、都市部で児童発達支援事業を開始したことには意味があると考えています。

ホースセラピーを取り入れた「あさひが丘乗馬倶楽部 シュバル」を開設したのも鹿児島では初の試みでした。鹿児島県内で民間初の障害児入所施設として歩み始めた約70年前から、「誰もやっていないことをする」というのは落穂会のDNAとして脈々と受け継がれているように感じます。

落穂会について

「私たちの方が、利用者から学ばされる場面がとても多くあります。障害のある人たちを支えながら、自らが人として成長し、人間性を磨くことのできる価値のある仕事です」

障害をもった利用者のみならず、地域社会全体が幸せになるための取り組みを強化する

子どもも、大人も、入所施設も通所施設も、障害者福祉を網羅した事業を展開するようになった背景にあるのは<だれもが「生まれてきてよかった」と思える共生社会を創造する>という落穂会の経営理念です。ハンディキャップをもって生まれてきた人たちが地域の中で共に暮らし、幸せや喜びを感じられる共生社会を創ること、そのための支援を行うことが私たちの使命です。そして、この理念を実現するためには、落穂会の事業だけでは不十分だと考えています。なぜなら、落穂会以外の施設、サービスを利用する方にも「生まれてきてよかった」という幸せを感じてほしいのです。現在私は「鹿児島県知的障害者福祉協会」の会長を務めています。鹿児島県内の知的障害者福祉に関わる同業者間の横のつながりを強化し、情報共有を密にすることで、落穂会のみならず鹿児島県全体での支援の質向上に取り組んでいます。

1958年に祖父が「あさひが丘学園」を開設してから、間もなく70年の節目を迎えます。これからも安定した事業運営によって障害のある利用者の生活を、より豊かにしていくことを目指しつつ、今後は地域社会との関わりをより深めていきたいと考えています。具体的な取り組みの一例としては、児童発達支援センター内で高齢者向けの体操教室やカラオケ大会を企画。落穂会の施設の多くがある鹿児島市岡之原町は高齢化が進む地域です。地域のお年寄りがイベントをきっかけにセンターに集い、障害をもった子どもたちとの触れ合いを通じて元気になってほしいという思いからの施策です。

ほかにも地域の町内会とコラボしたイベントを企画したり、町内会主導のイベントに落穂会の利用者が参加したりなど、地域との連携強化を進めていきます。経営理念の<だれもが「生まれてきてよかった」と思える共生社会を創造する>の「だれもが」は、障害者だけを指すものではありません。地域社会をより良いものにするために、今後はさらに取り組みを強化していきたいと考えています。

落穂会について

水流理事長は若手職員からも「すみひろさん」と呼ばれている。年次や役職を問わず下の名前で呼び合うことが多く、職員同士の距離の近さ、話しやすい人間関係がある。

「働きがい」と「働きやすさ」の両立に全力を注ぎ、長く働き続けられる環境をつくる

障害のある利用者の笑顔ある暮らしを支えているのは、各施設で利用者と日々触れ合う職員の力に他なりません。<だれもが「生まれてきてよかった」と思える共生社会を創造する>という理念を実現するにあたっては「人づくり」こそが最も大切であり、職員にとっての「働きがい」と「働きやすさ」の両立に全力を注いでいます。

落穂会では多様な事業を通じて、子どもから大人まで個性豊かなたくさんの利用者と関わることができます。職員が長く働き続ける中で、一人の利用者が成長していく過程をずっと見守っていけること、そして利用者の豊かな暮らしを支えているという実感が「働きがい」へとつながります。

一方で、どんなに働きがいのある仕事でも、自身の生活基盤が安定しなければ長く働き続けることは難しいでしょう。落穂会は給与や休日、福利厚生といった面で、既に業界内の高水準にありますが、今後もさらに職員の働きやすさを追求し続けます。そして、長くキャリアを重ねることによって、障害者福祉のプロフェッショナルへと成長していけるような教育環境の充実も当法人の取り組みの一つです。経験と勘だけに頼るのではなく、幅広い知識、新しい理論を身に付けられるようなオンライン研修コンテンツ、私が会長を務める「鹿児島県知的障害者福祉協会」のネットワークを活かした外部講師を招いたセミナー、資格取得のサポートなど、多様な学びの場を用意しています。

障害のある利用者は自分の思いを上手に言葉にすることができません。そのため、支援する側の「誠実さ」が何より大切です。また、今後のビジョンとしてお伝えした地域との連携強化を進めていくにあたっては、前例のない取り組みにも着手することになります。そのため、誠実さを大前提とした上で、与えられた仕事をやるだけではなく、自ら積極的に考えて動ける人には活躍の場が広がっていきます。福祉や教育に関する専門性の有無は問いません。誠実な方であれば、未経験でも専門性をゼロから高めていけるような教育体制を整えています。

落穂会について

落穂会の名前の由来はミレーの名画「落穂ひろい」。障害を抱えた人が社会から取り残されないように、一人ひとりに目を向けた支援をするという思いが込められている。

企業研究のポイント

企業研究を進めるにあたっては、自分がその職場でやりがいをもって働いている姿を想像できるかを判断基準にしてほしいと思います。ポイントとなるのは「職場の雰囲気」と「働きやすさ」の2点です。

職場の雰囲気については、文字や写真、映像だけでは十分に判断できないので、インターンシップや職場見学などの機会を積極的に活用して、職場の空気感を肌で感じることが大切です。その際、職員の姿だけではなく利用者がどんな表情で過ごしているかにも目を向けると、施設ごとの違いが見えてくると思います。

働きやすさについては、福利厚生にまつわる制度や給与、手当などの各項目を掘り下げ、収入、勤務時間や働く時間帯、休日数などをイメージしながら、どのような社会人生活が送れるかを具体的に考えることをおすすめします。

障害者施設の仕事に興味はあるが、自分にできるのだろうかと心配になる学生も多いと思います。入職の時点で知識や経験の有無を問わない施設は多いので、入職後にどのように成長していけるのか、どんな教育環境が整っているのかに注目してください。落穂会はメンター制度、約2000本にもおよぶ知的障害に関する動画を視聴できるスペシャルラーニング、資格取得研修への参加など、研修・教育環境が充実しています。

■人事担当/直田 竜馬

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「成人が利用する施設であれば資格は必須ではありません。出身学部や専門性の有無で身構えず『誰かの役に立ちたい』という純粋な思いを大切にしてほしいです」(直田さん)

マイナビ編集部から

職員一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮できてこそ、<だれもが「生まれてきてよかった」と思える共生社会を創造する>という落穂会の理念が実現する。だから、職員の働きやすさを徹底的に追求する。水流理事長は取材中にそう力説した。そこで、本編記事中では書き切れなかった「働きやすさ」につながる具体的な制度について、いくつか紹介したい。

落穂会では有給休暇が入職2カ月後に付与され、1時間単位での利用が可能。WEBから手軽に申請できることもあり、年間の平均有給休暇取得日数は14日と多い。また、通所、入所の施設の違いなどによって勤務時間帯は異なるが、ほとんどの職員が残業せず定時で仕事を終えていることも注目すべきポイントといえるだろう。

17万5700円の基本給に手当が加わり、月額23万5700円からキャリアをスタートさせることができ、入所施設の場合はさらに数万円の変則勤務手当や宿直手当が加算されることになる。また、家を購入した職員には住宅ローン手当が支給されるので、30代を中心に多くの職員がマイホームを建てている。

職員の「働きやすさ」を支える具体例は、まだまだ多くあるのだが、落穂会は福祉業界に対する先入観をもたず、多くの人に注目してほしい社会福祉法人だと感じられた取材になった。

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上司との面談が毎月あり、さらに人事との面談も年2回実施して職員を親身にサポート。タバコを吸わない人に月1000円が支給される健康手当のようなユニークな制度もある。

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