最終更新日:2026/6/9

紀州技研工業(株)

業種

  • 機械
  • 印刷・印刷関連

基本情報

本社
和歌山県

取材情報

記事で読む社会科見学

空気以外はなんでも印字?!独自技術が自慢の産業用インクジェットプリンターメーカー

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機械×化学×電子、3つの領域を制覇したメーカーの実力

■玉置 将之さん
2022年入社
技術開発部 ハードウェア課

■三上 諒也さん
2023年入社
東京営業所 営業3課

■福地 滉太さん
2024年入社 インク開発部 インク開発1課

ペットボトルにビール缶、お菓子の袋、段ボール等に印字されている賞味期限や製造番号。その印字用プリンターを開発・製造しているのが紀州技研工業です。産業用インクジェットプリンターのメーカーとして、国内シェア28%(※2025年『プリンタ市場の全貌』/中日社刊)を占めるトップ企業です。

さまざまな製造現場で安定的かつ安心して使っていただくため、技術職や営業職のみなさんはどんな取り組みをされているのでしょうか。それぞれの部署が担うミッションと苦労、やりがいも交えて同社のプリンターについて教えていただきました。

「工場という過酷な環境でも文字が欠けない、安定性能を発揮するプリンターをつくる」ミッション

インクを対象物に飛ばして印字をするのがインクジェットプリンター。基本の仕組みは家庭用も産業用も同じで、かなり細かな動きをしています。

たとえば「あ」という文字を印字する場合、ペンで書くような動きではなく「あ」を縦に細かく分割し、1列ごとに印字データの信号を送っています。インクジェットプリンターのヘッドには、インクを吐出するための穴が縦に多数並んでおり、印字データに応じて使用する穴を選ぶことで、「あ」の1列目が印字されます。続いて2列目、3列目…と順に印字を進め、最後の列まで終わると「あ」という文字が完成します。こうした一連の制御を、マイクロ秒やナノ秒という短い時間で実現しています。学生時代には、自宅のインクジェットプリンターがどのような仕組みで動いているのか考えたこともなかったです。

私の仕事は、印字データの処理や、電圧を制御してインクを吐出させるための基板設計・プログラミングです。印字の基本的な仕組みは産業用も家庭用も同じですが、プリンターが使用される環境には大きな違いがあります。産業用プリンターは工場や倉庫で稼働するため、設備から発生する電気的ノイズや、温度、粉塵などの影響を受けることがありますし、人為的なミスもゼロではありません。そうした厳しい環境下でも安定して動作し、ノイズに強く安全に使用できるよう設計しています。

プリンターの文字が欠けてしまうと、お客さまの製造ラインも止まり、多大な影響が出てしまいます。技術開発部では、不具合の連絡をいただいたらお客さまと同じ環境を整え、その日のうちに自社内で再現テストを実施。ハードウェア、ソフトウェア、メカトロニクスの3部署が協力し、迅速な原因究明と検証に取り組んでいます。

再現テストだけで原因を特定できないときは、全国各地のお客さまの製造現場へ赴くこともあります。不具合は喜ばしいことではありませんが、自社のプリンターを現場で見るとちょっとうれしい。トラブルを解決できると自信がつき、自分の携わった基板が年間200枚、300枚と量産され、世の中に出ていくことにやりがいを感じます。

技術開発部のメンバーは皆、探究心が旺盛
で、知らないことが出てきたら必ず調べ、他部署ともしっかり連携。趣味で勉強している人もいるほどです。そんな一人ひとりの向上心がプリンターの品質向上につながっていくのだと思います。
(玉置さん)

ここがすごいぞ!紀州技研

技術開発部は柔軟性にも自信を持っています。「物理的なキーで使用者を限定したい」など、ちょっと変わった要望もていねいに聞き、できる限りのことをしています。(玉置)

「多くの人に愛される人気商品のパッケージに、正確で綺麗な賞味期限を印字していただく」ミッション

私が営業として担当させていただいている地域では、食品メーカーのお客様の割合が非常に高いです。まずアポを取って打ち合わせを行い、仕様が決まったら正式受注となります。さらにお客さまの生産現場での設置、設置後のアフターフォロー、トラブル対応、見積書作成などの事務作業まで。ふつうは二人でやる仕事を一人でやっているようなもの…という意味では大変ですが、やりがいも2倍です(笑)

設置の際にはお客さまの生産現場に堂々と入っていけるので、周辺にどんな設備があり、どんな要望をお持ちなのかも確かめられますし、製造ラインの方のお話も聞けます。それが次の提案につながるので、営業兼サービスという動き方はメリットが大きいです。

さらに自社でインクも開発・製造しており、この体制が営業をバックアップしてくれています。インクの原料によっては、化学物質が含まれていて、そういった化学物質の規制が年々厳しくなっていますが、そんな中でも、インクを自社開発している当社なら、使用可能な物質のみを使ったインクを開発し、その品質についても自信を持って提案できます。また納品もスピーディです。エタノール系、水ベースのものまで自社製品としてラインナップ、豊富な種類に加え、全て自社工場で製造していることがお客様の安心感になっています。

産業用インクジェットプリンターは、1機が約30kg。軽くはないですが一人で持ち運べる重さなので、商談の際には必ずお持ちして実機を見せて説明します。カタログのみとは反応がまったく違いますよ。ただ、私自身は機械の性能よりも人間性で受注を獲得するタイプで、商談でするのもほとんどが仕事以外の話ですが(笑)
他メーカーからの切り替えは容易ではありませんが、ある大手アイス食品メーカーが、製造ラインの50%を当社に変えてくださったときはうれしかったです。プリンターの機能だけでなく、人としての信頼と関係性を築くことで、大型契約を勝ち取れたと感じています。

自社の製品で印字された製品を日常生活で見かけることもあります。アイスやお菓子の賞味期限の印字は、フォントの違いでわかるんですよ。多くの人に愛されている食品に当社の製品が役立っていると思うとうれしいですね。
(三上さん)

ここがすごいぞ!紀州技研

プリンターだけでなくインクまで自社で開発しているメーカーは、国内では当社のみでは?カラーも豊富でスピーディに提供、規制などの法令にもすぐ対応できます。(三上)

「染み込まない素材にも瞬時に印字・定着させ、世界の法令もクリアするインクを開発する」ミッション

三上さんが話している通り、自社でインクまで開発しているのが当社の特徴で、強みでもあります。私はインク開発を担当。お客さまからの「こういうインクが欲しい」という要望を受け、既存製品に新たな機能を追加することが多いですが、まったく一から開発するケースもあります。

インクは色の要素と機能面、溶剤によって構成されています…と言ってしまえば簡単なようですが、その組み合わせは無数ともいえるほど。現在、私が取り組んでいるのは、塩ビパイプに印字できる青インクです。インドの子会社からの要請なのですが、従来品は擦りに弱いので、どうすれば擦りに強くなるのかが課題となっています。さらに、法令の遵守も重要。海外は日本とは違う法規制があるので、開発業務もそれを調べることから始まります。

少量つくっては粘度を確かめ、いい感じならプリンターで出来を確認、ということを繰り返すインク開発。大変なように見えるかもしれませんが、「この材料を使うとこうなるのか」と日々が学びと発見の連続です。開発業務は時間を忘れてしまうほど楽しく、やればやるほど興味が湧いてきます。学生時代に触れる機会のなかったIR(赤外分光光度計)やガスクロ(気体の分析機器)などを、思う存分使うことができるのも楽しいです。

入社1年目のとき、営業から「フランス鉱物油規制に基づいたインクを作ってほしい。」と依頼を受けました。まだ経験が浅くてわからないことばかりの中、鉱物油の使用量を法規制の範囲内に抑えて完成させ、社長表彰をいただくことができました。
銀ナノ粒子インクの仕事も印象に残っています。これは業界でも前例のない特殊なインクで、ラボスケールでの販売は行われていました。好評で増産が決まったのは喜ばしいことですが、スケールアップしてみると性質が変化。加熱時間や撹拌にかかる時間などを再検討し、量産化に成功!新しいテーマに取り組める喜びと、会社の利益に貢献できたやりがいも味わいました。

当社が製造するインクの種類は多く、現時点で100種類以上。どんどん開発していくので、さらに増えていきます。これからも「なぜ?」を突き詰めながら、自分の得意分野を見つけ、多種多様な用途に対応できるインクを世の中に提供していきたいです。
(福地さん)

ここがすごいぞ!紀州技研

先輩たちの集中がすごい。この環境から、紫外線を当てると瞬時に硬貨するUVインクが誕生。プラスチックや化粧箱にフルカラーで印字ができる環境が生まれました。(福地)

職場の雰囲気

  • にぎやか
  • デスクワークが多い
  • 個人プレー
  • 社内の方と関わる仕事が中心
  • 落ち着いた
  • デスクワークが少ない
  • チームプレー
  • 社外の方と関わる仕事が中心
  • 玉置さんが感じる職場の雰囲気
  • 三上さんが感じる職場の雰囲気
  • 福地さんが感じる職場の雰囲気

企業研究のポイント

企業を探す際には業種や強みだけでなく、利益率も把握しておくことをお勧めします。これは人事としてだけでなく、経理にも関わっている立場からのアドバイスです。

設備メーカーの場合、不景気になると企業の設備投資が減って製品が売れにくくなります。これでは働く側としても心配ですよね。当社の場合は設備だけでなくインクも自社開発しているので、その心配がありません。他社性のインクを使うと印字がうまくいかず、トラブル対応ができないので取引先は皆、当社の純正インクを使ってくださっています。それが高収益体制を生み、経営の安定につながっています。
製造業全体で見ると平均利益率は5%程度ですが、当社は17%で、業界平均を大幅に上まっています。こうした数値は求人票などに記載されていることが多いので、チェックしてみてください。

「この企業はなぜ、同業他社に比べて高収益なのか」を追求していくと、その会社の独自性や将来性が見えてきます。また、初任給だけでなく5年後、10年後はどうなるのか。給料の伸び率とか35歳時点での年収など、インターンシップなどの機会を使って聞いてみるのもいいでしょう。数字面を聞かれるのを嫌がる会社があるかもしれませんが、気になることはどんどん質問!その姿勢で、中身の濃い企業研究をしていただきたいと思います。

総務・企画本部 本部長/岩橋 伴幸

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和歌山を代表する優良企業、紀州技研工業。創業約60年、簡単に参入することができない独自技術と、どんなものでもやってやろうというチャレンジ精神が宿るメーカーである。

マイナビ編集部から

工場の生産ラインで人が一つひとつ、ゴム印を押し付けて印字をしていた1960年代に、国内初の自動捺印機を開発した紀州技研工業。その後、インクも開発。ヘッド部分、インクも含め、産業用インクジェットプリンターのすべてを自社で開発・製造する稀有なメーカーとして知られている。
30年近く前には食中毒事故をきっかけに「卵の殻に直接、賞味期限を印字できないか」と思い立ち、殻の内部に浸透せず、口に入れても安全、茹でても消えない可食インクの開発に成功。その技術はマンゴーなどの果物、錠剤への直接印字へと発展した。

段ボールといった紙類はもちろん、ペットボトル、医薬品、電子機器、自動車、建材など多彩なモノに印字できる製品をラインナップ。売上高は、2025年に100億円を突破し、業界シェアは28%、段ボールケースに限れば40%(ともに2025年『プリンタ市場の全貌』/中日社刊)と、トップメーカーとしての地位を確立している。

皆さんの話を聞き、日頃何気なく見ているペットボトルの蓋の文字を確かめたくなった。小売店などではラベルやシール、手押しのスタンプを使用している現場も少なくない。それらがプリンターで処理できるようになれば作業効率も高まる。どんなものに、どんな印字ができるのか。企業研究をしながら可能性を探っていくのも面白そうだと感じた。

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缶ビールで乾杯をする前に底面をチェック!ツルツルの表面に速乾性インクの明瞭な文字が。ロゴやバーコードもOK、表面に段差のある対象物にも欠けることなく印字できる。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2027に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2028年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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