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REPORT02:ガーナ篇

深刻な医療者不足と偏在

ガーナは西アフリカの熱帯気候の国です。医療事情は都市部と地方ではかなり異なります。首都アクラ及び第二の都市クマシでは、高度医療を提供できる施設や人材が確保されています。一方、地方では、医療資源は限られており、医薬品も最低限の必須医薬品があるだけで、清潔な水が手に入らなかったり、電気の通っていない地域では高い気温の下で医薬品を適切に管理することも難しい状況にあります。

抗HIV薬の在庫管理をする病院薬剤師。

薬剤師は、人口2,300万人に対して、ガーナ全土で約2,000名(2011年)。毎年100名以上の薬剤師が誕生しているのですが、多くの医療者が免許取得後、より所得の高い欧米等に行くことを希望するため、医療者不足が深刻です。

さらには、医療者の約8割が首都と第二の都市に偏在しています。特に貧困層の割合が高い北部地域では、人口50万人規模の州に常勤の医師が数名しかいないところもあります。多くの農村地域においては、病院がなく、村の診療所で1人の看護師が出産から救急処置まで全て対応しています。

薬剤師がいない地域が沢山あるため、専門知識のない者や無資格者による医薬品の提供や販売が行われています。そのため、国内にいる数少ない薬剤師は、勤務先での業務だけでなく、地域における医薬品の安定供給の確保や、国民に対して医薬品の適正使用を促す役割を担っています。特にHIV感染症においては、患者がアドヒアランスを良好に保たなければ、症状の悪化や耐性ウィルスが発生する可能性があります。しかし、抗HIV薬の供給が安定していないため、常に同じ薬を一定数確保することが難しいこともあります。そのような際に薬剤師は代替案のなかで最善の方法を検討し、実施するための判断力が必要になります。また、収入が少なくて治療継続が困難になる人のために、地域との連携を深め、対策を講じることも求められます。
また、ガーナで最も頻繁に見られる感染症の一つ、マラリア治療でも、薬剤師は積極的に関与しています。

より高度で豊かな環境を求めて就職

ガーナの薬学部では4年間の学部教育を経て1年間のインターンが課せられ、その後国家試験を受験します。多くの卒業生が都市部の病院、薬局に就職します。これは経済の中心である都市部に医療機関が集中し、労働条件も地方に比べて断然良いことが要因です。

急性期疾患に対応する病院で専門性を高めることを希望する人や、地域医療に従事することを希望する人、政府機関で医薬品関連の政策整備に取り組む人もいます。一方で、前述したように海外で働くことを希望する若手薬剤師も多く存在しています。これは単に収入だけの問題ではなく、海外で高度な医療を経験し、いずれは習得した知識と技術を自国の医療に還元したいという志を持っている人もいるためです。

抗マラリア薬について、患者に説明する薬剤師。マラリアに関しても、薬剤師は適切な薬物治療に積極的に関与している。

薬局店頭でマラリア患者にカウンセリングする薬剤師。

メッセージ

後町陽子さん

金沢大学大学院医学系研究科国際保健薬学研究室 元青年海外協力隊
卒業後、ガーナにて青年海外協力隊エイズ対策活動に従事。現在、金沢大学大学院にて国際的に流通する偽造医薬品や品質不良品の実態調査及び対策に関する研究を行っている。

先進国に行けば何十倍もの所得が得られる状況で、自国民の命を守るという使命感を持って業務にあたるガーナの薬剤師は国民の信頼も厚いです。医療が行き届かない地域を訪問したり、公衆衛生の向上に寄与する姿から、私たちは学ぶことが沢山あると思います。

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