民放の基礎知識

全国に広がるローカル局

北海道から沖縄まで、ローカル局の放送エリアと
ネットワークの仕組みを解説します!

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 日本民間放送連盟(民放連)の会員社205社(平成28年11月現在)のうち、テレビ単営社は94社、ラジオ単営社は66社、ラジオ・テレビ兼営社は33社、衛星放送社は12社です。
 テレビ社は、基本的には各局とも各都道府県を放送エリアとしていますが、関東、中京、近畿の広域圏および鳥取・島根、岡山・香川については、複数の都府県を放送エリアとしている放送局があります。
 全国のローカル局が東京(関東広域圏)のキー局を中心に全国ネットワークを形成しており、現在、日本には5つのテレビネットワーク(JNN、NNN、FNN、ANN、TXN)があります。このほか、関東・中京・近畿地区の各都府県を放送エリアとする独立放送局があり、「全国独立放送局協議会〔独立協〕」を設置しています。
 ラジオ社の放送エリアは、テレビと同じく各都道府県を基本としますが、関東、中京、近畿の広域圏および滋賀・京都、鳥取・島根、佐賀・長崎については、複数の都府県を放送エリアとする放送局があります。現在、日本には東京のキー局を中心とする中波2系列(JRN、NRN)、FM2系列(JFN、JFL)、外国語放送1系列(MEGA−NET)の5つのラジオネットワークがありますが、テレビに比べて番組制作・CMとも地域密着性が高い分、つながりは緩やかなものになっています。このほか、ネットワークに属さない独立放送局や、全国を放送エリアとする短波放送局があります。
 また、衛星放送局は、テレビとラジオともに全国を放送エリアとしています。

テレビネットワーク

ラジオネットワーク

地域に根ざすローカル局の社会的使命

ローカル局は視聴者との距離がとても近いんです。
だからこそできることがたくさんあります!

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NHKと民放の違い

NHKと民放の違い

 「電波」は国民の共有財産であり、有限な資源です。この貴重な電波を国の免許・認定を得て使用することで、報道番組や娯楽番組を全国各地に送り届ける「放送」は極めて公共性の高い事業です。

 これは「公共放送NHK」と「民間放送(民放)」の双方に共通する性格です。共に高い公共性を有したうえで、全国1組織であるNHKは自力で全国をカバーし、受信料を財源とします。これに対し、原則として一つの県を放送エリアとする民放は地域に密着し、広告収入を主な財源とします。

 事業の質を異にするNHKと民放が、それぞれの長所を生かして切磋琢磨するという「放送の二元体制」によって、日本の放送は大きく発展してきました。
 たとえるならば、NHKは東京に本社を置き、各県に支社を置く全国チェーン店。一方、民放社は各県それぞれに本社を置く地元密着企業です。

民放が地域で果たす役割、地域を越えて果たす役割

民放が地域で果たす役割、地域を越えて果たす役割

 民放社は取材と放送を通じ、地元への情報伝達や全国への情報発信、さらに地元の自治体・企業などとの連携による地域経済・文化・スポーツの活性化などに大きな役割を果たしています。
 加えて民放社は、他の地区の民放社と共に「ネットワーク」を組むことにより、取材・放送の両面で全国をカバーしています。たとえば東日本大震災や平成28年熊本地震などの際には、他県の被災地へ応援に駆けつけ、ネットワークとして結束した力を発揮して取材・放送を行いました。 また、ローカル局からBS放送やインターネットを通じた全国発信も増えています。
 来る2020年の東京オリンピック/パラリンピックでは、各民放社およびネットワークが結集し、全国各地から“世界的イベント”の機運を盛り上げ、約半世紀ぶりの感動と興奮を全国へ、そして海外へと発信します。 こうした民放のパワーの源泉は「人」です。とくに、中央の本社からの“転勤族”にはない視点で地域と世界の将来を見つめる人材を求めています。

視聴率から見ても、地域番組の視聴者ニーズは高い

 こうしたローカル局の放送を視聴者はどのように見ているのでしょうか。
 民放連が調査会社ビデオリサーチのデータをもとに算出したところでは、民放の夕方ワイド18時台のうち全国番組の平均視聴率が8.1%に対し、地域番組は8.9%と、0.8ポイント上回っています。
 また、民放連が実施したネット調査で、半数以上の視聴者が民放テレビの地域情報番組は「全国放送の番組に比べ、親しみを感じる」「見ることは楽しい」などと回答しています。

地域番組(夕方ワイド)の視聴率の例

視聴率から見ても、地域ニュースの視聴者ニーズは高い。

※左図の視聴率は、夕方のローカルワイドを編成していて、ネット・ローカルのゾーン別に視聴率を把握できたネットワーク系列テレビ76社の平均(2016.4.4〜2016.10.2、ビデオリサーチのデータをもとに民放連で算出)

民放テレビの地域情報番組の評価

調査概要

  1. 調査名称地域情報に関するアンケート調査(民放連研究所)
  2. 調査対象3大広域圏を除く31道県のネットユーザー(有効サンプル数:1033)
  3. 実施期間2016年10月14日(金)〜2016年10月16日(日)
  4. 調査方法インターネットリサーチ

ラジオの特性について

ラジオの特性について

 ラジオは、“身の回りにある、最も手軽なメディア”であり続けてきました。
 受信機と乾電池さえあれば、いつでもどこでも聴くことができ、耳(聴覚)を受信機に向けるだけで、さまざまな情報を得られる大変便利なメディアです。特に災害が発生して停電した際に、いち早く情報を得るうえで非常に有用です。
 テレビを“クールメディア”、ラジオを“ホットメディア”と呼ぶ言い方がありますが、ラジオは特に地域に密着した、生放送中心のメディアであり、パーソナリティの肉声がリスナーとの間に親しみのあるコミュニケーションを形成します。
 ほとんどのメディアがデジタル化する中で、ラジオ放送は貴重なアナログ技術。送信・受信の仕組みは極めてシンプルで、デジタル特有の圧縮・復元による“遅延”のないメディアです。
 その一方、radiko(ラジコ)を通じて、スマホやPCでも容易に聴くことができるようになり、再評価が進んでいます。
 radikoには「プレミアム」サービスもあり、たとえば東京で生活する地方出身者が、これを使って、地元のローカル生ワイドを聴くことができます。
 さらに、スマホでラジオ放送を聴くとともに、さまざまな付加的サービスを利用できる取り組みも進められています。

民放事業の現況とビジネス構造

広告収入を中心とした民放事業のビジネスモデルのポイントを解説します!

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CM収入を中心としたビジネスモデル

 民放の収入はテレビ放送事業収入、ラジオ放送事業収入、その他事業収入に分けられ、テレビ・ラジオの「放送事業収入」はタイム収入、スポット収入、制作収入、番組販売収入、有料収入などで構成されます。

CM収入を中心としたビジネスモデル

 タイムCMは番組と一体でセールスされるCM時間枠で放送されるCMで、ネットワーク番組を放送する各局のCM枠をまとめてセールスするネットタイムCMと、ローカルごとにセールスされるローカルタイムCMがあります。
 スポットCMは各局が定めた番組の前後などのCM時間枠で放送されるCMです。
 タイム収入が比較的安定した収入であるのに対し、スポット収入は視聴率や景気に連動して増減します。こうした性格の異なる2つのCM収入を組み合わせることで、民放の経営が成立しています。
 有料収入は、衛星放送社が実施している有料放送の加入料収入です。
 「その他事業収入」には、イベント等の企画・運営、劇場用映画・映像ソフトの制作などが含まれ、最近、伸びの目立つ収入カテゴリーです。

民放の経営状況など

 平成27年度末の民放(民放連加盟社)206社の内訳は、地上放送が193社(テレビ単営社94社、ラジオ・テレビ兼営社33社、中波(AM)・短波単営社15社、FM単営社51社)、衛星放送等が13社です。
 地上放送193社の経営状況をみると、売上高は約2兆3300億円(同0.4%増)、経常利益は1881億円(同8.5%増)、売上高経常利益率8.1%で7年連続の増益。経常利益計上は184社にのぼります。
 民放の従業員総数は約2万6000人。1995年以降、低減傾向が続いていましたが、2010年から増加に転じています。
 参考として、電通「2015年 日本の広告費」で他媒体と比較すると、テレビ広告費は総広告費の31.3%を占め、インターネット18.8%や新聞9.2%を大きく上回り、広告メディアの“トップランナー”であり続けています。

ローカル局の将来性

ローカル局はスマホアプリだって作るし、
ローカル番組で地域活性化だってできるんです!

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スマホ向けアプリも開発する

 あるラジオ局は、スマホ向けのリスナー参加型アプリを開発しました。同アプリでは、ラジオ番組のパーソナリティの呼びかけにリアクションを送ることなどができ、簡単なアンケートなどによってリスナーと盛り上がることができます。このアプリが民放連の報告会で紹介されるや、全国のラジオ局から問い合わせが相次いだことから、この局はラジオ各局向けのシステムを開発して販売も行っています。

ローカル番組が地方を元気にする

 番組の海外展開に積極的なローカル局もあります。ある局は日本の文化を紹介する情報番組を制作し、フランスやタイのケーブルテレビで放送したところ、人気番組に成長し、番組で紹介した地元の店や観光地に海外の視聴者が訪れる機会が増えるなど、その取り組みは広がりもみせています。
 他にも、あるテレビ局が制作した、同局の地元を舞台としたバラエティ番組などを台湾や韓国などアジアの国々で放送したことから、地元を訪れる観光客が大きく増えたという事例もありますし、ローカル局同士で団結し、全国で制作された旅番組を1つのシリーズにまとめて海外で販売するといった事例もあります。
 地方が元気になると日本が元気になります。地方を元気にするために地元の放送局ができることはたくさんあると思います。あなたがアイディアを出して制作した番組が世界の人と地元の人を繋いでくれるかもしれません。

動画配信の時代に対応する

動画配信の時代に対応する

 スマホが急速に普及するなど、メディアをとりまく環境は日々刻々と変化しています。こうした状況に対応する一つの手段として、ローカルテレビ局の中には、自社のホームページや、たとえばTVerやhuluといったプラットフォームを使って、番組の放送終了後に見逃し配信を行うなど、インターネットを積極的に活用している事例が数多くあります。
 動画配信の利用が浸透した時代に、ローカル局は、自らのメディア価値をさらに高めるためには何が有効なのかを模索しているところです。

ラジオはまだまだ挑戦する

ラジオはまだまだ挑戦する

 インターネット経由でラジオが聴ける「radiko」は、平成28年10月から新たに「タイムフリー聴取機能」を追加し、過去1週間以内の番組であれば、放送後でも聴けるようになりました。また、家族や友人らと番組のお気に入り部分をSNSを使って連絡したり共有することができる「シェアラジオ」も始めています。 最近、ラジオを聴く若者が増えています。ラジオ局は、昔からのファンを大切にしながらも、若者など新しいファンのニーズに応えるため、様々な挑戦を続けています。
 ローカル局がこの先も立ち止まることなく、新しい挑戦を続けていくためには、長年培ってきた経験に加えて、若い皆さんのアイディアとパワーが欠かせません。皆さん、私たちと一緒に、さらなる新しい挑戦を考えて、ぜひとも実現させましょう。