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ベンチャー企業の歴史

魅力的な起業家のもと、独自の技術やノウハウをもって、ニッチな市場への参入や新規市場開拓を志す――
前回のコラムではベンチャー企業をそう定義付けた。

ならば、ベンチャー企業はいつ始まったのだろうか? その歴史を紐解くと意外な背景が見えてくる。
実は新興企業に投資をするという文化はアメリカではじまったものの、ベンチャーという言葉そのものは“和製英語”なのである。

アメリカでの創業支援モデルとは?――投資という概念がベンチャー企業を生んだ

「ベンチャーキャピタル(VC)」という投資集団をご存知だろうか? 成長が見込める未上場の企業に対して、積極的に投資を行うことで、将来的な利益で投資額を回収する――
それがVCの基本的な役割である。起業家にとっては非常にありがたい存在であり、日本においてもベンチャー企業を支援するVCが数多く存在する。

そもそもVCの前身が誕生したのは、1920年代のアメリカという説が有力だ。財閥や個人投資家といった資金豊富な人間たちが、これから生まれる企業に対して資金提供したのが始まりとされる。

本格的にVCという形が出来上がったのは1946年のこと。アメリカでAmerican Research & Development(ARD)が設立され、リスクを冒してまでも若い企業に投資して将来の見返りを得るというビジネスモデルを打ち出していった。

アメリカの場合、立ち上げられたばかりの企業に対しては“スタートアップ”という概念での投資を行うことが多い。
最近、少しずつ日本でも耳にすることも多くなったが、単に企業として存続するのが目的ではない。倍々ゲームで大きく成長し続ける可能性のある企業のみが、投資家であるVCなどから支援を受けられるのである。

非常にシビアだが、本当に革新的なイノベーションを有する企業にとってはチャンスに溢れているといっても過言ではない。

ベンチャーは日本発の概念。

ベンチャー企業の前身は、VCの支援を受けてスタートアップした企業ではないか――
アメリカの事例を読むと、そう判断してしまいがちだが、残念ながらこれは間違いである。
アメリカでは投資というビジネスモデルの1つで、実はベンチャー企業という概念は日本生まれであり、アメリカの創業支援とは形が異なる歴史を歩んできた。

ベンチャー企業、ベンチャービジネスという言葉は高度経済成長期に差し掛かった1970年頃、日本の有識者たちの議論の中によって作られた和製英語である。
スタートアップと混同しがちだが、本当に成長するか否かは別として、「新分野で可能性を開拓しようとする創業間もない中小企業全般」を指し、日本では投資ありきではないのである。

日本のベンチャー企業設立の波は、4回にわたって訪れている。

ベンチャーの概念が生まれた1970年当時は「第1次ベンチャーブーム」が到来した時代。経済のさらなる発展を実現するべく研究開発型のハイテクベンチャー(※)が続々と誕生していたという。
しかしながら、73年の第1次オイルショックを契機に衰退してしまう。

「第2次ベンチャーブーム」はバブルにさしかかろうとする1980年台前半に訪れる。
石油ショックのダメージを乗り越えて景気の波が拡大に向かい、モノ作りから流通サービスへのシフトが進められていったものの、85年の円高で終焉を迎えること

4度目のベンチャーブームが到来。

「第3次ベンチャーブーム」は1995年から始まった。
ITの進化により、いわゆるネットベンチャーが続々と誕生していったのである、バブル崩壊の反省から中央官庁の主導のもと、法的・制度的にもベンチャー支援体制が整備されたことも後押しとなり、今も名を馳せる巨大ITベンチャーがこの時代に礎を築き上げていった。

1999年の東証マザーズの開始に代表されるように、ベンチャーがIPO(株式公開)しやすい仕組みが整ったのも大きかった。
その勢いは2005年頃まで続いたが、ネットバブルの崩壊やライブドア事件などの影響を受けて終息を迎える。

そして現在、経済政策などの政府の取り組みの成果により、2013年頃からは「第4次ベンチャーブーム」というべき流れが生まれている。
実際、政府もベンチャー育成を重要課題にあげていることから、官民一体となったファンドなども出現した。

日本の人口が減少し、グローバル化が進む中では、現在の大企業のビジネスモデルが、数十年後の後世に通用するとは限らない。
だからこそ、これまでの日本にない価値を発揮していくベンチャー企業の重要度はますます増している。

この「第4次ベンチャーブーム」で生まれた企業の中から、未来の日本を、世界をリードする存在が生まれてくることに期待したい。

※ハイテクベンチャー(ハイテク型ベンチャー企業)
ハイテクベンチャーとは、高度な技術を利用、または応用した事業を行う中小規模の会社。

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