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業界研究

マスコミ(放送・新聞)業界

業界の現状と展望

時代ともに変化するマスコミ界の構造

「ありとあらゆる情報を大勢の人に一度に伝達する」のがマスコミュニケーション(マスコミ)の使命。新聞、放送、出版、広告業界などがこれに当たる。古くから活躍してきた業界だが、いずれもインターネットやスマートフォンといった新しいメディアの発達に大きな影響を受けている。中でも収益の多くを広告に依存している新聞、放送、出版業界は、広告出稿先がネット広告にシフトしており厳しい戦いを強いられている。

大手広告代理店の電通がリリースした「2019年 日本の広告費」によれば、2019年の日本の総広告費は、前年比6.2%増の6兆9,381億円で8年連続のプラス成長となった。インターネット広告費が前年比19.7%増の2兆1,048億円と伸長したことが寄与している。ただし、今回から、インターネット広告費に含まれる物販系ECプラットフォーム広告費1,064億円と、プロモーションメディア広告費に含まれるイベントの広告費1,803億円が加わっている。なお、前年同様の集計でも、同1.9%増の6兆6,514億円と増加している。

一方で、テレビ・新聞・雑誌・ラジオのマスコミ四媒体広告費は、全てが前年割れとなり、同3.4%減の2兆6,094億円と5年連続でマイナスになった。テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)は、同2.7%減の1兆8,612億円と3年連続、ラジオ広告費は同1.4%減の1,260億円と2年連続でマイナスとなった。
また、新聞広告費は販売部数とページ数がともに減少したこともあり、同5.0%減の4,547億円となった。
こうした流れを取り込み、いかに共存できるかが、ネット・スマホ時代に生き残る重要なカギになりそうだ。また、政府が推進する「働き方改革」ももう1つの課題として残っている。マスコミは比較的年収が高い業界といわれているが、かなりの激務になりがちであることも知られている。社員の健康に留意しつつ、働く環境が変化してくる中で、質の高い記事や放送、出版物を生み出し続けなければならないという課題にも直面している。

時代ともに変化するマスコミ界の構造

新聞業界は部数も減少する中、ネットとの共存を図る

新聞は大きく分けて一般紙専門紙がある。一般紙には全国に販売網を持つ全国紙、県や一部地域など限られた地域で発行される地方紙、複数の都道府県で発行されるブロック紙がある。専門紙は特定の分野や業界などに特化した新聞で、スポーツ新聞や株式新聞のような業界紙が有名。他にも英字紙や子供新聞も専門紙に含まれる。

一般社団法人日本新聞協会によれば、2019年の一般紙の発行部数は前年比5.3%減の3,487万7,964部、スポーツ紙は同4.7%減の293万3,284部となった。2007年までは1部を超えていた1世帯当たり部数も年々減ってきており、2019年は0.66部と前年の0.70部からさらにマイナスとなっている。何らかのメディアでニュースに接する人は多くても、新聞を読む人は減っているというのが現実だ。

紙の新聞をめぐる環境が厳しくなる中、持ち運び性や一覧性というメリットを強調しつつ、各社インターネットとの共存を計って生き残りに懸命だ。日本新聞協会の2019年4月調査では、本紙購読者向けデジタルサービスを提供しているのは21社、電子新聞および有料デジタルサービスを提供しているところは33社となった(回答83社)。

ネットを中心とした通信との融合が進む

放送開始から50年が経過。インターネットがテレビに次ぐ第2のメディアへと成長し、否応なしに新時代に突入したテレビ業界。2011年に高画質・高音質の映像と音声が楽しめるフルハイビジョンの「地上デジタル放送」へ完全移行となったばかりだが、さらに高画質な映像や高音質の音声が楽しめる4Kや8Kでの放送に移行しつつある。2018年12月からは、BSと110度CSにおいて、4K・8Kの実用放送である「新4K8K衛星放送」が始まった。

そんな状況の中、各局とも動画ポータルサイトの運営、番組で紹介した食品やグッズの通販(テレビショッピング)などに力を入れている。
また、テレビ局にとっての強みは過去の膨大なアーカイブ。人気のあった番組の数々はもちろん、放送が終わったばかりのドラマをオンデマンドで有料配信するサービスなど、ネットを中心とした通信事業との融合が進んでいる。

ラジオ業界でも広がるネット配信

ネットとの融合が進むのはラジオ業界も例外ではない。全国のラジオ放送事業者が新たに制作した音声コンテンツや、過去に放送された番組を有料で配信するサイトがオープンしている。

全国を対象に配信できるので、例えば東京に転勤してきた地方出身者が、地方のラジオ番組を聞くことができる。
radiko」では、日本のラジオ放送をインターネットで同時にサイマル配信(ライブストリーミング)する、IPサイマルラジオ(Internet Protocol simulcast radio)サービスをスタート。パソコンやスマートフォンでラジオを聴くことができる。

業界関連用語

●BPO
Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization略で、放送倫理・番組向上機構と呼ばれている。NHKと日本民間放送連盟によって組織された任意団体で、自主独立した第三者的な立場から、放送による人権侵害や青少年に有害といった、視聴者などから問題があると指摘された放送を検証する。放送番組の取材・制作のあり方や番組内容に関する諸問題について審議を行い、必要に応じて見解や勧告を出す。

記者クラブ
政府や地方自治体、大企業や業界団体などの継続取材を目的として、マスコミ記者たちで構成される親睦団体。取材活動の拠点となるため、リリースや共同会見など記者クラブを通じて世の中にそのまま伝わる情報は多い。一部でなれあいや画一的な報道に終始しているという批判の声もある。

なお、日本記者クラブは、外国メディアも含む新聞・通信・放送の報道機関による非営利の独立組織。来日する海外の大統領や首相、専門家、研究者らをゲストに招き記者会見を開く。記者クラブとは沿革や性格が異なる組織。

通信
新聞社や放送局などのマスコミ、あるいは民間企業の求めに応じてニュースを提供する会社で、独自に海外支局などを持てない地方紙では通信社提供のニュースに頼る割合が大きい。
営利を目的とした会社法人、複数のマスコミの共同出資による組合法人、半国営企業的なものの3つに大別される。国内では共同通信社時事通信社、米国のAPUPI、フランスのAFP、中国の新華社などが有名。

●視聴率
テレビ番組やCMがどれくらいの世帯や人々に見られているかを示す指標。広告効果を測る重要な指標になるだけでなく、番組制作や編成にも役立っている。
視聴率調査には、家庭内にPMという機器を設置し視聴開始時と終了時にボタンを押すことで視聴データを測定するPM(ピープルメーター)システム、ボタンを押すことなく1日分の視聴データが蓄積され集計されるオンラインメーターシステムなどの方法がある。

どんな仕事があるの?

【放送業界の主な仕事】
●編成
番組企画や放送中に入るCMの本数を決定したり、放送のタイムテーブルなどを作成したりする。

●ディレクター
いわば「現場監督」。番組の構成や演出、スケジュールなど全てを指揮、監督する。

●プロデューサー
番組を制作する際の全体の責任者。予算を決定し、スタッフを管理するなど、管理職的な面を持つ。

●アシスタントディレクター
文字通り、ディレクターの助手を務める。スタッフ・出演者の弁当の手配や出演者の世話など雑用を一手に引き受ける。

●技術
カメラマン照明編集など、番組製作現場のスペシャリスト。それぞれの専門知識や経験、センスなどが問われる。

営業
民放の収入源であるCMを確保するため、スポンサーとなる企業に番組やCM枠をセールスする

アナウンサー
ニュースキャスター、番組の司会スポーツの実況中継などに携わる。一見華やかだがほとんどの場合はあくまでも放送局の社員であるため、デスクワークも多い。

【新聞業界の主な仕事】
記者
政治・事件や社会現象、街で話題になっていることなどを取材し、記事を執筆する。日夜を問わないハードな職場だけに、機動力と体力が求められる。

●校正・校閲
記事に誤字・脱字がないかをチェックする「校正」と、事実関係の誤り、表現の適切さなどのチェックを行う「校閲」がある。

●技術
新聞制作のためのコンピュータシステムの開発保守・管理を行う。紙面に使う原稿や写真などのデータを印刷工場へ送る。

営業
広告代理店と連携し、収益源となる広告を募集。自社が発行する新聞・雑誌に掲載する。

●販売
販売政策を企画・立案し、実行する。また、全国の販売店と連携し、購読者獲得を目指す。

●事業
展覧会や博覧会、舞台公演など、文化事業やイベントを企画・運営する。

※原稿作成期間は2019年12月28日から2020年2月28日です。

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