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百貨店・スーパー・コンビニ業界

業界の現状と展望

業態は違うがそれぞれに厳しい競争の渦中にある

業態は違うがそれぞれに厳しい競争の渦中にある

高級イメージや名物催事、あるいは「デパ地下」という言葉がすっかり定着した「百貨店」、食料品を中心に日常の買い物に不可欠な存在である「スーパーマーケット」、さまざまな商品の買い物や、ATM、宅配便、コピーやFAXといったサービスがワンストップで済む利便性が受けている「コンビニエンスストア」。
消費者に身近な存在であるこれらの店舗だが、それぞれに厳しい競争を繰り広げており、店舗数を絞る、再編が進むなど激動の時代にある。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、戦略を練る百貨店

売上高はピーク時の6割程度といわれる百貨店業界。少子高齢化による消費後退や、拡大するネット通販とも対峙しなければならず、顧客の来店を促す魅力的な店舗運営を各社が模索している。また、訪日外国人の人気商品も、化粧品や食料品、雑貨類など単価の低いものに流れており、ドラッグストアなどの専門店との競争も厳しくなっている。
そのため、自社で売場のありようを企画する「自主編集売場」を拡充させる百貨店もあれば、専門ショップにスペースを貸し出すことで収益を得る、脱百貨店化に軸足を置いている百貨店もある。

そうした中で起こった、新型コロナウイルス感染症の拡大。訪日外国人客の需要が減少するだけでなく、百貨店自体も休業を余儀なくされ、国内の富裕層需要も減少。百貨店業界にはかつてない向かい風となった。日本百貨店協会によると、2020年の全国百貨店の売上高は前年比25.7%減(店舗数調整後、以下同)の4兆2,204億円。全国10都市の売上は同28.1%減、10都市以外の売上も同19.4%減といずれも大きく前年を下回った。中でも、札幌(同33.0%減)と大阪(同31.6%減)は、3割を超えるマイナスを記録。その影響のすさまじさがわかる。
2020年は地方百貨店を中心に閉店が相次いだが、業界全体の縮小傾向は2021年も続く可能性がある。
厳しい環境の中、百貨店業界でも新たな取組みを開始。動画やチャットを使ったオンラインでの接客もスタートし、デジタル化への対応を加速させている。他方、タクシー会社と協同して、生鮮食料品の買物代行サービスを始めた百貨店もある。デジタル化の進行による効率化と同時に、専門知識と丁寧な接客が特徴の百貨店ならではの工夫と大胆な施策は、今後のカギになりそうだ。

季節商品を中心に衣料品は苦戦も、巣ごもり消費で食料品は好調

日本チェーンストア協会(56社10,975店舗)によれば、2020年の総販売額は前年比0.9%増(店舗調整後、以下同)の12兆7,597億円と、5年ぶりのプラスとなった。8兆7,466億円で総販売額の68.5%を占める食料品が、同4.7%増となったことが主要因だ。外出自粛に伴い、学校は休校、企業はテレワークを推進。飲食店は営業休止や時短営業となり、内食化需要が高まったことが寄与した。2兆5,292億円で19.8%を占める住関連商品も同1.1%減と大きな落ち込みはなく、6月以降は巣ごもり需要もあり堅調に推移している。全体の5.9%を占める衣料品は、外出自粛で季節商品が動かず、同16.9%減の7,500億円と大きく落ち込んだ。

チェーンストア業界では、拡大しているネット通販や専門店との競争も激化している。そのため、仕入れ・物流などの効率化やリーズナブルなPB商品の拡充、大手メーカーとの共同開発の強化、ネットスーパー体制への加速など、収益力アップを目指してさまざまな取り組みが行われている。さらには業界の垣根を越えたM&Aや業界再編といった可能性も否定できない。

ネットスーパーについては、新型コロナウイルス感染症の観点からも、実店舗での購入を敬遠する人も多く、大手を中心にECを強化していく流れが加速しそうだ。

新型コロナウイルス感染症の影響で、コンビニは売上減少も客単価は増

買い物以外にも日常のあらゆる用事を済ますことができるコンビニ。ATMはもちろん、オンラインで注文した商品の受け取りやクリーニングの受け付け、商品の宅配などサービス内容は広がるばかりだ。

日本フランチャイズチェーン協会がコンビニエンスストア大手7社を対象に行った調査によると、コンビニの2020年年間売上高は全店(既存店+新規店)ベースで前年比4.5%減の10兆6,608億円。年間来店客数が全店ベースで159億173万人の同10.2%減となったものの、年間平均客単価が全店ベースで同6.4%増の670.4円と増加したことで客数減をカバーした。これは、新型コロナウイルス感染症拡大で外出を自粛する中、買物回数は減少する一方で、巣ごもり需要で生鮮食品や総菜、冷凍食品、酒類などをまとめ買いしたことによる。加えて、GoToキャンペーンによるクーポン利用の効果もあったと考えられる。

なお、2020年12月末現在のコンビニの店舗数は5万5,924店となっている。

コンビニ各社の課題

生活インフラとして地域に根ざし順調に売上を伸ばしてきたコンビニ業界だが、すでに飽和状態という声もある。同業他社との競争に加えて、近年はドラッグストアなどが食品販売にも注力しており、取り巻く環境は厳しさを増している。そのため、来店客数の増加を見込んでコインランドリーやフィットネス事業との併設店を展開するなど、商品販売以外のサービス強化も始めている。

ただし、コンビニでの業務はすでに多岐にわたっている。人材不足や人件費増といった課題に加えて、新規事業やサービスの拡充は従業員にかかる負担も増加する。そのため、業務の効率化は避けて通れない。従業員が接客せずに無人で決済できる店舗展開や無人レジの導入、陳列棚を工夫するなどの対応を進めている。
と同時に、人手不足はコンビニの24時間営業体制にも影響している。24時間営業については、各社の取り組みは異なっており、加盟店の申し出や判断で時短が可能なコンビニもあれば、本部と加盟店の双方の合意が必要としているコンビニもある。

新型コロナウイルス感染症の拡大による巣ごもり消費がプラスに作用した小売店がある一方で、コンビニにとってはマイナス面の方も多かった。会社によって差異はあるが、コンビニは都市圏やイベント会場、観光地といった人が集まりやすい場所に多い。テレワークの実施やイベントの中止、外出自粛などにより、これまでコンビニ消費を支えていた利用者が減少したことが影響したと考えられる。

コンビニ各社は、先にあげた課題に加えて、巣ごもり需要に対応する商品ラインナップの拡充や、配達対応店舗の拡大など、コロナ禍における新業態への対応も求められている。さらに、伊藤忠商事はファミリーマートの上場を廃止、伊藤忠商事が持つ経営資源をスピーディーに提供できるよう体制を整え、効率的な経営を行うことを目指している。
一方、セブン&アイHDは、アメリカのコンビニ大手「スピードウェイ」を210億ドルで買収することを発表。各社はそれぞれに、コロナ対応と同時に、将来を見越した戦略を着々と遂行している。

業界関連⽤語

コンシェルジュ

コンシェルジュというと、レストランや観光施設の予約などホテルで宿泊客のリクエストに対応する接客担当者というイメージが強いが、百貨店やスーパーなどでもこうしたコンシェルジュによるサービスを導入するところが増えている。豊富な経験と専門知識を持ったコンシェルジュを売場に配置することで、パーソナルできめ細やかなサービスやサポートを提供している。

シャワー効果と噴水効果

百貨店などで売上に効果的とされる販売戦略。「シャワー効果」は、最上階にレストラン街を充実させたり、上階にバーゲンや物産展などの人気の催物会場を配置したりするなどして、上から下への人の流れを作り、途中の階で何かを購入してもらうという戦略。
一方、「噴水効果」は、人気の高い食品売場や集客力の高いテナントなどを下の階に配置することで、下から上への人の流れを作る戦略。デパ地下といわれて人気の高い食品売場が1階や地下にあるのは、こうした理由がある。

食品流通の3分の1ルール

食品流通業界の商慣習で、食品の製造日から賞味期限までを3分割し、「納入期限は、製造日から3分の1の時点まで」「販売期限は、賞味期限の3分の2の時点まで」を限度とするもの。賞味期限が6カ月の場合、3分の1の2カ月目が販売者への納品期限、3分の2の4カ月目が消費者への販売期限となる。膨大な食品ロスやコスト増加の原因といわれており緩和の動きがある。
一方で、賞味期限にこだわりすぎる消費者意識の変化も求められる。

低糖質商品とブランパン

カロリーのコントロールではなく、糖質を多く含む食べ物をコントロールすることで、摂取後の血糖値の上昇やインスリンの分泌を抑えて、太りにくい体をつくろうとする低糖質ダイエットがブームになっている。そのためコンビニも、糖質を抑えた商品の展開に注力している。中でもローソンのブランパンは、低糖質ダイエットには欠かせない人気商品となっている。

どんな仕事があるの︖

百貨店業界の主な仕事

・経営企画
予算編成や業務管理、店舗開発、情報システム構築、人事管理など、会社全体の経営方針の策定や経営改善策の企画立案・推進を行う。

・バイヤー
世の中のトレンドを予測し、商品を仕入れる。月や週単位での売上計画策定、期間限定ショップの誘致、折り込み広告の商品選定なども行う。仕入れではその店舗がある地域の土地柄や顧客の層を分析し、それに合った商品をそろえることが重要。

・セールスマネージャー
売り場全体の責任者。販売員をまとめ、企画やバイヤーなどの関連部署と連携を取りながら売上増を図る。

・販売
ディスプレーなどの売り場作り、顧客が商品を購入する際のアドバイスを行う。顧客のニーズをくみ上げて売上につなげるのも大切な仕事。担当売場で直接顧客と接し、顧客の望む商品やサービスを提供する。

コンビニ業界の主な仕事

・ストアインストラクター
店舗に合った品ぞろえ、製造数の改善、衛生管理など、店長をはじめ、新入社員、パート、アルバイトを指導する。

・マーチャンダイザー
オリジナル商品を開発する。商品評価、テスト販売、販売戦略についての情報発信、販売効果の検証など、開発から販売までの流れを一貫して受け持つ。

・情報システム
データベース・ネットワーク構築、POSなど、チェーンストア運営のために必要不可欠な情報システムを管理・運営する。

・スーパーバイザー
直営店の店長やスタッフ、およびフランチャイズオーナーに対し経営指導を行う。販売データ、顧客データを分析し、売上増のための対策を練る。本部と加盟店とのパイプ役。

・店舗開発
立地選定のため通行量や人口密度、顧客の層などを調査する。加盟店のオーナー候補者に店舗運営を説明し、新規出店契約を結ぶ。出店したい土地・建物の所有者や経営者に直接アプローチするのも仕事。

百貨店・スーパー・コンビニ業界の企業情報

※原稿作成期間は2020年12⽉25⽇〜2021年2⽉28⽇です。

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