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ホテル・旅行業界

業界の現状と展望

急増する宿泊特化型ホテル

急増する宿泊特化型ホテル

ホテルは、宿泊はもちろんレストランやバーなどでの飲食、結婚式や宴会の開催など、さまざまなサービスを提供し、それによって収益を上げている。最近はホテルメイドのパンやお菓子、アメニティーグッズなども人気が高い。こうしたフルサービスホテルに対し、宴会場を持たず宿泊に特化したサービスを提供するいわゆるビジネスホテルの新規開業が、インバウンド需要の拡大にともなって増加した。

ホテル業界は、ホテルの運営サービスと、土地・建物の開発投資という2つの側面がある。ホテル施設を自ら所有しサービスを提供する帝国ホテルのようなケースは、いまでは少数派といえる。
近年のホテル施設は、投資法人や不動産会社、鉄道会社などが所有し、ホテルの運営を専門業者が行うケースが増えている。日本に進出してくる海外ブランドホテルなどではこういったケースが多い。

訪日外国人増加で活況のホテル業界は、新型コロナウイルス感染症により新たな局面に

観光庁の「宿泊旅行統計調査」によれば、2020年1月1日時点で把握した宿泊業を営むホテル、旅館、簡易宿所、会社・団体などの宿泊施設の数は5万8,950施設。ただし従業者数が100人以上の大型の宿泊施設は1,091施設で全体の1.9%にすぎず、10人未満の宿泊施設が全体の77.1%を占めている。
中国や東南アジアからの訪日が増加したこともありこれまでのホテル業界は活況、稼働率も高く、全体で62.7%。宿泊施設タイプ別では、シティーホテルが79.5%と最も高く、次いでビジネスホテルが75.8%、リゾートホテルが58.5%となっていた。都心では東京五輪を見据えて外資系ホテルの新規参入も相次ぎ、国内の老舗ホテルも全面改装を行うなど差別化を図っていた。さらに民泊も増加傾向にあり、宿泊施設間の競争に拍車がかかっていた。

しかし、状況は一変。
2019年夏以降は韓国からの観光客が激減、加えて2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大で、ホテル業界に逆風が吹き荒れることになった。各国は次々と入国制限を行い、訪日外国人観光客のホテル需要は事実上消滅した。国内においても外出自粛が恒常的となり、国内旅行市場が大幅に縮小。観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、80%近くあったシティーホテルやビジネスホテルの稼働率は、2020年5月にそれぞれ20.3%、8.5%に急落した。その後、経済活動が徐々に復活してきたことや、GoToトラベルキャンペーンなどの実施もあって、11月には稼働率はそれぞれ54.8%、50.6%に上昇した(全体では46.1%)。しかし年末年始を前にGoToトラベルキャンペーンは一時停止され、12月の稼働率は38.5%に下落した。

コロナ禍における収益確保を目指して、今まで訪日外国人に注力してきたホテル業界は、国内観光旅行客やマイクロツーリズム客の獲得に注力するとともに、コロナ後を見越した経営戦略が求められる。
また、ビジネスホテルや民泊を中心にテレワーク需要の取り込みを意識した、長期滞在プランを提供する宿泊施設も増えている。そうした中、老舗の高級ホテルとして知られる帝国ホテルは、施設の一部を改装。サービスアパートメントとして、月額36万円でホテル滞在できるプランを発表し、話題となった。法人のBCP(事業継続計画)対策や、都心での仕事場、富裕層のセカンドハウスとしての需要を見込んでいる。

旅行予約はインターネットが主流に

旅行予約はインターネットが主流に

旅行業界は、交通、宿泊など旅行に関する商品を仲介あるいは企画して販売する。消費者のニーズやトレンドを読み取り、航空座席やホテル、現地での観光などを組み立てて、パッケージツアーを企画する。
そのツアーを仕入れて消費者に販売するのが旅行代理店だ。旅行会社の多くは旅行代理店の機能も持っている。
鉄道会社や航空会社、バス会社などが代理店業を行っているケースもある。

最近はインターネットでの旅行予約が主流になりつつあり、老舗旅行会社も小規模店舗を減らし、その分ネット販売や大規模店での販売に力を注ぐなどして、収益率アップを図っている。
旅行市場自体は拡大傾向にあり、近年はパッケージツアーでなく、個人手配で旅行する人も増えている。老舗旅行会社とネット旅行会社だけでなく、ネット旅行会社間の競争も厳しい。

訪日外国人客の穴を埋めるべく、即時の対応が求められる旅行業界

日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2020年の訪日外国人数は前年比87.1%減の411万5,900人となり、22年ぶりの低水準を記録した。新型コロナウイルス感染症が世界中で拡大し、各国が渡航制限を実施。1月こそ前年同月比で1.1%減だったものの、2月は同58.3%減、3月には同93.0%減となり、その後は4ヶ月連続で99.9%減となった。この間の訪日外国人客数は毎月数千人程度で、300万人近かった前年と比べれば、その影響の大きさがうかがい知れる。その後、入国制限を徐々に緩和したため、訪日外国人客数は増えつつあるが、前年同月比で90%以上のマイナスであることは変わらない。
旅行業界にとっては、ほぼ消滅してしまった海外からのインバウンドや海外へのアウトバウンド市場に加えて、国内での外出自粛要請もあり、国内旅行市場も逆風に見舞われた。特に、店舗での対面販売を主流とする旅行会社への影響は甚大で、各社は対応に追われている。
グループ会社や海外拠点、役員報酬、人員などの削減に加えて、デジタル化による抜本的な構造改革に乗り出したり、人員や店舗の削減など事業モデルの転換を急ぐ企業も出てきている。

業界関連⽤語

FIT:Foreign Independent Tour

団体旅行パッケージ旅行ではなく、個人で海外旅行に行くこと。個人手配旅行とも言われる。海外観光旅行が自由化された1964年からしばらくは、団体旅行やパッケージ旅行で海外に行くことがほとんどだったが、海外旅行経験者が増えるにつれて旅行目的も多様化。格安海外航空券の登場もあり、一般的になってきた。近年は、ネットで航空券やホテル、レストラン、送迎などが手軽に予約できることもあり、FITで旅行する人が増えている。

マイクロツーリズム

自宅から1時間程度を目安とする、同一都道府県や近隣の都道府県など近場への旅行のこと。地元の魅力をこれまであまり興味を示さなかった人たちに知ってもらえる、感染が拡大している地域を避けながら旅行ができるなどの理由から、コロナ禍において新しい旅行の形として注目されている。

オーベルジュ

フランスで発祥した、郊外や地方にある宿泊施設を備えたレストランを指す。
都会の喧騒から離れ、その土地で生産された野菜、肉、魚介類などの新鮮な食材を使った料理が味わえることが特長。ホテルとの違いは、レストラン主体で営業している点が挙げられる。

Airbnb(エアビーアンドビー)

Airbnb(エアビーアンドビー)は宿泊施設を貸し出す人向けのWEBサイトを運営している。
外国人訪日客の増加で宿泊施設が不足していることや、空き部屋を活用し収入を得られるとあって、日本でも登録物件数は増加の一途にある。

ただし、分譲マンションでは、見知らぬ旅行客が出入りすることで所有者同士が対立したり、賃貸物件をAirbnbに登録したりするトラブルも発生している。

ハラール認証

インドネシアやマレーシアなどはイスラム教徒が多く、来日にはイスラム教の戒律に対応した食事やサービスの提供が必要で、その代表が、「ハラール」。

旅行客の積極的受入には、食事やサービスなどがイスラム法の基準に合致している証明であるハラール(イスラム法において合法なもののこと)認証が必要。ハラール認証には、禁止されている食材が含まれていないかだけでなく、食材の保存方法や、加工、調理の過程が正規の手順に従ったものであるかどうかも重要となる。

どんな仕事があるの︖

ホテル業界の主な仕事

・ホテルクローク
宿泊予約の受付、チェックインからチェックアウトまでに生じるさまざまな手続きやサービスを行う。ホテルの利用客への各種案内も担当。

・宿泊予約
電話やメールなどでの宿泊予約に対応。空室状況や料金を確認し、受け付ける。

・コンシェルジュ
レストランの案内から観劇・映画の予約まで、お客さまの質問やリクエストすべてに答える案内役。さまざまな情報に精通することが求められる。

・バンケット
日本のホテルにおいて大きな売上を占める「宴会」を仕切る。

・企画
季節ごとのイベントやディナーショー、ブライダルプランなどのイベントを企画し、集客を図る。

旅行業界の主な仕事

・カウンターセールス
来店した顧客にパッケージツアーや航空券などを営業・販売する。顧客のニーズを読み取り、プランを提案するなどコンサルティング能力が求められる。

・団体セールス
企業や学校、各種団体など大口の顧客を訪れ、旅行商品を営業する。顧客の要望に合わせて企画を立て、ツアーの場合は添乗も行うなど、その旅行商品に関するすべての業務に携わる。

・企画
旅行商品となるパッケージツアーなどを企画する。売れる企画を立てるためには、アイデアはもとよりマーケティング能力も必要。

・仕入れ
航空券、鉄道など交通機関の座席やホテルの部屋を仕入れる。仕入れた座席・ホテルから企画が立てられることもあり、企画セクションとの連携が大切。

・手配
現地での観光バスや食事、ガイドなどを手配する。旅行には日程変更やキャンセルがつきものなので、状況に合わせて臨機応変に対応しなければならない。

・ツアーコンダクター
パッケージツアーに同行し、旅行者の引率やスケジュール管理、時にはガイドも行う。最近は専門の派遣会社に登録して仕事をするケースも増えている。また、外国語を話せる方が有利なことも多い。海外添乗の場合、資格が必要。

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※原稿作成期間は2020年12⽉25⽇〜2021年2⽉28⽇です。

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