先輩たちのキャリアプラン

作業療法士

箭川 えりかさん
職歴:15年

8年経ってようやく、
積み重ねてきたものが見えた。

現在の仕事内容

今の病院は脳卒中医療の急性期、回復期、訪問期(通所・外来)を通じて患者さんのケアをしていますが、私はその中でも回復期の専従として勤務しています。危険な段階を脱した入院患者さんたちの、自宅退院や仕事復帰を目的とするリハビリをサポートするのが役割です。

ご家族をはじめ医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、栄養士、ソーシャルワーカーなどとチームを組み、患者さんごとに異なる状態に寄り添い、最終的な目標に向かって協力しています。現在は育児中のため、勤務業態は時短です。

その道に進もうと思った理由

小学校のころから福祉関係に興味がありました。作業療法士という仕事を知ったのは高校生のとき。理学療法士は物理的手段を用いて運動機能の回復を図りますが、作業療法士は手工芸や園芸、レクリエーションなど集団での作業を通して身体と心のリハビリテーションを行います。人の役に立ち、さらに暮らしにかかわるさまざまな経験ができるなんて楽しそうな仕事だなと考えて、大学は作業療法科に進みました。

でもイメージだけが先行していたために、実習で実際の患者さんに向き合ったときに何もできない自分にがく然とすることになります。

キャリアパスのポイント

  • 大学生
    作業療法科のある大学へ。学業はわりと得意なのでスムーズにこなすが、作業療法士が何なのか実際にはわからないまま実習に突入。8週間の実習で大学病院を経験したとき、受け持った患者さんの麻痺状態や意識障害といった情報に圧倒され、目の前にいる本人と向き合ってコミュニケーションを取らずに終わってしまい、挫折を感じる。
  • 大学病院に入職
    大きな挫折をした経験を払拭したいと、実習で行った大学病院に入職。勉強すればするほど頭は知識で埋まっていくが、作業療法士とは何なのか、自分の中で明確にならないまま時が過ぎる。急性期への対応が中心の病院だったので、回復期になれば患者さんは転院してしまう。最後まで寄り添うことができず、外来と急性期というスピード勝負の現場の中で、自分の仕事の結果が見えないことを残念に感じていた。5年目くらいから転職を考え始める。
  • イムス横浜狩場脳神経外科病院に転職
    8年目、回復期のある病院へ転職活動をするも「子育て中」であることを理由に断られる。子育てしながら回復期に携わるのは難しいのかと諦めかけていたとき、上司の紹介でイムス横浜狩場脳神経外科病院に応募。電話で問い合わせると、その場で併設の託児所を使えるように手配してくれた。見学では技師長の人柄に感銘を受け、「この人の下で働きたい」と転職。
現在
希望した回復期の専従として勤務中。転職してようやくそれまでの時間を振り返ることができた。8年間急性期にかかわったからこそ得られた視点など、自分の成長に気づくことができた。今では、勤務中の病院であまり取り入れられていなかった装具の導入など、前職の経験を生かした提案をしている。同僚には若い世代が多く、活気があってコミュニケーションを取りやすい職場環境に恵まれている。

これからのキャリアプラン

回復期の患者さんのうち、7割は自宅に戻られます。残りの3割はどこかでつまずいているのです。ご本人が次の展開を受け入れられなかったり、ご家族との調整がうまくいかなかったり…。そういう1人ひとりが抱える問題点を、多職種間の連携でリハビリチームが一丸となって解決し、早期退院、自宅退院率を向上させたい。

また、作業療法士として治療技術の幅を広げることも課題です。新しい技術やアプローチの勉強会を開き、後輩の育成にも携わっていきます。私は今ちょうど中間職の立ち位置にいますが、ここより上でも下でも見えないことがあると思うので、橋渡し役としてうまく機能していきたいですね。自宅に戻った後もサポートサービスにつなげ、患者さんのフォローをしっかり行いたいと思います。

後輩へのメッセージ

学生のころ、子育てをしながら働くなんて想像もつきませんでしたし、作業療法士になれるとも思っていませんでした。でも気づけば12年間も従事しています。周囲を見ても、社会人を経てから改めて勉強し直して作業療法士になる人もいて、それぞれの背景も多彩です。これまでどんなキャリアがあって、今後どんなライフプランを持っていても、キャリアアップをきちんと目指せる職業だといえるでしょう。

ふとしたときに患者さんの変化に気づくととても嬉しいものです。靴下が履けたとか、何かを持ち上げられたとか、昨日までできなかったことが着実にできるようになる変化を目の当たりにすると、人間ってすごいなあと感動します。ただし、リハビリの時間は限られているので、こういう成果は医療チームのほかのメンバーの存在なしには実現できません。やはり、チームワークが非常に大切なのです。

学生時代にはアルバイトでもボランティアでも経験すると、チームで動くことの意味を学べるのではないかと思います。私も、時間のある学生時代にもっと医療と関係がない仕事でも体験すればよかった。例えば、リハビリの一環で将棋を指すようなこともありますし、いろいろな患者さんといろいろなコミュニケーションを取るので、どんな経験も話のタネになります。ぜひ、見聞を広げて、引き出しをたくさんつくっておいてください。作業療法士とは患者さんの生活に寄り添う仕事ですから、どんな経験も無駄にはなりません。

プロフィール

作業療法士職歴:15年

箭川 えりかさん

医療法人社団 明芳会 イムス横浜狩場脳神経外科病
リハビリテーション科