施設形態を知る

介護職が活躍する施設はさまざまです。
ここでそれぞれの特徴を理解し、就職先選びに役立てましょう。

特別養護老人ホーム(特養・老人福祉施設)

特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な高齢者が介護サービスを受けながら生活する施設です。日常生活に常時介護が必要で要介護認定(原則として3~5)を受けており、かつ自宅では適切な介護を受けることが困難な人が対象となります。

ケアプランに基づいて入浴や食事、排泄などの日常生活上の介助、機能訓練、健康管理、レクリエーションなどを提供しています。医療ケアは限定的な範囲にとどまり、介護ケアに重点が置かれています。

個室、多床室、ユニット型(個室+共同スペース)などのタイプがありますが、近年は特にユニット型の施設が増えています。24時間体制で介護サービスを受けられ、長期入所が可能なため、多くは重度要介護者が余生を過ごす場となっています。公的施設のため介護保険の適用を受けて費用が抑えられることに加え、サービスが充実しているため人気が高く、キャパシティーの問題から入居待ちが解消されない状況が続いています。

働くうえでの
ポイント

特別養護老人ホームには要介護度の高い入居者が多いですが、医療従事者が常駐しているため、持てる知識や技術を活かして介護に専念することができます。

入居者の終の棲家ともなりえる生活の場であり、長い期間にわたって関わりを続けていくことになります。大規模な特別養護老人ホームにおいても、ルーティンワークに終始するのではなく、一人ひとりの話に耳を傾け、サービスや介護技術の向上を心がける姿勢が望まれます。

デイサービス

デイサービス(通所介護)は、食事や入浴、排泄などの日常生活上の介助、機能訓練や介護予防の要素を取り入れたアクティビティーなどを提供する日帰りの介護サービスです。レクリエーションや趣味を楽しみながら日常生活動作(ADL)や意欲を高める、他者と接することで引きこもりの予防や孤独感の解消を図る、介護する家族の負担を軽減するといった目的で利用されています。

利用者は、デイサービスセンターなどの施設において朝から夕方までを過ごします。来所・帰宅するときは、施設の送迎車の利用が可能です。事業者によっては、宿泊サービスを提供している場合もあります(ただし、介護保険の適用外)。

1カ月の平均利用者数が300人以下の小規模施設から、900人以上の大規模施設まで規模はさまざまで、それに応じて人員配置基準や利用者の自己負担額が異なります。

働くうえでの
ポイント

特に介護の資格がなくても従事可能ですが、多職種(看護師、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師など)との連携が不可欠なので、調整能力やコミュニケーション能力が求められるでしょう。

また、レクリエーションやイベントを開催する機会が多いため、企画力や指導力とともにムードメーカーとしての明るさが望まれます。そうしたこともあってか、スポーツインストラクターや美容師などから転身したスタッフもおり、接客業やサービス業など他業種での経験を活かせる場面が多い職場だといえます。

グループホーム

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症高齢者の受け入れに特化した地域密着型の介護福祉施設です。対象は認知症と診断され、要支援2または要介護1~5の認定を受けた高齢者で、1ユニット5~9人の少人数で互いに助け合いながら共同生活を営みます。

入居者の居室は基本的に個室で、1ユニットごとに居間、食堂、台所、浴室、洗面所、トイレなどが設けられています。1施設に入ることができるのは2ユニットまでとなっています。認知症高齢者の介護施設への入所を検討する際に、最初に候補に挙がることが多い施設です。

入居者は、それぞれの能力に応じて料理や掃除などの役割を担い、介護スタッフのサポートの下、家庭に近い環境で共同生活を送りながら認知機能の維持・改善を目指します。スタッフは専門的な認知症アセスメントにより利用者の認知機能の状態を確認し、必要に応じて入浴や食事、排泄などをサポートします。医師や看護師の常駐は必須とはされておらず、原則として医療は提供されません。

働くうえでの
ポイント

できるだけ家庭に近い環境で、入居者が住み慣れた地域社会に溶け込んで生活することができるよう、認知症に関する正確な知識や介護技術が求められます。

音楽や園芸、美容などの、さまざまな知識や経験を活かすことも可能です。大規模施設に比べて利用者1人ひとりとコミュニケーションの時間を持ちやすいため、じっくりと認知症高齢者に向き合う介護を目指す人には最適な環境だといえます。

有料老人ホーム

有料老人ホームは、日常生活上のさまざまなサービスを提供する高齢者居住施設で、主に民間企業によって運営されています。介護付、住宅型、健康型という大きく3つのタイプに分かれ、それぞれで入居条件や提供されるサービスの内容が異なります。

介護付は、介護保険の特定施設入居者生活介護の対象で、施設に常駐するスタッフによって介護サービスが提供されます。

住宅型は、介護の要・不要にかかわらず入居可能ですが、介護サービスは提供されません。介護サービスが必要であれば、訪問介護など外部のサービスを利用します。

健康型は、自立した高齢者のみが対象で、生活を楽しむための設備やサービスが充実しています。原則として、介護が必要になった時点で退去となります。

食事、家事支援、健康管理、生活支援、各種のアクティビティー、外部医療機関と連携した医療などは、どのタイプでも共通して提供されます。

働くうえでの
ポイント

ホームのタイプによって設備や提供するサービスが大きく異なるため、スタッフとして働く場合は入職前に詳細を確認する必要があります。また、医療従事者を含む多職種との連携を求められることが多いので、調整能力が必要になるでしょう。

入居時一時金や月額利用料などの費用は総じて高額であり、それだけ高いホスピタリティーが求められます。日々をアクティブに暮らしたい高齢者が多いので、誕生日会、お花見、運動会、小旅行、コンサートなどのレクリエーション企画・開催の能力が活かせます。

ショートステイ

ショートステイは、数日~数週間程度の短期間、利用者が日常生活上の介助や機能訓練などを受けながら滞在できる介護専門の宿泊サービスです。社会福祉施設、老人保健施設、医療機関などに併設されている併設型と、主に民間企業が運営する単独型という2つのタイプがあります。あくまで短期利用が前提で、連続利用は最長30日までに制限されています(超過した部分は介護保険の適用外)。

ショートステイは、たとえば自宅で介護する家族が体調不良や冠婚葬祭などにより介護が困難になった場合に利用者を受け入れ、介護負担の軽減をもたらします。また、家族が一時的に介護から離れてリフレッシュするレスパイトケアとしても活用されています。

具体的なサービス内容は事業者によって異なりますが、食事や入浴、排泄などの日常生活上の介助、機能訓練、健康チェック、レクリエーション、集団体操、リハビリテーション、口腔ケア、見守りなどを含むことが多いようです。

働くうえでの
ポイント

ショートステイでは、日常生活の場から離れて施設に宿泊するため、利用者が不安を覚えるケースも見られます。利用者が安心して快適に施設での生活を送るためには、それを支えるスタッフの介護に関する確かな知識や技術が基盤になるでしょう。

また、利用者の表情やちょっとしたやりとりの中から、本当の要望や気持ちをくみ取れるような細やかな心遣いが望まれます。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、都道府県単位で認可・登録された賃貸住宅で、主に民間企業によって運営されています。対象は自立または軽度の要介護状態の60歳以上で、介護が必要になっても住み慣れた地域で安心して暮らすことができるようバリアフリー対応の住宅設計となっており、日常生活を支援するサービスも提供することが特徴です。

具体的には、常駐の生活相談員による相談サービス、施設職員による定期訪問での見守りや安否確認サービスが基本とされ、急病などの緊急時対応、掃除や送迎などの生活支援、食事などのサービスもオプションで利用することができます。

入居者に介護が必要になった場合は、訪問介護など外部のサービスを利用します。ただし、特定施設入居者生活介護に指定されている場合は、食事や入浴、排泄などの日常生活上の介助、機能訓練などが介護保険の下で利用可能です。

入居には通常は敷金と月額費用が必要ですが、総じて介護付き有料老人ホームよりも安価で自由度が高いため人気が上昇しており、棟数も増加しています。また、特別養護老人ホームの待機中に家族とともに利用するケースも多く見られます。

働くうえでの
ポイント

サービス付き高齢者向け住宅は、入居条件が施設によって異なり、対象者やサービスの内容も多種多様です。夜間常駐や食事サービスの有無など、働き方に関わるポイントは事前に確認しておきましょう。

自由度の高さを魅力に感じて選択する利用者が多いため、プライバシーを尊重し、個々の生活に合わせたサービスが提供できるよう、きめ細やかな心遣いが求められます。

老人保健施設

老人保健施設は、在宅復帰を目指し、医療管理下での介護や回復期リハビリテーションを提供する施設です。要介護1~5の認定を受けており、状態が安定している(入院治療の必要がない)高齢者が対象となります。老人保健施設は、入所施設であると同時に、通所リハビリテーション施設、訪問リハビリテーション提供施設としての機能を併せ持っていることがあります。

入所施設としては個室、多床室、ユニット型(個室+共同スペース)というタイプがあり、食事や入浴、排泄などの日常生活上の介助、ケアプランに基づく医療ケア、機能訓練などを提供します。そのため、医師や看護師のほか、リハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が常勤していることも特徴の1つです。

あくまで「在宅復帰」を目的とする施設であるため、特別養護老人ホームのような長期入所は前提としておらず、3カ月ごとの入所継続判定会議により退所の可否を判断します。

働くうえでの
ポイント

数字だけがすべてではありませんが、老人保健施設においては「在宅復帰率」が施設の信頼性やケアの充実度を見るときの指標の1つとなります。

スタッフとしても、利用者が社会復帰して自分らしい暮らしを送っていけるよう、自立をサポートする意識的な関わりが求められるでしょう。そのためには多職種との緊密な連携が重要であり、調整能力やコミュニケーション能力、チームの一員としての高い意識を持つことが望まれます。

小規模多機能施設

小規模多機能施設は、通所(デイサービス)、宿泊(ショートステイ)、訪問(訪問介護などのホームヘルプサービス)の3つを複合的に提供する地域密着型サービスです。

入院や入所をせず、できるだけ住み慣れた自宅で自立した生活を送ることができるよう、利用者の状態に応じて柔軟にサービスを組み換えることが可能です。大規模施設では実現が難しい家庭的な雰囲気で、顔なじみのスタッフにより、日常生活上の介助や機能訓練などを受けることができます。

1事業所当たりの登録人数は29人以下で、1日当たりショートステイは9人まで、デイサービスは15人程度までが定員となっています。地域密着型サービスであるため、小規模多機能施設を利用できるのは原則として当該市区町村の住民に限られており、施設が存在しない市区町村では利用できません(市区町村同士の協議により、エリアを超えて利用できる場合もあります)。

働くうえでの
ポイント

施設内だけではなく、利用者の居宅を訪問してサービスを提供することもあるため、臨機応変な対応やフットワークの軽さが必要です。利用者やその家族とコミュニケーションを積み重ね、信頼関係を築いていく姿勢も求められます。

キャリアの観点からは、1つの職場でデイサービス、ショートステイ、ホームヘルプサービスという3種類の仕事に従事できるため、それだけ経験を積めるメリットがあります。

訪問介護

訪問介護は、利用者ができるだけ住み慣れた場所でその人らしい生活が送れるよう、訪問介護事業所のスタッフが居宅(有料老人ホームなどの居室も含む)を訪問し、ケアプランに沿って日常生活上のサポートをする介護サービスです。

訪問介護事業所は社会福祉法人、医療法人、NPO(特定非営利活動法人)、民間企業などさまざまな主体によって運営され、介護福祉士や介護職員初任者研修を修了した訪問介護員(ホームヘルパー)が従事しています。

サービスの内容は、身体介護と生活援助の大きく2つに分類されます。身体介護は、食事や入浴、排泄、衣服着脱、整容(例:洗顔、歯磨き、爪切り)など、利用者の体に直接触れて行う自立支援サービスであり、日常生活動作(ADL)や意欲の向上を目指します。生活援助は、本人や家族が行うことが困難な掃除や洗濯、調理、買い物など、身体介護以外の生活支援サービスです。

働くうえでの
ポイント

基本的にはスタッフが単独で利用者の居宅を訪問するため、臨機応変な対応や高いコミュニケーション能力が求められます。ケアマネジャーや訪問看護師など多職種との連携、利用者や家族との信頼関係の積み重ねも重要です。

近年では在宅でのケアを望む利用者が多くなっており、訪問介護のニーズは今後も大きく伸びるものと見込まれます。無資格者が資格取得するための介護職員初任者研修バックアップ制度や、直行・直帰や短時間勤務を可能にする柔軟な勤務体系を導入している事業所も多いため、入職前に確認しておくとよいでしょう。

訪問入浴

訪問入浴は、浴槽を積んだ入浴車で利用者の居宅を訪問し、ケアプランに沿った入浴のサポートを提供する介護サービスです。ここでいう「居宅」には有料老人ホームなどの居室も含まれます。利用者が住み慣れた場所で、できる限りその人らしい生活が送れるよう手助けします。

訪問入浴事業は、社会福祉法人、医療法人、NPO(特定非営利活動法人)、民間企業などによって運営されています。訪問スタッフは3人(看護職員1人+介護職員2人)程度で、入浴前のバイタルサインの確認から入浴準備、衣服着脱介助、浴槽・ベッド間の移動、洗髪、洗身、洗顔、入浴後のバイタルサインや全身状態のチェックまで行います。

組み立て式の特殊浴槽を自宅などの室内に設置するため、寝たきりや身体障害などで自宅の浴槽では入浴が困難な人でも安全・安楽なリラックスタイムを楽しめます。スタッフはサービス提供前に利用者のもとを訪問し、主治医の許可や健康状態、居宅環境などを確認します。

働くうえでの
ポイント

介護の資格がなくても従事可能ですが、他人に裸体を見られたり触れられたりすることに抵抗を感じる利用者もいるため、きめ細やかな気配りができる人が向いています。また、浴槽や利用者を移動させるので、ある程度の体力が必要です。ですが、利用者の清潔を保つだけではなく、血行が促進された結果、免疫力が高まることによる感染症予防、褥瘡(床ずれ)や便秘の予防・改善、リラックス効果による睡眠の質向上など、利用者の健康を支えるやりがいがあります。

給与については、月給制の他、一部歩合制を採用する事業所もあります。事前にしっかりと確認しておきましょう。

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