メディカルスタッフ職種徹底解説 言語聴覚士 Speech-Language-Hearing Therapist

歴史

国内では1900年前後に言語療法に関する医学理論が伝えられ、1920~1930年ごろに大学病院で言語障がいの患者の治療を行ったことが、言語聴覚士の仕事の始まりといわれている。また、同時期に都内数カ所の小学校では「吃音(言葉を発する際に障がいがあること)教室」や「難聴教室」が設けられ、障がいを持つ子供たちを専門にした教育が行われていた。国家資格に制定されたのは1997年のこと。1999年に第1回の国家試験が行われている。

仕事の内容・特長

話すことや聞くことに不自由がある人たちに対して、言語能力や聴覚能力の回復を目指してリハビリテーションを行うのが言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapistの略で「ST」ともいわれる)の仕事。生まれつきの障がいや、脳梗塞・脳卒中などの病気や事故などの後遺症による「失語症」や「難聴」、また「音声障害(声帯を失い声が出ない)」、「嚥下(えんげ)障害(食べ物をうまく飲み込めない)」といった症状に対応する専門家である。こうした障がいが起こる原因は心理的な要因も含め複雑で、言語聴覚士はさまざまな検査を通じてその原因を探り、医師の診断や検査結果から治療方針を決定、1人ひとりにあったプログラムを作成し実施する。たとえば、「失語症」の患者には、読み書きのプリントやイラストが入ったカードを使って言葉を引き出すプログラムを、神経や筋力に問題があって発声がおぼつかなくなる「運動性構音障害」では、口を動かすなどの筋力トレーニングを中心とするプログラムを取り入れるといった具合だ。
実際の業務では、医師や看護師はもちろん、理学療法士や作業療法士などと連携しながら、チームの一員として活動することが多い。

1日の仕事の流れ

8:30~9:00
ミーティングや事務作業
朝のミーティングで連絡事項などの確認と、1日の作業チェックを行う。また、リハビリテーション実施計画書作成などの事務仕事を行う場合もある。
9:00~12:00
リハビリや訓練(午前の部)
それぞれの患者に適した療法による治療を行う。
12:00~13:00
昼食・休憩時間
13:00~16:00
リハビリや訓練(午後の部)
それぞれの患者に適した作業によるリハビリテーションを行う。
16:00~17:00
ミーティングや診療記録の作成
医師・看護師・理学療法士・作業療法士など他の医療スタッフとのミーティングを行い、今後の方針や対応を決定する。また診療記録を記載、清掃なども行う。
17:00
終業
勉強会への参加、業務改善のための資料整理などで、終業が遅くなることもある。

求められる資質

患者や医療スタッフと綿密な連携が取れるコミュニケーション能力
話すことや聞くことに不自由がある患者と意思疎通を図ったり、動作を促したりする作業が中心となるため、高いコミュニケーション能力が求められる。医師や看護師、他の医療スタッフとの綿密な連携も必要。
患者と信頼関係を築ける人間性、相手の気持ちをくみ取る観察力と想像力
患者は、不安や喜びなど自分の気持ちをうまく伝えられないことが多い。患者との信頼関係を築ける人間性と相手の意図を理解する洞察力や想像力、ねばり強く繰り返す根気は重要。

主な勤務先

1997年の資格化以前は、教育現場での仕事が多かったが、現在は多くがリハビリテーション科や耳鼻咽喉科を中心とする医療機関で勤務している。他には福祉関連施設などがある。

  • 一般病院や診療所などの医療機関
  • リハビリ専門病院
  • 高齢者福祉施設
  • 障がい者福祉施設
  • 児童福祉施設
  • 訪問リハビリテーション事業所
  • 保健所
  • 特別支援学校などの教育機関

参考データ

平均年齢 33.9歳
勤続年数 6.5年
労働時間 163時間/月
超過労働 4時間/月
月額給与 290,600円
年間賞与 702,200円
平均年収 4,189,400円

※令和2年賃金構造基本統計調査

将来性

リハビリテーション科や耳鼻咽喉科を中心とする医療機関で勤務する人が多いが、福祉関連施設や、小中学校、特別支援学校などの教育機関からの求人も増えている。近年では通常の保育園や幼稚園で活躍するケースもあり、活躍の場は拡大傾向にある。高齢化の進む国内で、発声や聞き取り、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)に問題を抱えている人は多く、リハビリを専門とする言語聴覚士へのニーズは高まっている。

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