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マスコミ(出版・広告)業界

業界の現状と展望

新しいメディアを上手に取り込むことが成長のカギ

出版市場全体は3年連続で前年比プラス

さまざまなジャンルの書籍や雑誌を発行するのが、出版業界の主な仕事。出版社がつくった書籍や雑誌などは、「取次」といわれる書籍や雑誌の流通専門会社を通じて、書店に配本される。
公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の調査によれば、2021年の書籍・雑誌を合わせた紙+電子出版物推定販売額は、コロナ禍で在宅時間が増加し読書需要が高まったこともあり、前年比3.6%増の1兆6,742億円と、3年連続でプラスとなった。紙出版市場は同1.3%減の1兆2,080億円となったものの、電子出版市場が同18.6%増の4,662億円と大幅に増加したことが功を奏した。
紙出版市場では、書籍が同2.1%増の6,804億円でプラスの一方、雑誌が同5.4%減の5,276億円とマイナスになった。書籍では、児童書や文芸書、中学学習参考書、語学・資格書などが好調な売れ行きをしめし、2006年以来の前年比増となった。一方で、雑誌は、情報発信を紙からWebやSNSに移す動きが顕著になっていることもあり、月刊誌が同4.5%減、週刊誌が同9.7%減と部数減が続いている。2020年は「鬼滅の刃」の大ヒットで前年比約2割増となったコミックス市場だが、2021年も「呪術廻戦」、「東京卍リベンジャーズ」の大ブレイクもあり、同0.4%増の2,087億円と健闘した。

電子出版市場は引き続き好調で、電子コミックが前年比20.3%増の4,114億円、電子書籍も同12.0%増の449億円と大きく伸びた。電子コミックは「東京卍リベンジャーズ」などの映像化作品のヒットに加えて、縦スクロールコミックも浸透。電子出版市場における電子コミック比率は88.2%に達している。
ただし、電子雑誌は、同10.1%減の99億円と4年連続で大幅なマイナスとなった。

拡大が期待される電子書籍市場だが課題も

電子書籍とは、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などにダウンロードして読むデジタルデータ書籍のことだが、専用端末も発売されて普及に拍車がかかりつつある。
近年は無料でマンガを読めるアプリやサービスの利用も拡大。これらのアプリでは、無料連載でユーザーを集めて、広告収入、有料販売、課金といったいくつかのビジネスモデルを組み合わせて設計されており、市場拡大が期待されている。

電子書籍の普及は、出版社側にとって印刷や製本、流通などにかかっていたコストを大幅に削減できるメリットがある一方で、新たな課題を抱える要因ともなっている。
一つは、著作権者の許可なくアップロードされたマンガが読める、ネット上にはびこる海賊版サイトリーチサイトの存在。各社は違法サイト撲滅に向けて様々な対策を行っている。国内最大級の海賊版サイトと言われた「漫画村」は対策が功を奏し閉鎖されたが、海賊版サイト運営者が海外を拠点にしていることも多く、出版社と海賊版サイトとのいたちごっこは続いている。

もう一つは、電子書籍の普及でこれまでの流通システムが不要になること。書店や取次業者にとっては、これまでの取引を失う可能性のある死活問題。いずれも、解決しなければならない大きな課題だ。

好調なネット広告にも支えられ、広告費は2年ぶりに増加

広告業界では、放送・新聞・出版・インターネットなどに出稿する広告を取扱っている。
2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大により、国内外で人と物の動きが大きく制限され、広告業界もその余波を受けたが、2021年は一転し好調に推移した。

大手広告代理店の電通は2022年2月に「2021年 日本の広告費」を発表。2021年の日本の総広告費は、前年比10.4%増の6兆7,998億円前年と2年ぶりの増加となった。
内訳は、テレビ・新聞・雑誌・ラジオのマスコミ四媒体広告費が同8.9%増の2兆4,538億円となった。インターネット広告費はさらに好調で、同21.4%増の2兆7,052億円と、インターネット広告費の推計を開始して初めて、マスコミ四媒体広告費を上回った。中でも、巣籠もり需要により、SNSやECサイト、動画配信サイトの利用が高まったことが影響し、物販系ECプラットフォーム広告費は、同23.5%増の1,631億円と、昨年(同24.2%増)に続き高い伸び率を示した。

マスコミ四媒体広告費の媒体別では、テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)は、前年比11.1%増の1兆8,393億円。「東京2020オリンピック・パラリンピック」、「FIFAワールドカップカタール 2022アジア2次予選」および「同アジア最終予選」、プロ野球、ゴルフトーナメントなどの大型イベントが実施されたことや、徐々に人流や経済活動の回復にともなってスポット広告への出稿増が影響した。

新聞広告費は、販売部数とページ数がともに減少傾向にある中でも、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開催や第49回衆議院議員総選挙の実施、また、在宅需要を背景にした通信販売が増加したことなどもあり、同3.4%増の3,815億円となった。

なお、雑誌広告費は同0.1%増の1,224億円、ラジオ広告費も同3.8%増の1,106億円と増加した。

加えて、マスコミ四媒体由来のデジタル広告費(マスコミ四媒体事業者が提供するインターネットサービスにおける広告費)は、前年比32.1%増の1,061億円と伸長。高い成長率となり、四媒体各社のデジタルトランスフォーメーションが進んでいることがうかがえる。
中でも、雑誌由来のデジタル広告は、同30.0%増の580億円と高い比率を占めている。クライアントのコンテンツや動画・記事制作など、出版物の編集で培った制作力や特定コミュニティへの集客力を活かした広告企画も定着しており、デジタル広告売上が広告売上の過半を占める出版社もあるほどだ。

また、屋外や交通、折込、イベントといったプロモーションメディア広告費は、前年比2.1%減の1兆6,408億円となった。在宅需要の後押しが期待できる「折込」や、コロナ禍で対面営業が難しくなったことを受けた「DM」、外出自粛の緩和を受けた「屋外広告」は前年を上回ったが、引き続きコロナ禍で影響を受けた「交通広告」や「フリーペーパー」、「POP」、「イベント・展示・映像ほか」は、前年を下回る結果となった。

業界関連⽤語

運用型広告

広告主が広告枠を買い取って広告を掲載する純広告に対して、運用型広告は、1回の広告表示に0.1円、あるいは1回のクリックに1円といった具合に入札を行う。入札によって広告枠の金額が変動することが特徴で、いつでもリアルタイムに入札額、予算、広告出稿内容、配信量、配信地域、配信期間、ターゲティングなどを変更できる。なお商品を記事コンテンツとして掲載するタイアップ広告や、サイト内で広告主の商品を紹介し一定の成果があった場合に報酬を受け取れるアフィリエイト広告運用型広告には含まれない。

また、掲載金額、期間、出稿内容(掲載面、配信料、掲載内容など)が、あらかじめ定められている広告を予約型広告リザベーション広告という。

ZINE

「Magazine」の「zine」に由来していると言われ、日本語では「ジン」や「ザイン」と言われる。自由なテーマで体裁も自由、手作りの小部数雑誌や紙媒体のことで、ある意味マスメディアとは対極にある。同人誌ミニコミ誌なども同様の系譜にあるが、同人誌ミニコミ誌は、漫画やイラスト、小説が中心の自主制作の本が多い。一方で、ZINEのテーマや体裁は全くの自由。ポートフォリオ代わりに使う場合もあれば、写真やイラストなど、ポップで自由で開放的という特徴がある。

3Bの法則

広告などの注目率や閲読率を高めるのに効果的とされる有名な手法。広告などに、Beauty(美女)・Baby(赤ちゃん)・Beast(動物)を使うと目を引きやすく、好感を持たれやすいという法則。

カリギュラ効果

同じく広告などに用いられる手法。情報の閲覧や接触を禁止されると、かえって見たくなるという心理を利用した広告手法。
ローマ皇帝カリギュラをテーマにした映画の内容があまりにも過激なため、各地で上映禁止になり、かえって話題になったことにちなんでいる。

ティザーサイト

tease(閲覧者を焦らす)という言葉の通り、情報を小出しにして詳細を知らせず、見た人に好奇心や興味を抱かせる広告の手法を取り入れたサイト。一定期間が過ぎると種明かしされる。主として雑誌や書籍、映画やTV番組、ゲームソフトやデジタル製品、パソコン関連製品などに開設されることが多い。

ステルスマーケティング(ステマ)

消費者に広告や宣伝であることを気付かれないように行うマーケティングのこと。その手法や規模はさまざまで、中には組織立って大量の人員を動員して行われたことや、架空の評論家を仕立てて自社の商品を絶賛させるということもあった。近年はブログやインターネット上の口コミサイトに書き込まれた情報が、実は広告宣伝だったという例もある。

時限再販・部分再販

著作物の再販制度(再販売価格維持制度)とは、独占禁止法でも認められている制度で、出版社は本や雑誌の定価を決めて、小売書店などで、定価で販売することができる制度。時限再販とは、一定期間は出版社が決めた定価で販売し、その期間が経過した後は割引するなどした価格で販売できる方法で、返品率を低くする効果が見込まれる。また、部分再販とは、新刊発行時から小売価格を拘束せずに自由価格で販売する方法のこと。
なお、電子書籍は、再販制度の対象とならない。

どんな仕事があるの︖

出版業界の主な仕事

・書籍編集
企画を立て、著者に依頼し、必要に応じてフォトグラファー、デザイナーなどと連携を取り、仕上がった原稿の校正を行う。大抵の場合、編集者一人で1冊を担当する。

・雑誌編集
ライター、フォトグラファー、デザイナーなどと連携を取り、雑誌のページをつくる。自ら取材・執筆することもある。

・進行管理
印刷会社とのスケジュールの交渉や調整、出版物が出来上がるまでの制作スケジュールを管理する。

 ・広告営業
雑誌に掲載する広告を集めるため、スポンサー企業へのセールスを行う。最近はタイアップ記事も多い。

広告業界の主な仕事

・営業
クライアント(広告主)との連絡を担当。仕事の受注、スタッフ編成、制作全体の管理を行う、プロジェクトリーダー的存在。

・プランナー
広告の企画から関わり、その制作全体を統括する。営業と協力して指揮を執るが、こちらはよりクリエーティブ(制作現場)に密着した部分を受け持つ。

・メディア
テレビ、新聞、雑誌のメディアや交通広告、屋外看板などの広告枠を買い付ける。メディアごとの広告効果なども調査・分析する。

・マーケティング
クライアント企業やその商品に関する調査を行い、広告戦略を立てる。

・コピーライター
その広告の内容を最もよく伝え、最も人々にアピールするコピーを考案する。

・グラフィックデザイナー
ポスターや雑誌掲載の広告など、グラフィック広告に関するデザインを担当する。アートディレクターになると広告の立案、フォトグラファーやモデルの選定まで任される。

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マスコミ(出版・広告)業界の企業情報

※原稿作成期間は2021年12⽉23⽇〜2022年2⽉28⽇です。

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