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3月企業エントリーに向けた新機能と今後の流れ

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自動車・輸送用機器業界

業界の現状と展望

世界に冠たる自動車産業大国

世界に冠たる自動車産業大国

自動車業界は、日本が世界に誇る巨大産業だ。国内には世界販売台数において首位を争うメーカーをはじめ、複数の完成車メーカーがある。完成車メーカーは、部品・素材供給を行う数え切れないほどの下請け会社系列会社を抱え、大きな雇用機会を作り出している。同時に販売会社などの流通や金融に関連する産業にもかかわっており、自動車業界は、生産・販売・整備・輸送など広範な関連産業を持つ総合産業といえる。

2021年8月に公表された、経済産業省の工業統計調査「2020年確報 産業別統計表」によれば、2020年の製造業に従事する従業者数は771万7,646人、そのうち輸送用機械器具製造業に従事する者は全体の13.8%と、食料品製造業の14.7%に次いで多い。また、2020年の製造品出荷額合計は322兆5,334億円、そのうち輸送用機械器具製造業は、全体の21.1%で最多を占めており、自動車を中心とする輸送用機械器具製造業は日本経済を支える重要な基幹産業と言える。

自動車産業も、コロナ禍で一時的に世界各地の自動車工場が休止に追い込まれるなどの影響もあったが、需要は旺盛で、その後は徐々に操業を再開し生産は回復しつつある。ただし、2021年に入って、デジタル化の進行にともなう旺盛な半導体需要や一部地域での部品製造の遅れもあり、一時的に製造ラインを停止するなど各社は対応に追われている。

加速するEVシフト!

近年は地球温暖化の原因とされる温室効果ガス削減に各国が力を入れている。中でも、EUと中国はいち早くEVシフトに取組んでいた。
EUは、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとすることをうたっており、自動車のCO2排出基準を厳格化する方針を表明していた。2021年7月に発表されたEUの新環境規制では、2035年に発売できる新車は、排出ガスゼロ車のみとする規制を提案。これは、発売できる新車はEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)のみとなり、ガソリン車やディーゼル車だけではなく、エンジンを搭載したHV(ハイブリッド自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド自動車)の販売も禁じることを意味している。
中国も、従来型ガソリン車の製造・販売を2035年までにゼロにする方向で検討。2035年までにEVFCVなどの販売比率を50%に高め、残りの50%もエンジンとモーターを併用するHVなどにするとしている。
また、アメリカでもバイデン大統領が、2030年までにアメリカの新車販売の50%を電気自動車などのゼロエミッション車にするという目標とともに、2035年までに連邦政府が所有する60万台の公用車もゼロエミッション車にすることも表明している。なお、ゼロエミッション車とは、動力源から二酸化炭素などの温室効果ガスや大気汚染物質を排出しない車両のことで、HVやPHEVは含まれず、具体的には、EVFCVなどがある。ただし、アメリカの大統領令によるゼロエミッション車には、PHEVが含まれている。

欧州や中国では、EVの導入に多額の補助金が使われていることもあり、新車販売の10%以上がEVとなるほど普及が進んでいる。
国内メーカーでも、ホンダは2040年までに世界で販売する四輪車の全てをEVFCVにシフトする計画を発表。トヨタも、2030年にEVFCVで200万台としていた従来計画から、2030年のEVの世界販売を350万台とする計画を発表。乗用車から商用車まで30モデルのEVを市場に投入する予定だ。また、以前からEVに力を入れていた日産自動車に加えて、提携関係にある三菱自動車工業とフランスのルノーの3社は、電動化の分野でさらに連携を強化し2030年までに35車種のEVを市場投入することを明らかにした。

EVシフトは、裾野の広い自動車産業全体に大きな影響があるため、産業構造にも変化の波が押し寄せている。とくに衝撃を受けるのが自動車部品メーカー。自動車全体で数万個、エンジンだけでも数千個の部品が使われているが、EVシフトによって根幹部品であったエンジンがモーターに置き換わるだけでなく、自動車の構造も大きく変わる。EVでの部品点数は従来の半分程度ともいわれており、大手中小に限らず多くの自動車部品メーカーが仕事を失う可能性がある。
一方でEVシフトにより新たな市場が立ち上がることで、これまで自動車メーカーとつながりのなかった企業にとっては新しいビジネスチャンスが到来している。国内でも、ソニーがEV市場への参入を表明しており、大きな雇用を抱えて日本を支えてきた自動車関連産業は、急速な変化に対応するスピードと柔軟性がますます求められる。

モビリティサービスへの変革でGoogleやAppleがライバルに

これまでの自動車会社は、所有することに喜びを感じる魅力あふれる車づくりにこだわってきた。しかし、自動運転技術の進化もあり、従来の自動車の概念を超えて、すべての人が自由に手軽に移動できるモビリティサービスに必要なプラットフォームを提供していくことが自動車業界に求められている。各社は、さまざまな国や地域で自動運転の実証実験を行い、研究開発費の多くをこの分野に投じている。すでに、自動車業界のライバルは同業だけではなくなっており、GoogleやAmazon、AppleなどのアメリカIT勢や、AutoXや百度(Baidu)いった自動運転車開発にも力を入れている中国IT勢が自動車業界に加わっている。

ライバル国との競争激化が避けられない造船業界

高度な技術力に定評があり、かつては世界トップクラスのシェアを誇った日本の造船重機メーカーだが、現在はライバル国との激しい受注獲得競争を繰り広げている。
一般社団法人日本造船工業会が発表した2021年9月の「造船関係資料」にある「世界の新造船受注量の推移」によると、2020年の新造船の受注は、コロナ禍ということもあり、世界合計で前年比200隻減の1,400隻。国別では中国が431隻でトップ、次いで日本(258隻)、韓国(162隻)となった。総トンでも中国が1,821万総トンで44.4%を占め、日本(614万総トン)や韓国(1,347万総トン)を上回る結果となった。

中国では国内1位と2位の中国船舶工業と中国船舶重工が経営統合し新会社である中国船舶集団が誕生、日本でも、業界1位の今治造船と2位のジャパンマリンユナイテッドが共同出資で新会社日本シップヤードを設立するなど、再編の動きが加速している。なお、韓国内1位の現代重工業と2位の大宇造船海洋の合併は、韓国が圧倒的な力を持つ液化天然ガス(LNG)船分野での市場独占解消案について、EU競争当局との協議がまとまらず、厳しい状況にある。

スケールメリットを活かしたライバル国との受注競争はますます激しくなりそうで、人材確保の面からも業界を取り巻く環境は厳しく、コスト削減と建造時間短縮のため自動化システムを導入している企業もある。造船業界は、地域の経済や雇用を支えるだけでなく物流や安全保障の面でも重要な産業。事業再編や生産性向上などによる競争力基盤の整備が求められている。

評価が高い日本の技術。小型旅客機は無事にテイクオフするもコロナの影響も

評価が高い日本の技術。小型旅客機は無事にテイクオフするもコロナの影響も

航空機業界は、数社の機体メーカーと、部品・材料メーカー、こうした材料を取り扱う商社など、すべての企業を合計すると千数百社から構成されている。
巨額な資本を必要とする機体開発の分野では、リスクを抑えるため、海外や他メーカーとの共同開発が主流で、日本の企業も参加している。 日本の技術が特に高く評価されているのは、素材技術構造設計などで、世界でもトップレベルにある。ボーイング787機は機体構造の35%を日本企業が受け持ったため、「Made with Japan」とも呼ばれている。
日本企業による中小型旅客機の自社開発もあり、ホンダジェットは、2018年12月に日本での引き渡しを開始。セールスも好調だ。ただコロナ禍で航空機需要の大幅な低迷や、開発計画を見直す企業もあり、今後の流れに注視したい。

民間企業の参入が目覚ましい宇宙産業。宇宙旅行も現実のものに

日本航空宇宙工業会によれば、国内の2019年度の宇宙機器関連企業の売上高は3,285億円となった。2020年度の売上高予測値は3,216億円と減少を見込んでいる。
ただし、これまでの通信衛星や地球観測だけでなく、宇宙旅行も現実のものとなっており、宇宙関連ビジネスへの期待は大きい。テスラが出資するスペースXやアマゾンのブルーオリジン、ヴァージン・ギャラクティックなど民間企業の宇宙産業への進出もめざましい。米国を中心に、欧州、ロシア、中国との競争が激化しているが、日本も、人工衛星ロケットを独自に製造、運用できる高い能力を持っている。日本の探査機「はやぶさ2」は、世界で初めて小惑星「リュウグウ」の岩石などのサンプル採取に成功。日本の宇宙技術の高さを証明した。また、これまでの「H-IIAロケット」の後継機で、柔軟性や信頼性を向上させ、低価格を実現した新型の「H3ロケット」の打ち上げも予定されている。さらに、RV-Xと呼ばれる再使用型の実験ロケットを使い、打ち上げたロケット機体の一部を回収し再使用できるロケットの研究開発も進めている。

業界関連⽤語

CASE

Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング・サービス)、Electric(電動化)の頭文字を取った造語。具体的な取り組み方は会社によってさまざまだが、自動車業界各社に拡がる基本戦略となるキーワードとして認知されている。自動車は今後、コンセプトやデザイン、機能などが大きく異なる、シェアする自動車と所有する自動車に二極化されると言われており、自動車業界のあり方が大きく変わる可能性が指摘されている。

コネクテッドカー

インターネットと常時接続機能を有した自動車のこと。エンジンやブレーキなど、自動車のすべてのデータがインターネット経由で外部と接続できるため、渋滞や工事の情報、店舗の情報などさまざまな情報をドライバーに提供できる。 また、事故発生時はドライバーの代わりに自動的に警察や消防などに緊急通報を行うこともでき、盗難時に車両の位置を追跡したり、遠隔操作でエンジンを始動できなくしたりということもできる。

MaaS

Mobility as a Serviceの略で、A地点からB地点に移動する際に、公共交通機関やレンタカー、タクシー、レンタサイクルなどさまざまな交通手段を活用して最適な行き方を提案してくれるサービスのこと。自動運転車の進化に伴って、将来的には希望した時間になれば玄関先に自動車が到着し、希望の場所まで自動的に運転してくれるというサービスも可能になる。

イプシロンロケット

高性能と低コストの両方を目指し、JAXAが開発した新しい個体燃料ロケット。「モバイル管制」と呼ばれる革新的な打ち上げシステムを導入。ロケットが自身に知能があるかのように自ら点検する仕組みを持っており、特定の場所にしばられることなく、世界中のどこからでもネットワークにパソコンをつなぎさえすれば、ロケットのコントロールができるようになった。小型の人工衛星を小回りよく高頻度で打ち上げることが期待されている。

全固体電池

EVはもちろんスマホやPCなど、幅広く利用されているリチウムイオン電池。ポストリチウムイオン電池の1つとして、高い期待が寄せられているのが全固体電池。電池は正極と負極の間に電解質があり、電気を貯めたり放出したりしている。これまでのリチウムイオン電池では、電解質が液体のため液漏れや蒸発といった課題があったが、文字通り全てが固体となった全固体電池ではこうした課題から解放される。従来よりも安全性が高く劣化しにくいほか、エネルギー密度を高めることができるので、充電時間も大幅に短縮でき、設計の自由度も高まるというメリットがある。液体の電解質と同等以上の固体電解物質の研究開発が課題とされており、実用化に向けて自動車業界だけでなく、様々な業界の企業、研究機関、大学などが研究開発に取組んでいる。

どんな仕事があるの︖

自動車業界の主な仕事

・営業
自動車販売店(ディーラー)への営業活動を行う。マーケティングを基に、販売店をサポートする。

・車両開発
新車両の設計や開発などを行う。部品ごとに専門特化した技術が求められる。

・デザイナー
自動車のインテリアやエクステリア、色、ファブリック類などをデザインする。

・商品企画
マーケティングを基にトレンドを予測し、商品戦略や新型車の企画立案を行う。

その他輸送用機器業界の主な仕事

・研究開発
先端技術や、他部署から挙げられる市場動向調査を研究し、製品の改良や新製品の開発を行う。

・設計
新技術を導入し、コスト削減、機能強化、信頼性の向上などを図り、製品の設計を行う。

・資源調達
原材料・部品を最も有利な条件で購入する。材料費は製造コストに大きく影響するため、利益に直結する仕事。

・営業
製品の受注から納入までを担当。顧客からの受注を受け、顧客と工場の間に立ち、さまざまな折衝や調整を行う。

自動車・輸送用機器業界の企業情報

※原稿作成期間は2021年12⽉23⽇〜2022年2⽉28⽇です。

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