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精密・医療機器業界

業界の現状と展望

身近なものから産業用まで幅広い製品を提供

精密機器業界は、ソフトウエアや電子制御によって精密な精度で動作させる機器をつくり、国内外に販売している。身近な存在の時計やデジタルカメラなどの光学機器から、産業用の計測機器検査機器など、精密機器業界がカバーする範囲は広く、医療機器も含まれる。精密機器は日本がこれまで得意としてきた分野で、国内外でさまざまな産業の発展を支えてきた。

厳しい状況のデジカメ市場で、ミラーレスカメラが健闘

厳しい状況のデジカメ市場で、ミラーレスカメラが健闘

高画質の高機能・高性能カメラには底堅いニーズはあるものの、スマートフォンのカメラ機能やレンズ性能も向上しており、厳しい状況が続いているデジタルカメラ市場。2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響もありカメラ需要も大きく減少。一般社団法人カメラ映像機器工業会のデジタルカメラ統計によると。2021年のデジタルカメラの出荷量は前年比5.9%減となったものの、金額ベースでは同16.4%増と前年を上回った。これまで、大きく前年比で減少を続けていたレンズ一体型カメラも、出荷量は同15.8%減となったが金額ベースでは同4.3%減と、以前に比べると下げ止まり感がうかがえる。また、レンズ交換式では、フルサイズミラーレスカメラの販売が好調だ。先行していたソニーに対して、キヤノンとニコンも新製品を投入したこともあり、出荷台数では同5.9%増、金額ベースでは同31.4%増となった。出荷台数は全体の37.2%だが、平均単価が高いため出荷金額では66.4%を占めており、ますます存在感が高まっている。

時計市場と測定機器市場は、新型コロナウイルス感染症の影響から回復基調へ

時計業界には世界的にさまざまなブランドが存在するが、多くはLVMHリシュモンスウォッチの3大グループの傘下にある。完全に独立した自社の生産ラインを持つ会社はそれほど多くないのが実情で、海外ではロレックスやパテックフィリップなどが、国内ではセイコーやシチズン、カシオといった企業が、独立を保つ会社として知られている。

時計市場も、2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたが、一般社団法人日本時計協会によれば、2021年の完成品総出荷数(見込み)は、ウオッチ(どんな姿勢でも作動し、かつ携帯することを目的とした時計)は前年比16%増の5,100万個で金額は同11%増の2,220億円、クロック(一定の姿勢で使用する時計)は同3%増の800万個で金額は同3%増の180億円と、前年を上回る見通しだ。

日本精密測定機器工業会の生産販売統計によると、精密測定器(光学測定器を含む)の生産は、2018年は前年を上回っていたものの、2019年から前年を下回っている。2019年は、米中経済摩擦による不透明感やBrexitなどが、2020年はコロナ禍で世界経済の成長率が押し下げられたことが影響していると考えられる。ただし2021年は、1~3月は生産・出荷とも前年同月を下回ったが、4月から前年同月比で増加に転じ続けている。

新興国への拡大が期待できる医療機器市場

新興国への拡大が期待できる医療機器市場

医療機器メーカーは、内視鏡などの診療機器や手術などに使われる治療機器などをつくり、国内外の医療機関に販売している。医療機器には、CT内視鏡のような「診療機器」、カテーテルやレーザー治療、手術などに使用されるメスなどの「治療機器」、ペースメーカーや人工骨などの「生体機能補助・代行機器」、眼科用品や家庭用医療機器など「その他の機器」がある。中でも、日本のメーカーは「診療機器」に強いといわれており、キヤノンやオリンパス、富士フイルムなど、カメラで培った映像技術や画像処理技術を活かして医療機器市場で活躍する企業もある。

医療機器は、高齢化に伴う需要増もあり、緩やかな拡大が見込まれるが、国内では医療費抑制政策が実施され、経営が悪化する医療機関が増えている。国内市場だけで医療機器業界が金額ベースの大きな拡大を遂げるのは簡単ではない。
もともと医療機器の市場はアメリカやEU、日本などの先進国に偏っていた。今後は、さらなる医療の高度化を進める先進国だけでなく、急成長を続ける中国やインド、医療水準の向上が期待できる新興国などへの輸出が事業拡大のカギとなりそうだ。

なお、医療機器業界も、コロナ禍で影響を受けた。人工呼吸器や体外式膜型人口肺(ECMO)などの新型コロナウイルス関連医療機器の需要が増えたものの、医療機関への外来・入院患者は減少。経営が厳しい医療機関も多く、新しい医療機器への投資を控える動きも見られた。
一方で、コロナ禍において、パソコンなどを利用して患者の診断や薬の処方を行うオンライン診療が普及しつつある。医療機器業界では、オンライン診療用の機器やシステム、アプリの開発などにも着手している。

手術支援ロボットに成長の可能性

医療の高度化に伴い、さらなる市場拡大が期待されているのが手術支援ロボット市場だ。これまでは、アメリカのインテュイティブ・サージカル社の「ダヴィンチ」が世界市場を席捲していたが、2019年までに諸特許が切れたことから、国内外の様々な企業による開発競争が熱を帯びている。すでに保険適用を受けた国内メーカーの機器もあり、今後は開発だけでなく導入に向けても競争が激化しそうだ。

業界関連⽤語

N-NOSE

嗅覚に優れた線虫という生物が、がんのにおいに引き寄せられることを利用した検査で、わずか1滴の尿からがんのリスクを高精度(2019年9月時点で85%)に判定することができる。がんであるかどうかは判定できるが、がんの種類までは特定できない。そのため、発見後は別途精密な検査が必要となるが、ステージ0や1の早期がんも検知、簡便で身体的負担も少ない。さらに、安価で全身を網羅的に調べられるとあって、期待が高まっている。

ウエアラブルカメラ

身体やヘルメットなどに取り付けてハンズフリーで撮影する小型カメラ(ビデオカメラ)で、スポーツカムアクションカメラなどともいわれている。通常のカメラと異なり小型で軽量なため、簡単に自分目線での撮影ができる。
また、自転車やバイクのハンドル、サーフボードなどに取り付けて周囲の風景などを撮影したり、動物に取り付けたりして撮影できるものもある。コンパクトデジタルカメラ市場が厳しい中、迫力映像が撮影できるとあって人気になっている。

3Dプリンター

コンピューターで作成した3次元の設計データを基に、樹脂などを使って立体造形物を作ることができる3Dプリンター。金型を使わなくても、複雑な構造の立体物を作り出せることから、製造業を中心に幅広い分野での導入が期待されている。
IDCによれば、2021年以降は新たなビジネスの胎動もみられ、国内3Dプリンター市場は、2024年には239憶8,700万円にまで拡大すると予測している。

医療クラウド

多くの医療機関では、セキュリティーの観点から、病院外から病院内のデータにアクセスすることができなかった。これまでと異なり、電子カルテや、レントゲンCT画像など医療情報データを、外部のクラウド上に保存し、複数の医療機関が患者データを活用しようという試み。異なる地域や病院で情報を共有することができ、救急搬送された場合にも過去の治療履歴を知ることができる。また、外部の専門医に遠隔診断を依頼することも可能になる。

ドローン

ドローンとは、航空法で、「無人であり、遠隔操作または自動操縦で飛行できる、200g以上の重量の機体」と定義されている。軍事用に使用されることもあるが、今では娯楽用、産業用など様々な用途でドローンが開発されている。国内では農薬散布など農業用の利用が多いが、いまではインフラ設備の点検や測量などにも活用の場が広がっており、将来的には物流分野への導入も期待されている。インプレスの「ドローンビジネス調査報告書2021」によれば、機体・サービス・周辺サービスを合わせた2021年度のドローンビジネスの市場規模は2,305億円で、2025年度には6,468億円まで加速するとしている。

どんな仕事があるの︖

精密機器業界の主な仕事

・営業
自社商品を、顧客である販売店や企業に提案・販売。顧客の要望を聞き出し、商品の改善や新商品企画に役立てる。

・ハードウエア設計
機器全体の仕組みを設計する。

・ソフトウエア設計
機器がうまく動くように、ソフトウエアを設計する。

・システム設計
機器がうまく動くように、ソフトウエアを含むシステムを設計・開発する。

・生産管理
スケジュールや計画を立てて、スムーズに生産できるよう手配をする。

医療機器業界の主な仕事

・営業
自社商品を、顧客である販売店や企業に提案・販売。顧客の要望を聞き出し、商品の改善や新商品企画に役立てる。

・開発
ハードウエア、ソフトウエアなどを使って、商品を設計開発する。

・サービスエンジニア
自社製品のメンテナンスや点検を行う。

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※原稿作成期間は2021年12⽉23⽇〜2022年2⽉28⽇です。

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