機械(機械)業界の「現在」と「未来」
一般機械は総合重機の売上規模大。生産額2年連続減も今後に期待
一般機械業界は、造船から始まって、発電機器、プラント、航空宇宙などに多角化してきた総合重機の規模が大きい。大手5社はそれぞれ得意分野を持ち、事業活動もグローバルだ。祖業といえる造船は中国、韓国に次ぎ世界3位だが、技術力で存在感を示している。
しかし、日本機械工業連合会によると、一般機械の2020年度の生産額は、前年度比6%減の14兆2,658億円と、2年連続の減少を見通している。コロナ禍による世界的な生産活動の停滞が要因だ。アフターコロナでの回復を期待したい。
2020年度の建設機械は2桁減。自動運転などICT化進める
日本建設機械工業会によると、20年度の建機出荷額は、前年度比11.5%減の2兆2,143億円と2桁のマイナスだった。主力の外需が同17.0%減の1兆2,286億円と減少したことが響いた。内需は同3.4%減の9,857億円。
建機は油圧ショベルをはじめ、建設用クレーン、道路機械、コンクリート機械など幅広く、中でも売上上位5社が強みを発揮している。建設業界の大きなテーマは自動化だ。建設業界の人手不足にも対応し、ICTを使った自動運転や遠隔監視などの技術開発が進められている。AIを使った油圧ショベルの自動運転を支援するベンチャー企業も登場しており、国土交通省は25年度までに建機の自動制御・走行技術を確立するとしている。
工作機械受注、10年ぶり1兆円割れ。世界シェア高く、V字回復への希望も
日本工作機械工業会によると、20年の受注額は前年度比26.7%減の9,018億円と大幅に減少し、10年ぶりに1兆円の大台を割った。主力の外需が同21.6%減の6,624億円と減少したことが響いた。コロナ禍に加え、半導体不足によって主要な需要先である自動車生産が世界的に停滞したことなどが要因だ。
工作機械は機械を作る機械のため「マザーマシン」と呼ばれる。旋盤、フライス盤、研削盤、放電加工機、複数の機能を併せ持ったマシニングセンターなどの機種があり、いずれも日本企業の世界シェアは高い。一時的な需要減はあるものの、アフターコロナになればV字回復も見込める。
ロボットは国内減、輸出増。IoT対応進み、需要掘り起こし
同様に、日本メーカーが世界で高いシェアを持つのがロボットだ。日本ロボット工業会によると、20年の出荷額は前年比2.8%減の7,813億円と、2年連続で減少したものの、国内が同18.1%減の2,084億円に対し、輸出は同4.3%増の5,728億円と、国際競争力の高さを示した。特に産業用ロボットではAIやセンサーなどを活用してIoTに対応する技術開発が進められており、生産効率化や自動化を目指す製造業の需要掘り起こしが期待される。