発行部数の減少続く。 求められる電子版の強化
新聞は、全国的に発行する全国紙、複数の都道府県で発行するブロック紙、都道府県単位で発行する地方紙に分けられる。種類別では、政治経済から社会、国際などの情報を総合的に扱う一般紙、スポーツや芸能に特化したスポーツ紙のほか、国内外のニュースを配信する通信社や専門紙などがある。
日本新聞協会によると、2020年10月時点の発行部数は、前年同期比7.2 % 減の約3,509万部と、16年連続で減少。協会加盟91社の2019年度売上高は前年度比0.6%減の1兆6,526億円だった。部数減に伴い、19年度の広告収入も同6.5%減の3,092億円。
発行部数減の要因は、無料のネットニュース利用者が増え、特に若者の新聞離れが続いているためだ。ただ、新聞はテレビやネットに比べて速報性では劣るものの、情報の正確性や解説などで信頼性は高い。各社ともネット対応として、有料記事を交えた電子版の強化を進めているが、全体としては紙媒体を補う水準には達していないのが現状。アメリカで成功例があるように、動画を使った情報配信など、無料では手に入らない新たな情報配信サービスが求められている。
放送の広告収入減少。 ネット配信など多角化に注力
ネットの影響を受けているのは放送も同様。総務省の民間放送事業者の収支状況によると、19年度の売上高は前年度比2.0%減の3兆8,643億円だった。内訳は、地上波が同3.2%減の2兆2,640億円、衛星放送が同0.1%増の3,623億円、有線放送が同0.4%減の5,008億円など。収益の柱となる広告収入は、ラジオを含めて同11.6%減の1兆6,452億円だ。
ネット対応として、キー局を中心に動画配信に力を入れる。在京5社で共同運営する配信サイトも登場。放送法改正でテレビとネットの同時配信が可能となり、新たなサービスも検討している。ネット配信以外にも、各社ともイベントや映画、都市開発などの事業を進めており、今後も多角化が進みそうだ。