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保育業界の用語集

あ行
5つの安心プラン
いつつのあんしんぷらん
2008年7月に政府が閣議決定した、社会保障分野で緊急に取り組む5つの対策。
- 高齢者が活力を持って、安心して暮らせる社会
- 健康に心配があれば、誰もが医療を受けられる社会
- 未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会
- 派遣やパートなどで働く者が将来に希望を持てる社会
- 厚生労働行政に対する信頼の回復
「③ 未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会」に於いては、次の内容が盛り込まれた。
- 保育サービス等の子育てを支える社会的基盤の整備等
- 仕事と生活の調和の実現
か行
規制緩和
きせいかんわ
児童福祉法はたびたび改正されているが、大きな改正が2度、行われている。1度目は1997年。実に制定以来、50年ぶりの改正であり、乳幼児が「保育に欠ける」ことを市町村が判断、保育所への入所を決定する「措置方式」から、市町村からの情報提供に基づき親が保育所を選択する「利用方式」に変わった。
2度めは2001年の「規制改革推進3カ年計画」。実現済みの規制緩和策には次のようなものがある。
- 公立保育所の運営委託の促進
- 保育士に関する諸規則の改革(国家資格化)
- 保育所に関する情報公開
- 第三者評価の推進
- 夜間保育・休日保育の推進
- 保育所への株式会社などの参入促進
- 保育所と幼稚園の施設共有化等による連携
まだ実現されていないものに
- 直接契約制度(利用者が保育所と直接契約)
- 給食の規制緩和(調理室のあり方)
があるが、これらの実現も時間の問題と言われている。
特に「直接契約制度」については利用者が保育園を自由に選択ができるということ以外に、保護者が入りたい園を自分の足で尋ね歩いて申請しなければならない、逆に園が受け入れる子ども(親)を選ぶようになる、さまざまなオプション(時間外保育や給食など)がすべて保護者の自己負担となる、保育園が「儲けの場」となる、などさまざまな問題も指摘されている。
子育て安心プラン
こそだてあんしんぷらん
東京都をはじめ、子育て世帯のサポートに意欲的な自治体を支援するため、政府が2017年に打ち出したプラン。2018年度から2019年度末までの2年間で待機児童解消に必要な受け皿約22万人分の予算を確保し、遅くとも2020年度末までの3年間で全国の待機児童の解消を目指す。また、今後も25歳から44歳の女性の就業率が上昇し、その就業率と相関して保育の利用申込み率も伸びることが見込まれることから、2018年度から2023年度末までの5年間で、女性就業率80%に対応できる約32万人分の受け皿を確保するべく整備を進めている。
2つの目的
- 待機児童の解消に必要な22万人分の予算確保
- 5年間で女性就業率80%に対応できる32万分の受け皿整備
子ども・子育て応援プラン
こどもこそだておうえんぷらん
少子化の流れを変えるための重点施策の具体的実施計画として2004年12月に制定。「新新エンゼルプラン」ともよばれる。政府は5年計画で、1995年度から「エンゼルプラン」、2000年度から「新エンゼルプラン」、2005年度から「子ども・子育て応援プラン(新新エンゼルプラン)」に取り組んできている。
厚生労働省 新エンゼルプランについて4つの重点課題
- 若者の自立とたくましい子どもの育ち
- 仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し
- 生命の大切さ、家庭の役割等についての理解
- 子育ての新たな支え合いと連帯
子ども・子育て支援新制度
こどもこそだてしえんしんせいど
子育てと就労の両立への不安や、待機児童といった様々な課題を解決し、安心して子育てに取り組めるよう、2015年4月に施行された制度。子どもの年齢や親の就労状況などに応じた多様な支援で、子育ての選択肢を増やす「量の拡充」と、幼稚園や保育所、認定こども園などの職員の給与アップや研修の充実などの処遇改善によって質の高い人材を確保し、保育サービスの質を高める「質の向上」の二軸で、様々な制度が整備された。
子ども・子育て支援新制度の目的
- 質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供
- 地域に根ざした子育て支援の充実
- 待機児童問題解消
新制度では地域の実情に応じて、2006年に設置がスタートした「認定こども園」への移行を推進するほか、市区町村の認可事業として待機児童が特に多い0~2歳の子どもを少人数で保育する「地域型保育」制度が設けられている。主な事業形態は以下の4つ。
- 家庭的保育(保育ママ)
- 小規模保育
- 事業所内保育
- 居宅訪問型保育
子ども・子育て新システム
こどもこそだてしんしすてむ
少子化対策会議が検討している重要事項および施策の一つで、一連の現在の子育て支援や幼稚園・保育園のあり方を新しいシステムに変えようというもの。まず子どもの施策について文部科学省、厚生労働省に分かれているものを一元化して一つの役所に統一し、包括的な制度を作ることが検討されている。2012年2月、次年度を目途に「子ども・子育て会議(仮称)」の設置や国の基本指針策定など可能なものから段階的な実施を図る方針を示し、2012年3月には「子ども・子育て新システムの基本制度」等が決定した。
子ども・子育て新システムによって実現を目指す社会
- すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子どもを大切にする社会
- 出産・子育て・就労の希望がかなう社会
- 仕事と家庭の両立支援で、充実した生活ができる社会
- 新しい雇用の創出と、女性の就業促進で活力ある社会
また、子どものために使われる国子負担金や補助金などもすべて一元化したうえで市区町村に交付され、使い道もそれぞれの裁量で以下から配分することができるとされる。
- すべての子どもに向けての基礎給付(子ども手当、地域子育て支援、一時預かりなど)
- 両立支援+幼児教育の給付(こども園=幼保一元、小規模保育サービス、病児・病後児保育サービス、放課後児童クラブなど)
子ども・子育てビジョン
こどもこそだてびじょん
家族や親の過重な負担を軽減し、子育てを社会全体で支えて個人の希望の実現をめざすという今後の子育て支援の方向性についての総合的なビジョン。2010年1月に閣議決定された。
目指すべき社会への政策4本柱
- 子どもの育ちを支え、若者が安心して成長できる社会へ
- 妊娠、出産、子育ての希望が実現できる社会へ
- 多様なネットワークで子育て力のある地域社会へ
- 男性も女性も仕事と生活が調和する社会へ(ワーク・ライフ・バランスの実現)
さ行
児童手当
じどうてあて
- 支給対象は中学校修了までの国内に住所を有する児童(15歳に到達後の最初の年度末まで)
- 所得制限があり、夫婦と児童2人、所得(年収ベース) が960万円未満の家庭に支給される(年収が960万円以上の家庭には当分の間月5,000円が支払われる)
- 手当月額
- 0~3歳未満 一律15,000円
- 3歳~小学校修了まで
- 第1子、第2子:10,000円
- 第3子以降:15,000円
- 中学生:一律10,000円
- 所得制限以上:一律5,000円(当分の間の特例給付)
- 受給資格者:監護生計要件を満たす父母等、児童が施設に入所している場合は施設の設置者等
- 実施主体:市区町村(法定受託事務) ※公務員は所属庁で実施支払期月
児童福祉法
じどうふくしほう
18歳未満の児童(1歳に満たない乳児、小学校就学までの幼児、18才未満の少年・少女)とその福祉についての根本的、総合的な法律。福祉を担当する公的機関、各種施設および事業に関する基本原則を定めている。
児童は国家の責任として、児童の保護者とともに、児童の心身の健全な成長、生活の保障、愛護を理念として育成すること、すべての国民は、児童が心身ともに健やかに生まれかつ育成されるよう努めなければならないことと、その目的達成のための必要な諸制度がまとめられている。1948年施行、2019年最終改正。
少子化
しょうしか
- 女性の高学歴化と社会進出
- 晩婚化
- 未婚化
- 住環境の問題
- 教育費の問題
出生率の低下に伴い、総人口における子供の割合が低下すること。一般に「合計特殊出生率(出生率計算※の際の分母の人口数を、出産可能年齢(15~49歳)の女性に限定したもの)」で表され、その数値が2.08を下回ると少子化と言われる。
原因としてはさまざま考えられるが、
が挙げられることが多い。
少子化により、高齢者の福祉問題と労働人口確保のミスマッチが問題化している。
※出生率計算…ある年に生まれた子供の数を人口/千人あたりに換算した数値。ベビーブーム期(1947~49)においては33~34、ここ数年は10を下回っている。
新待機児童ゼロ作戦
しんたいきじどうぜろさくせん
2001年の「待機児童ゼロ作戦」を継承・発展させたもの。希望するすべての人が子どもを預けて働くことができるためのサービスの受け皿を確保し、待機児童をゼロにする。特に、今後3年間を集中重点期間とし、取組を進める事を目標に2008年2月に制定された。
集中重点期間の対応
- 保育サービスの量的拡充と提供手段の多様化〔児童福祉法の改正〕
- 小学校就学後まで施策対象を拡大
- 地域における保育サービス等の計画的整備〔次世代育成支援対策推進法の改正〕
- 子どもの健やかな育成等のため、サービスの質を確保
10年後(2019年)の目標
- 保育サービス(3歳未満児)の提供割合20% → 38%
【利用児童数100万人増(0~5歳)】 - 放課後児童クラブ(小学1年~3年)の提供割合19% → 60%
【登録児童数145万人増】
た行
待機児童
たいきじどう
保育に欠ける児童の保育所(認可保育所)入所申請をしているにも拘らず、希望する保育所の施設定員を超過する等の理由で入所できない状態、 またはその状態にある児童のこと。全国の待機児童数は、2018年10月現在で4万7,198人で、昨年と比較し8,235人減少したものの、半数が都市部(埼玉・千葉・東京・神奈川・京都・大阪・兵庫)に集中している。
少子化にも拘らず待機児童が増えている背景には
- 女性の社会進出
- 都市化・核家族化により家庭での子育てが困難
といった理由が挙げられる。
民営保育園が増えている一方、幼稚園の数は減り続けている。
待機児童解消加速化プラン
たいきじどうかいしょうかそくかぷらん
地方自治体に向け、2013年4月に施行されたプラン。2013年度・2014年度の「緊急集中取組期間」と、子ども・子育て支援新制度が施行される2015年度から2017年度末までの「取組加速期間」の計5年間で、新たに50万人分の保育の受け皿を確保し、待機児童解消を図ることとされた。
待機児童解消加速化プランの流れ
- 2013年度・2014年度…約20万人分の保育を集中的に整備できるよう、国として万全な支援
- 2015年~2017年度…更に整備を進め、潜在的なニーズを含め、上記と合わせて約40万人分の保育の受け皿を確保
- 2017年度末…待機児童の解消を目指す
待機児童解消『先取り』プロジェクト
たいきじどうかいしょうさきどりぷろじぇくと
これまでの「待機児童がいるから保育所を整備する」という「後追い」発想から、潜在的な保育ニーズを考慮して待機児童解消を積極的に図る「先取り」発想へと転換したプラン。家族や社会全体で安心して子育てのできる国の実現に向けて、国と自治体が「多様で柔軟な保育サービス」「場所」「人材」の確保と、さまざまな手段を包括的に実施していくことを目指す。2010年11月に施行された。
待機児童解消『先取り』プロジェクトの流れ
- 2011年度…待機児童ゼロに先進的に取り組むモデル自治体で実施
- 2012年度…実施自治体の拡大(対象:待機児童のいる全ての自治体)
- 2013年度以降…「子ども・子育て新システム」の施行
な行
日本こども育成協議会
にほんこどもいくせいきょうぎかい
保育所等、保育事業を行っている民間事業者を中心にし、設立した一般社団法人。次世代を担う子どもたちの健全なる育成と、子どもの心が豊かに育つ社会の実現を目的としている。会員保育所及び保育者の保育の質の向上に向けての研修活動、行政への政策提言に取り組み、日本の保育・保育政策等の調査と研究、それに基づく情報発信・広報活動等を行っている。また、就業支援のための講習及びインターンシップ等も積極的に行っている。2019年7月現在、会員数は183事業者、2,053施設。
一般社団法人 日本こども育成協議会は行
ピアジェ理論
ぴあじぇりろん
「20世紀の発達心理学の父」として世界中の教育に深く影響を与えた心理学者、ジャン・ピアジェ(1896年-1980年)によって考えられた幼児教育理論。「子どもは大人のミニチュアではなく、子どもの発想は子ども自身独自のものである」ということを見出し、子供の発達段階に応じた適切な教育を行おうというもの。
ピアジェ理論の発達段階設
- 感覚運動期 (0~2歳)
- 前操作期 (2~6歳)
- 具体的操作期 (6~12歳)
- 形式的操作期 (12歳以上)
フレーベル
ふれーべる
フリードリヒ・ヴィルヘルム・アウグスト・フレーベル(1782-1852年)は幼稚園の創始者として知られるドイツの教育者、教育思想家。小学校就学前の子どもの教育に一生を捧げた。
保育施設における事故
ほいくしせつにおけるじこ
2018年1月から12月末の間、認可保育所・認可外保育施設で合計1,641件の事故が報告されており、そのうち負傷等の報告は1,632件。最も多かったのは5歳で419名。また死亡事例は9件あり、最も多かったのは0歳と1歳で4名ずつ。事故の発生場所は、施設内の室外(805件)が最も多い。
内閣府 「平成30 年教育・保育施設等における事故報告集計」の公表及び事故防止対策について(.pdf)保育所保育指針
ほいくしょほいくししん
全国の認可保育所が遵守しなければならない保育の基本原則。厚生労働大臣によって保育指針が告示され、全国の公私立保育所においてこの保育指針を踏まえたうえで保育の質の向上をめざして保育しなければならないと定められ、保育所の役割や社会的責任、保育の目標や方法、保育の環境や配慮事項などについて規定されている。児童福祉法最低基準第35条の規定をもとに作成されている。2018年最終改訂。
厚生労働省 保育所保育指針(.pdf)厚生労働省 保育所保育指針解説書(.pdf)保育に関する取り組み事例集
ほいくにかんするとりくみじれいしゅう
2008年7月に政府が決めた「5つの安心プラン」内に盛り込まれた、「未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会」を受け、厚生労働省が発表。「子育てサービス利用における運用改善や兄弟姉妹のいる家庭が利用しやすいサービスの工夫について取り組むこと」を踏まえ、地域の実情に応じて、より利用者の立場に立った、先進的な自治体の取組事例集を取りまとめたもの。
厚生労働省 保育に関する取組事例集(.pdf)保育ママ
ほいくまま
両親の就労等で保育に欠け、かつ保育所に入所できない主に3歳未満の児童を家庭で預かり保育する保育者の通称、または保育施設の総称。 国の要綱(昼間養育運営要綱、家庭的保育等事業実施要綱、家庭的保育事業ガイドライン)に基づいている。保育料やサービス内容は市区町村によって異なるが、自宅などの保育の場を提供できることが必須条件。「保育ママ」という呼称だが男性が従事することも可能。2008年の児童福祉法の改正により家庭的保育事業が法制化され、家庭的保育事業ガイドラインが制定された。
ま行
ムーブメント教育
むーぶめんときょういく
発達心理学者のゲゼルや知能心理学者ピアジェなどによる「子どもが力強い発達をするためには、まず、感覚や運動の育ちに通ずる「からだ」を軸にした教育法が必要である」との理論をアメリカのマリアンヌ・フロスティッグが体系化した教育法。1977年に日本で初めて紹介された。頭だけでなく、身体で人や物との関係や自分の存在を考え、身体を動かすことの喜びと自発性を重視している。
モンテッソーリ教育
もんてっそーりきょういく
「モンテッソーリメソッド」として世界中で支持され、教育界に最も大きな影響を与えた教育法の一つ。20世紀始めにマリア・モンテッソーリ(1870-1952年)によって考案された教育法。日本では1968年に日本モンテッソーリ協会が設立されている。
モンテッソーリメソッドの特徴
- 自由に個別活動
- 子どもの中の自発性を重んじる
- 異年齢混合の縦割りクラス
や行
幼保一元化
ようほいちげんか
近年の少子化、共働き家庭の増加など、子どもを取り巻く環境の変化を受け、2006年に国が制定した「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」により、厚生労働省が管轄する「保育所(保育園)」と文部科学省が管轄する「幼稚園」の2つを一緒にしようというもの。これにより、就学前の子どもを総合的に支援する「認定こども園」の設置も認められるようになった。2012年2月、新たに「こども園給付(仮称)」や「総合施設(仮称)」などの創設が閣議決定し、幼保一元化の施策がさらに拡充される見通しとなった。
今後の幼保一元化の仕組みおよび施設等
- 幼保一元化
- 給付システムの一体化
- こども園給付(仮称)を創設する(給付の一体化・強化)
- 多様な保育事業の量的拡大を図る(指定制度の導入)
- 地域における学校教育・保育の計画的整備を図る(市町村新システム事業計画〔仮称〕の策定など)
- 施設の一体化
- 「総合施設(仮称)」を創設する(学校教育・保育及び家庭における養育支援を一体的に提供)
- 給付システムの一体化
- 地域型保育給付(新設)
- 小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育に対する給付を新設する
- 延長保育事業、病児・病後児保育事業
- 放課後児童クラブ
- すべての子ども・子育て家庭への支援
- 子どものための現金給付
- 地域子育て支援事業(仮称)→ 地域子育て支援拠点事業、一時預かり等
幼保無償化
ようほむしょうか
2019年10月1日(火)より施行。社会保障を全世代型へ抜本的に変え、子育て世帯の負担を軽減することを目的とし、同日施行された消費税率10%への引き上げに伴う増収分の一部が充てられる。幼児教育の無償化は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性や、幼児教育の負担軽減を図る少子化対策の観点から取り組まれる。
3~5歳児(※) | 0~2歳児 | |
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認可保育所・ 幼稚園・ 認定こども園 |
すべて無償 (幼稚園は月25,700円まで) |
住民税非課税世帯を対象として無償化 |
幼稚園の 一時預かり |
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認可外保育施設・ サービス |
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住民税非課税世帯の子どもたちを対象に、月額4.2万円までの利用料が無償化 |
障害児通園施設 | すべて無償 | 無償化実施済 |