- 診療放射線技師
- 一緒に実習する心強い仲間と助け合い、
長い実習を上手く乗り越えてください。 - 新松戸中央総合病院
放射線科
小泉 柊さん - 2019年入職。診療放射線技師としてレントゲン、CT、MRIの撮影を担当するほか、オペ室での術中イメージ、心臓カテーテル検査・治療にも携わる。
実習前に準備しておくことは?
私の大学では、実習の内容を論文形式でまとめて卒論にしていたので、事前にテーマを決めた上で実習に臨んでいました。病院によっては研究に協力してくれるところもあったんです。そのように自分でテーマを決めておくと貴重な時間を有効に使えると思います。何をどれだけ経験させてもらえるのかは施設によって変わってくるので、よく情報収集しましょう。前年度に同じ施設で実習した先輩がいて話を聞けると、いちばん確かですね。
とくに施設の特徴や設備についてあらかじめ調べておくと、スムースに実習に入ることができます。放射線治療を得意とする施設なのか、画像診断に力を入れているのか。ひと通り触ることはできても、機器が古い可能性もあるので、できるだけ自分のテーマに合う実習先を選びます。
チェックリスト
- ● 社会人・医療人としてのマナーや態度
- □ 遅刻・欠席をしない(体調管理も自己責任)。もしもの場合は、必ず連絡を。
- □ 職員・患者に対して、明るい笑顔と明朗な態度で挨拶を。
- □ 課題の提出期限は厳守。
- □ わからないところや困ったことは、まず自分で考えてから質問を。
- □ 病院で知り得たことは、守秘義務として口外しない。
- □ 空いている時間は机に向かうのではなく、見学や質問を。
- □ 積極的な態度・向上心で望むこと。
- □ 教科書でなく、患者さんから学ばせていただいていることを忘れずに。
- □ 目上の人に対する言葉遣い・態度に注意。
- ● 専門的知識(認知領域)
- □ スタッフ間ではできるだけ専門用語を(患者さんには平易な言葉を)。
- □ レポートの文法は分かりやすく、簡潔に。
- □ 課題は提出前に必ずもう一度、誤字・脱字などをチェック。
- □ 基本的知識(解剖学・運動学・生理学・評価法)を理解。
- □略語の辞書・参考書は持って行き、いつでも使えるようにする
実習中の注意点
実習先には、それぞれのルールがあります。そしてそれは守るべき注意点として、最初に指示があるはずです。私はがん研有明病院で実習させていただいたのですが、当然ながら患者さんはがん治療中の方がほとんどです。そういう方の近くで先輩に、「あれ、これは何ですか」なんて聞こうものなら、患者さんは何か悪いものがみつかったのかとドキッとしてしまうのです。だから最初に、「患者さんが近くにいるときは病気のことを聞かないように」と言われていました。だからと言って聞きたいことを聞けないままでは消極的だと思われますし、勉強にもなりません。良きタイミングを見計らうのが大変ですが、積極的に質問する姿勢は意識しましょう。
国家資格を持っていない学生は難しい立場で、患者さんに触れてはいけない、と決めている病院もあります。それぞれの決まりには従います。
実習に取り組む後輩へのメッセージ
私の大学の実習は3年生の後期に3ヶ月のスケジュールでした。実習先には県外の病院もあり、実習のためだけに一人暮らしをしたクラスメイトもいました。今も、そういう人がいるかも知れません。誰もが緊張すると思いますが、長丁場な上に慣れない環境でずっと根を詰めていても集中力が続きません。私は平日も、実習後はサークルの活動に参加して息抜きしていましたが、コロナウイルスのせいで休日に遊びに行くことすら憚られますよね。せめてオンライン飲み会などで気分転換してほしいと思います。
実習生同士は心強い仲間になります。情報を共有して相談しながら、上手く乗り越えてください。他校の学生と一緒になることもあり、話をすると学校それぞれの特長の違いがわかって良い刺激になるし、面白いですよ。実習は、自分の目指す放射線技師の現場を知る良い機会。プレッシャーに負けず、たくさんのことを吸収してください。疲れていても、「こんな撮影をした」という簡単な自分用ノートを作っておくと後々、役立ちます。私も入職後の病院で撮影の仕方が違ったとき、記録をもとになぜなのか先輩に尋ね、新たな知識を得ることができました。実習はその期間だけでなく、入職後の学びにもつながる経験になるのです。
実習の目的と概要
診療放射線技師が活躍する校外の医療施設において、専門家として必要な知識・技術を習得するために臨床実習を行います。各養成校のカリキュラムによって、実習期間や実習施設は異なります。
■臨床実習:1年度ごとに5週間を2回、あるいは卒業年度までに3カ月程度
まずは医療施設で診療放射線技師や関連職種の仕事の様子を見学します。医療現場において画像検査や放射線治療が果たす役割を把握し、診療放射線技師としての基本的姿勢を整えます。
その後、医療施設において、一般撮影やMRI、超音波検査、核医学検査、放射線治療、骨密度測定など、診療放射線技師が担う一連の業務を実施して基本的技術を習得し、情報や精度管理運営に関する知識・分析力、撮影のポジショニングなどを学びます。また、患者さんや他の医療従事者と接するなかで臨床放射線技師としての接遇態度を身に付けます。さらに、スタッフの一員として実務や業務管理を経験することでチーム医療の実際を学び、診療放射線技師としての実践的な能力を身に付けます。