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言語聴覚士

「この人と話すのは楽しい」と
患者さんに思ってもらうことが大切です。
医療法人社団 明芳会 板橋中央総合病院
リハビリテーション科 係長
川口 静さん
2002年入職。実習で学んだ急性期に魅力を感じ、急性期に関わる病院に入職。言語と嚥下のリハビリテーション、サポートチームの中核を担いながら若手の育成にも従事。

実習前に準備しておくことは?

実習生の皆さんにはよく「何の勉強をしていったらいいですか?」と質問されます。でも臨床実習は教科書通りにいかないことばかりなので、教科書の知識に頼りすぎないこと。「習っていない!」とパニックにならないようにしてくださいね。あえて準備というなら、板橋区は高齢化が進んでいる地区で、嚥下障害の疾患が多い傾向にあります。嚥下障害について、事前に知識があるといいかも知れません。

昔の実習は「辛い、きつい」といったイメージがありましたが、私は皆さんが終了時に「楽しかった!」と思えるような実習がいいと思っていますし、スタッフにもそう伝えています。皆さんから寄せられる感想は、私たちにとっての通信簿みたいなもの。実習は学生が一方的に評価される場ではなく、私たちもまた指導者として学ぶ場なのです。「こんな経験をしてみたい」ということがあったら、遠慮なく言ってもらえるとありがたいです。

チェックリスト

● 社会人・医療人としてのマナーや態度
□ 遅刻・欠席をしない(体調管理も自己責任)。もしもの場合は、必ず連絡を。
□ 職員・患者に対して、明るい笑顔と明朗な態度で挨拶を。
□ 課題の提出期限は厳守。
□ わからないところや困ったことは、まず自分で考えてから質問を。
□ 病院で知り得たことは、守秘義務として口外しない。
□ 空いている時間は机に向かうのではなく、見学や質問を。
□ 積極的な態度・向上心で望むこと。
□ 教科書でなく、患者さんから学ばせていただいていることを忘れずに。
□ 目上の人に対する言葉遣い・態度に注意。
● 専門的知識(認知領域)
□ スタッフ間ではできるだけ専門用語を(患者さんには平易な言葉を)。
□ レポートの文法は分かりやすく、簡潔に。
□ 課題は提出前に必ずもう一度、誤字・脱字などをチェック。
□ 基本的知識(解剖学・運動学・生理学・評価法)を理解。
● 専門的技術(精神運動領域)
□ 患者さんに対する接し方(話し方や態度)。

実習中の注意点

当院の患者さんのほとんどが、皆さんよりかなり年上です。言葉遣いをはじめ、人生の先輩として敬意を払うことは意識していただきたいと思います。急性期の病院には、昨日まで元気に社会の第一線で活躍していたのに、脳梗塞で倒れていきなり言葉が出しづらい状態に陥った患者さんが大勢いらっしゃいます。私たち言語聴覚士は、「なぜこんなことに」と涙を流される患者とコミュニケーションをとり、支援します。「この人ならわかってくれる」「この人と話すのは楽しい」と思われなければ、その先には進めません。

円滑なコミュニケーションのために新人時代の私がしていたのが、地図を買って土地の名産やお祭りなどを調べることでした。言語聴覚士は患者さんと最初にフリートークをして、その方の背景に関する情報を収集します。違う世代の人と話すのが苦手という学生さんでも、出身地の話題はとてもいいきっかけで、話が広がっていきやすいのです。楽しく会話をする糸口をいろいろ持っていると強みになります。先輩たちはフリートークからも患者さんの聞き取りにくい音、唇や舌の動き方などを確認していますので、その様子をしっかり見学させてもらいましょう。

実習に取り組む後輩へのメッセージ

あまり気負わず、実習に来てもらえたらいいと思います。実習は、確かに授業で習ったことの答え合わせだったり、授業では学べないことを実地で経験する場だったりしますが、根底にあるのは人との出会いです。「患者さんに会いに行くぞ!」と楽しみにしてくれていたら嬉しいですね。教科書どおりに進むことはほぼないし、リハビリのアプローチの仕方も、この人に合ったから他の人にも合うとは限らない。完璧な答えなんて、ないのです。それを社会に出る前に体験し、予行練習する機会が実習です。

当院の1年〜3年目のスタッフは、コロナ禍で実習ができないまま入職してきました。最初は想定外なことが多くて大変だったようです。実習というのはやはり得難い機会なのだと改めて感じています。無難に上手くやり過ごそうとせず、失敗を恐れず何でもどんどん聞いて貴重な時間を活用してください。スタッフ一同、皆さんを待っています。

実習の目的と概要

言語聴覚士が実際に活躍する校外の医療・教育・福祉施設において、専門家として必要な知識・技術を習得するために臨床実習を行います。各養成校によってカリキュラムに違いはありますが、指導者の助言・監督の下で実施される主な臨床実習は次の3種類です。

■臨床実習I(見学実習):最終学年前年に1日~1週間程度
実際の医療・教育・福祉施設での言語聴覚士や関連職種の仕事の様子を見学します。臨床の実際に触れ、言語聴覚士としての基本的姿勢を身に付けます。

■臨床実習II(評価実習):最終学年前年に4~5週間程度
実際の対象者・対象児に対して言語聴覚療法評価や検査、検査結果の分析を実施し、指導・援助プログラムの立案を行います。

■臨床実習III(総合実習):最終学年に8週間程度
対象者・対象児に対する態度・言葉遣いなどの基本姿勢を整え、評価、検査、結果分析、訓練プラン立案・実施、ケースレポート作成までの一連の業務を実施します。また、各施設での言語聴覚士(部門)の役割を理解し、関連職種との連携を経験して、言語聴覚士としての実践的な能力を身に付けます。

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