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書き方に困ったらチェック!介護記録の基礎講座

介護実習を始めるにあたって、不安を抱く学生さんは少なくありません。特に不安要素として挙げられることが多いのが「実習記録をきちんと作成できるか」。文章が苦手な学生さんほど、意識的に学ぶ必要があります。実習生として真剣に記録物に取り組んだ経験は、プロとして現場に立ったときにも必ず役立つはずです。

※本特集で取り上げる書類の書式や書き方は、あくまで参考として例示するものです。実際の書類作成で迷うこと、分からないことがあれば、担当教員や実習指導者などに相談してください。また、先生方の指導と本特集の内容で異なることがあれば、先生方に従ってください。

第4回 評価・考察の書き方

介護過程における個別支援計画の実践、あるいは介護実習全体について、自ら評価・考察を加えるための書類もあります。それまで行ってきた取り組みを振り返り、次に生かしていくためには、どんな視点で記入していくべきなのでしょうか?

「自分の実践はどうだった?」を検証しよう

何ごとも「やりっぱなし」はよくないものですが、介護実習についても同じことが言えます。介護職として必要な知識や技術、現場感覚などを十分に養うためには、現場で実習に励むことだけでなく、定期的に振り返りの機会を持つことが必要不可欠。掲げた目標に対してどう行動したのか、どんな結果が得られたのかを、しっかりと検証することが大切です。

目標が達成できたのなら、どんな実践が実を結んだのか評価していきます。逆に、目標を達成できなかった場合は、その原因がどこにあるのか探り、反省することが大切です。こまめに振り返りができていれば、実習期間中に計画や言動などを軌道修正し、残された時間をより有効に使うことができるかもしれません。評価・考察に関する書類は、そうしたことにも活用できるわけです。

大切なのは「感想」よりも「考察」

こうした書類を書くときにありがちなのが、単なる感想文になってしまうこと。「〇〇と言われてうれしかった」「〇〇をするのが大変だった」などと個人的な印象や思いだけをいくら書き連ねても、建設的な実習の振り返りにはなりません。「より良い支援のあり方とは?」「さらに学ぶべきことは?」といった点を評価・考察するように意識しましょう。

そのためのキーワードとなるのが「根拠」です。物ごとを正しくとらえ、次に生かせるように検討するためには、根拠となる情報を踏まえることが欠かせません。例えば、用意したレクリエーションに参加しなかった利用者さんについて、「たまたま興味がなかったのだろう」と勝手に想像するだけでは次につながりません。「いつもは参加することが多い?」「その日の体調は?」「自分はどんな声かけをして、それに対する反応はどうだった?」といった情報(根拠)があってこそ、より意味のある評価・考察が可能になるはずです。

考察する実習生

個別支援計画は場面ごとに評価・考察を

介護過程における個別支援計画を振り返るときは、一つひとつの支援内容について、実際の関わりの場面を振り返るように評価・考察していけると理想的です。そのときの様子を思い出しながら、自分がどのように関わったか、それに対して対象者がどんな反応を示したかを書いていきます。また、実践を経ての反省点や、そこから浮かび上がってくる課題についても触れられるといいでしょう。

こうした振り返りを継続的に行うことで、対象者の変化をとらえやすくなり、個別支援計画の有効性もしっかりと評価することができます。さらに、その方にとって特に効果的な支援方法を見出すことにもつながり、実習期間中により良いケアへ修正できることもあります。対象者への理解を深めるという意味でも、介護過程の実践を振り返ることは重要なのです。

振り返りに必要な3つの要素

自らの実践を振り返り、分かりやすく文章にまとめるためには、物ごとを順序立てて整理することが必要です。特に、介護過程全体、あるいは実習全体を振り返るような書類では記入欄が大きいことが多く、思い付いたことをダラダラ書いてしまうと読みづらい文章になりがちです。全体のボリューム感をつかみ、何をどのくらい書くのか簡単に構成を組み立ててから書き出すことをお勧めします。順序立てた整理のためには、次の3点を指針として意識するといいでしょう。

  1. 設定した目標の確認、実際の達成状況(どのように行動したか)
  2. 自らの行動を通して得られた学びや反省点、課題、気付き
  3. 上記をもとに自分がこれから努力すべきこと、学びたいこと

上記3点をしっかりとまとめておけば、書類がレベルアップすることはもちろん、反省会や報告会での発表も行いやすくなるはずです。

やってはいけない!評価・考察のNGポイント

実習を振り返る際にあたって、気を付けたいポイントもあります。1つ目は、「できた/できなかった」という二択だけで達成状況を評価しないこと。こうした極端な評価に終始すると、自らの経験を詳細に振り返ることができません。「できた」のであれば、どんな努力を経て、理想と比べてどの程度が達成できたのでしょうか。また、一口に「できなかった」と言っても、そもそも実施が不可能だった場合と、予定通りの支援を行ったがうまくいかない部分があったのでは、まるで内容が違いますね。

2つ目は、実習先を一方的に評価・批判するような内容は書かないこと。実際の介護現場に立って、理想との違いに気付いたり、悩んだりすることがあるかもしれません。しかし、実習に関する書類は、あくまでも実習生の学びのために作成するもの。実習先の評価・批判を行うことは、そもそも書類の目的にそぐわないといえます。どうしても気になる点があれば、担当の先生方や実習指導者などに直接質問や相談をしてみましょう。そこであらたな知見を得られれば、振り返りに生かせるかもしれません。

評価・考察の記入例とポイント

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介護支援計画振り返りシート
介護支援計画振り返りシート