2 介護記録の基礎講座 - 医療・福祉ナビ - マイナビ2024

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書き方に困ったらチェック!介護記録の基礎講座

介護実習を始めるにあたって、不安を抱く学生さんは少なくありません。特に不安要素として挙げられることが多いのが「実習記録をきちんと作成できるか」。文章が苦手な学生さんほど、意識的に学ぶ必要があります。実習生として真剣に記録物に取り組んだ経験は、プロとして現場に立ったときにも必ず役立つはずです。

※本特集で取り上げる書類の書式や書き方は、あくまで参考として例示するものです。実際の書類作成で迷うこと、分からないことがあれば、担当教員や実習指導者などに相談してください。また、先生方の指導と本特集の内容で異なることがあれば、先生方に従ってください。

番外編:介護書類に関係するスケール

介護書類では、文章による説明だけでなく、各種のスケールで利用者さんを表現することもあります。心身の状態を的確に共有できる方法なので、何を表しているか理解しておくことが大切です。ここでは、介護書類に関係する代表的なスケールをご紹介します。

日常生活自立度のスケール(障害高齢者、認知症高齢者)

日常生活自立度は、要介護認定の大きな判断基準となるスケールで、介護保険申請時の面談などを通して判定されます。障害や認知症を抱えた高齢者が、どれだけ自身の力で日常生活を送れるかレベル分けして表します。

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)
ランク身体・介護の状態
生活自立J何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており、独力で外出する
1. 交通機関などを利用して外出する
2. 隣近所へなら外出する
準寝たきりA屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない
1. 介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する
2. 外出の頻度が低く、日中も寝たり起きたりの生活をしている
寝たきりB屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ
1. 車いすに移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う
2. 介助により車いすに移乗する
C一日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する
1. 自力で寝返りを打つ
2. 自力では寝返りも打てない

※例えば、寝たきりに該当するCランクで、自力で寝返りが打てない人の場合、「C2」「C-2」と表現される。

認知症高齢者の日常生活自立度
ランク判断基準みられる症状・行動の例
何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している
日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる
Ⅱa 家庭外で上記Ⅱの状態がみられる たびたび道に迷う、買い物や事務、金銭管理など、それまでできたことにミスが目立つ
Ⅱb 家庭内でも上記Ⅱの状態がみられる 服薬管理ができない、電話の応対や訪問者の対応などが困難で一人で留守番ができない
日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さがみられ、介護を必要とする 着替え、食事、排便・排尿が上手にできない(時間がかかる)、やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声・奇声をあげる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為 着替え、食事、排便・排尿が上手にできない(時間がかかる)、やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声・奇声をあげる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為
Ⅲa 日中を中心として上記Ⅲの状態がみられる ランク Ⅲ に同じ
Ⅲb 夜間を中心として上記Ⅲの状態がみられる ランク Ⅲ に同じ
日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、常に介護を必要とする ランク Ⅲ に同じ
M 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患がみられ、専門医療を必要とする せん妄、妄想、興奮、自傷・他害などの精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態

認知症に関するスケール(改訂長谷川式簡易知能評価スケール、MMSE)

認知症の検査方法には様々なものがありますが、医療従事者などからの質問に対してどれだけ正確な回答ができるか調べる以下の手法が、スクリーニングとして広く用いられています。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
  • 精神科医である長谷川和夫氏が1974年に開発(1991年に一部改訂)し、認知症診断における「ものさし」として全国的に普及している。
  • 「今日は何年の何月何日、何曜日ですか?」「100から7を順番に引いてください」といった9つの質問項目があり、記憶障害や見当識障害の有無、計算能力などをチェックする。
  • 30点満点中で20点以下の場合は「認知症の疑いあり」とされる。
MMSE(ミニメンタルステート検査)
  • 米国のフォルスタイン夫妻が1975年に公表したもので、認知症スケールとして世界で最も使われている。
  • 見当識や即時想起などに関する質問のほか、文章を読んで指示に従う、図形を書き写すといった検査項目がある。
  • 30点満点中で27点以下の場合は「軽度認知症の疑いあり」、24点以下の場合は「認知症の疑いあり」とされることが多い。

褥瘡リスクに関するスケール(ブレーデンスケール)

要介護状態の高齢者では、褥瘡の発生リスクが高まります。しかし、褥瘡は「できてから治療する」よりも「できないように予防する」ことが重要だとされています。そこで、褥瘡の発生リスクに関するスケールを活用し、定期的なアセスメントと予防的ケアを行うことが求められます。

褥瘡の予防のため体位変換する様子
ブレーデンスケール
  • 1986年に米国のブレーデン博士らが開発した、褥瘡発生予測のためのスケール。
  • 「知覚の認知」「皮膚の湿潤」「活動性」「可動性」「栄養状態」「摩擦とずれ」という6項目を、それぞれ3~4段階で評価する。
  • 病院では14点、施設や在宅などでは17点以下で褥瘡が発生しやすいとされる(点数が低いほどリスクが高い)。

排泄に関するスケール(ブリストルスケール)

高齢者の排泄について的確に情報収集・共有することは大切ですが、排泄物の状態をどのように表現すればいいか迷う場面もあるでしょう。そこで便利なのが、大便の形状や硬さを7段階に分類するブリストルスケールです。一般的に、タイプ1~2は便秘の便、3~5は正常範囲にある便、6~7は下痢の便とみなされます。

ブリストルスケール
タイプ1コロコロ便:硬くコロコロした、ウサギのフンのような便
タイプ2硬い便:短く固まった硬い便
タイプ3やや硬い便:表面にひび割れのあるソーセージ状の便
タイプ4普通便:表面が滑らかで軟らかいソーセージ状、あるいは蛇のようなとぐろを巻く便
タイプ5やや軟らかい便:形はあるが軟らかい、半固形状の便
タイプ6泥状便:境界がほぐれて、ふにゃふにゃした不定形の便
タイプ7水様便:水のようで固形物を含まない、液体状の便