歴史
国内にエックス線(俗にいうレントゲン)技術が導入されたのは明治時代のこと。当時からエックス線技師は存在したが、医療現場ではエックス線撮影は医師が行っていた。その後、エックス線を医療の分野で活用すべく、1951年に診療エックス線技師資格制度が制定。さらに、機器の進歩に合わせ、エックス線以外の放射線も扱える資格として1968年に診療放射線技師資格が制定された。今では診療エックス線技師資格は廃止され、診療放射線技師資格に一本化されている。
仕事の内容・特長
レントゲンと呼ばれる一般エックス線撮影装置やCT(コンピュータ断層撮影。エックス線を用いて身体の断面が撮れる)などの放射線装置を使い、検査を行うのが診療放射線技師の仕事。医療において放射線を使う行為はもともと医師が担当していたが、医療の専門化が進んできたこともあって、現在放射線を使った機器の操作は、高度な放射線検査の技術を身に付けた診療放射線技師がもっぱら行っている。
放射線装置といえば、前述の一般エックス線検査、CT検査のほか、微量の放射性物質を含む薬を用い臓器の働きを調べ、がんの診断にも有効なRI検査(ラジオアイソトープ検査)などの機器も取り扱っている。さらに、磁石と電波を使って身体の断面を撮影する磁気共鳴画像診断装置(MRI)、超音波診断装置、眼底写真撮影装置といった放射線を使わない装置についても診療放射線技師が操作を行える。また、がんに放射線を照射する放射線治療については、医師を除けば診療放射線技師だけが担当することができ、多種多様な機器の操作が求められている。微量とはいえ、エックス線や放射性物質の取り扱いには危険が伴う。患者や作業にあたる職員の被ばく量の管理、放射性物質の安全な保管も任されており、その業務は多岐にわたる。
1日の仕事の流れ
8:30~9:00 |
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9:00~12:00 |
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12:00~13:00 |
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13:00~15:00 |
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15:00~17:00 |
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17:00 |
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求められる資質
- ● 幅広い知識を習得しようとする積極性
- 放射線に関する専門知識だけでなく、医学・生理学・解剖学などの知識、コンピュータに関する知識など、幅広い知識の習得と学習が求められる。
- ● 患者への気配りができる会話術
- 検査に不安を感じる患者と直接接する機会も多く、相手の気持ちを和らげる気配りや会話術は重要。
- ● 細かな操作に対応できる繊細さと慎重に業務に向き合う冷静さ
- 取り扱う機器は細かな操作を要求される精密機器なため、繊細さや慎重さは大切。また、危険な物質を取り扱う現場なので、常に冷静で慎重に業務を行うことが求められる。
主な勤務先
主な勤務先は病院や診療所になるが、医療機器メーカーの開発部門、原子力発電所、検査機関などもある。
- ● 一般病院や診療所などの医療機関
- ● 医療機器メーカーや専門商社
- ● 原子力発電所
- ● 各種検査機関
参考データ
平均年齢 | 41.4歳 |
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勤続年数 | 13.0年 |
労働時間 | 163時間/月 |
超過労働 | 8時間/月 |
月額給与 | 372,900円 |
年間賞与 | 1,012,300円 |
平均年収 | 5,487,100円 |
※ 厚生労働省【令和2年賃金構造基本統計調査】
将来性
放射線装置を使った検査は医療機関ではなくてはならないもの。進歩の著しい医療技術の中でも放射線の医療への応用は活発で、医師や歯科医師以外で唯一放射線装置を取り扱える診療放射線技師への期待は大きい。また、検査だけでなく放射線治療装置の操作を担当できることもあり、医療現場や研究機関でのニーズは非常に高い。一方で、常に最先端の技術や知識を習得することも求められている。
仕事研究