歴史
社会福祉という言葉が初めて登場した法律は日本国憲法。そのため、福祉にかかわるさまざまな法律が制定されている。戦後まもなくは社会福祉といえば経済面での援助が中心で、その専門職として社会福祉主事がその任にあたっていた。しかし、高齢化や社会が変化するにつれ福祉に関する問題は多様化。経済面の援助だけでは解決できず、社会福祉を担う専門家が求められ、1987年に社会福祉専門職制度が制定。国家資格としての社会福祉士が誕生した。
仕事の内容・特長
社会福祉士は、精神保健福祉士、介護福祉士とともに福祉の代表的国家資格(通称三福祉士)の1つで、ソーシャルワーカーともいわれている。社会福祉士の仕事は、身体的あるいは精神的な障がい、環境上の理由などが原因で、日常生活に何らかの支障がある高齢者や障がい者、子どもなどの相談にのったり、助言や指導を行ったりすること。まずは、利用者本人や家族と面談し、どのような要望があるのか、それに対してどういった福祉サービスを提供できるのかを具体的に相談し、個別の支援計画書を作成する。
1人ひとりにあったサポートの方法を考え、日常生活の質の向上を目指す。そのうえで、補助金の受給や施設への入居、補聴器や車いすなどの支給、介護士の派遣などの福祉サービスを受けられるよう援助を行うことで問題の解決を図る。なお介護福祉士は、高齢者や身体が不自由な利用者に対し身体を使って、食事や入浴介助、トイレ介助などを行うのが主な仕事。一方、社会福祉士は、相談・助言・指導といった福祉全般の相談業務が中心となる。高齢化社会が進む中で、何らかの支援を必要とする人は増加しており、社会福祉士の役割も増大している。
1日の仕事の流れ(病院勤務の場合)
8:30~9:30 |
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9:30~12:00 |
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12:00~13:00 |
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13:00~16:00 |
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16:00~17:00 |
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17:00 |
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求められる資質
- ● 人と接することが得意
- 利用者や家族と、さまざまな社会福祉施設や行政機関との橋渡し的な業務が多い。人と接することが苦手では務まらない。
- ● 信頼関係を築ける気配りと問題を解決しようとする積極性
- デリケートな問題を抱える相談相手も多く、最適な支援や助言を行うには相手との信頼関係が欠かせない。相手の話をしっかりと聞き、ニーズをくみ取りさまざまな角度から問題解決にあたる積極性も求められる。
主な勤務先
社会福祉施設や社会福祉協議会で勤務する人が多い。他には医療機関や福祉事務所など。中には独立して事務所を開設する人もいる。
- ● 老人ホームやデイサービスセンターなどの高齢者福祉関連施設
- ● 障がい者福祉関連施設
- ● 各地域の社会福祉協議会
- ● 児童相談所や児童福祉施設、学校
- ● 福祉事務所
- ● 医療機関
- ● 福祉関連企業
- ● 独立型社会福祉士事務所
参考データ
推定平均年収 | 300~450万円(諸手当を含む) |
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※マイナビ編集部調べ
都道府県など地方自治体が設置した社会福祉施設や学校、行政機関ならば公務員規定に準じた給与になるが、社会福祉士は活躍の場が幅広いため、勤務先によって給与のばらつきが大きい。
将来性
国内では高齢化社会が進み、かつ、利用者のニーズも多様化しており、さまざまなニーズに的確に対処できる質の高い人材の確保は急務ともいえる。そこで幅広い福祉に関する専門職である社会福祉士への期待は大きい。民間でも介護や福祉サービスに乗り出す会社は多く、こうした分野での活躍領域も拡大している。また、要介護者への支援に特化したケアマネージャーの資格も新たに取得したり、地道に地域での活動を行うことで、独立して自分の事務所を持ち活躍する人も少なくない。
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