U・Iターン就職のメリット・デメリット
仕事や暮らし方、人間関係など、多角的に考えてみよう

就職先を決める際には、さまざまな角度から検討することが大事です。U・Iターン就職の場合、生活環境も変わるので特に重要です。どのようなメリット・デメリットがあるのか、仕事や生活、人間関係など、多方面から考えてみましょう。
U・Iターン就職のメリット
メリット1 通勤のストレスが少ない
地方で就職した場合、通勤のストレスをあまり感じずに過ごせます。一方、東京で就職すると、満員電車での通勤を強いられる可能性が高いでしょう。郊外に住んでいると通勤に1時間半以上かかることもめずらしくありません。しかし地方では、車で通勤できるケースも多く、自由に使える時間が増えたり、通勤時間が短くなったりします。
メリット2 自然が豊富
「U・Iターン就職の基礎知識」でも紹介したように、地方の特徴として多くの人が挙げているのは、自然が豊かで空気が綺麗なこと。生活環境は重要です。美しい自然に囲まれていると都市生活よりもストレスを感じにくく、精神的にも快適に過ごせるかもしれません。
メリット3 生活コストが低い
暮らす場所にもよりますが、地方は大都市より生活コストが低い場合が多いです。光熱費や物価はそれほど変わらなくても、家賃は大きく違います。東京23区と地方都市では倍以上の差があるといわれています。一人暮らしをする人は、検討しておくべき重要な問題です。
メリット4 人と仲良くなりやすい
地方は都会と比べて相対的に人口が少ないので、1人の人と触れ合う密度や頻度が高くなります。趣味嗜好が似ている人が同じような場所に集まる傾向も強いため、人と仲良くなりやすいというメリットがあります。人間関係は、暮らしていくうえでとても重要なポイントです。
メリット5 ワークライフバランスを充実させやすい
業種によっても異なりますが、地方の企業は大都市と比べて長時間労働が少ないケースが多いです。地方は時間の流れがゆっくりしているため、仕事のスピード感は遅くなるものの、ワークライフバランスを充実させやすいこともメリットの一つといえるでしょう。
U・Iターン就職のデメリット
デメリット1 車がないと生活が不便
地方では、どこに行くにも車が必要です。交通網が発達している地方の大都市以外は、車は生活の必需品。U・Iターン就職をする場合には、自動車免許は取得しておいた方がいいでしょう。地方では駐車場の料金も安いところが多いので、車さえあれば不便を感じることなく過ごせます。
デメリット2 交友関係が固定化しやすい
地方は都会と比べて人口が少ないので人と仲良くなりやすい反面、交友関係が固定化しやすい傾向があります。Uターン就職は古くからの付き合いの友達に会えることがメリットにもなりますが、ビジネスパーソンとして成長していくためには、交友関係の幅を広げることも大切です。
デメリット3 地域の風習に馴染めるかどうか
地方には、それぞれの地域に独特の風習があります。Uターン就職の場合はともかく、Iターン就職をする場合には、その地域の風習を調べておいた方がいいでしょう。地方で就職する場合には、異なる環境に対する適応性も考慮すべき大事なポイントです。
デメリット4 地域によっては生活インフラが不安定
生活インフラは、大都市の方が安定しています。電柱が地中化されていたり、川の氾濫時の対策として出水口が地下にあったりするので、天災が起こった際にも復旧しやすい環境が整っています。一方、地方の場合、地域によっては停電が1週間以上続くようなこともあります。
デメリット5 学習の機会に乏しい
東京などの大都市では、会社の枠を超えた勉強会やイベント、コミュニティーが数多くありますが、地方では会社以外の場所で学ぶ機会が多くはありません。ただし近年は、地方都市でもそういった勉強会やイベントなどが増えてきており、学習環境は変わりつつあります。
学生がU・Iターン就職に望むものとは?
地方で働くことにはデメリットもあるにもかかわらず、興味を持っている学生が多くいるのはなぜでしょうか。マイナビが、2023年3月大学卒業予定者を対象に行った「実現すれば地元就職するかもしれないもの」というアンケート調査の結果を見てみましょう。
最も多かった回答は「働きたいと思うような企業が多くできる」(43.3%)でした。以下、「給料がよい就職先が多くできる」(41.5%)、「地元に結婚したいと思う相手ができる」(25.2%)、「志望する職種に就けるようになる」(23.1%)、と続きます。実は近年、これらの希望の多くは実現しつつあるのです。
大手企業や人気企業が地方に続々進出。国もU・Iターン就職を支援
2019年4月に世界最大級の総合コンサルティング企業が、福島県会津若松市に移転を発表。地方が抱える課題を解決する地方創生モデルの構築を目指すと発表し、大きな話題になりました。また、外資系大手企業や日本の有名IT企業も地方にどんどん進出し、仙台や福岡といった地方都市に拠点をつくっています。
一方、地方創生を推進する政府も、U・Iターン就職の支援を表明しています。企業・就業者創出を掲げ、全国規模のマッチング支援とともに、東京圏から地方への移住者の経済負担を軽減する施策を打ち出しました。このように、地方を取り巻く現状は、まさに今、変わり始めているのです。
監修者プロフィール
- 沢渡 あまね(さわたり あまね)
- 作家/ワークスタイル&組織開発専門家。『組織変革Lab』主宰。DX白書2023有識者委員。あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/浜松ワークスタイルLab所長/国内大手企業人事部門顧問ほか。日産自動車,NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で,働き方改革,組織変革,マネジメント変革の伴走・講演および執筆・メディア出演をおこなう。著書は『職場の問題地図』『新時代を生き抜く越境思考』『どこでも成果を出す技術』『バリューサイクル・マネジメント』『仕事ごっこ』『業務デザインの発想法』(技術評論社)ほか多数。
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