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マスコミ(出版・広告)業界

業界の現状と展望

新しいメディアを上手に取り込むことが成長のカギ

出版市場全体は3年連続で前年比プラス

さまざまなジャンルの書籍や雑誌を発行するのが、出版業界の主な仕事。出版社がつくった書籍や雑誌などは、「取次」といわれる書籍や雑誌の流通専門会社を通じて、書店に配本される。
公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の調査によれば、2022年の書籍・雑誌を合わせた紙+電子出版物推定販売額は、前年比2.6%減の1兆6,305億円と、4年ぶりでマイナスとなった。紙出版市場は同6.5%減の1兆1,292億円、例年2桁成長を続けていた電子出版市場にもブレーキがかかり、同7.5%増の5,013億円にとどまったことも影響した。

紙出版市場では、書籍が同4.5%減の6,497億円、雑誌も同9.1%減の4.795億円とマイナスになった。書籍は、これまで好調だった文芸書、児童書、学参、資格試験などの売れ行きが鈍化。また、22年に一番売れた『80歳の壁』でも、発行部数が60万部弱と年々その規模が縮小。またヒットする本の主要な購買層がシニア頼みになっているのも懸念材料だ。

雑誌は、コミックスが2桁減と大きく落ち込んだこともあり、月刊誌(コミックス、ムック含む)は同9.7%減の4,017億円、週刊誌は同5.7%減の778億円。20年の『鬼滅の刃』、21年の『呪術廻戦』と『東京卍リベンジャーズ』の大ヒット作が売上に貢献した年と比べると、ヒット作の数も部数規模も及ばなかった。

拡大が期待される電子書籍市場だが課題も

電子書籍とは、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などにダウンロードして読むデジタルデータ書籍のことだが、専用端末も発売されて普及に拍車がかかりつつある。
近年は無料でマンガを読めるアプリやサービスの利用も拡大。これらのアプリでは、無料連載でユーザーを集めて、広告収入、有料販売、課金といったいくつかのビジネスモデルを組み合わせて設計されており、市場拡大が期待されている。

2022年の電子出版市場は、前年比7.5%増の5,013億円。電子コミックが同8.9%増の4,479億円、電子書籍が同0.7%減の446億円、電子雑誌が同11.1%減の88億円だった。これまで2桁増で成長してきた電子出版市場だが、2022年は伸び幅が縮小。出版市場において電子出版が占める割合は30.7%と3割を超えたものの、成熟期に入った感もあり、今後は価格面やサービス面でいかに力を発揮できるかが、さらなる成長のカギになりそうだ。

電子書籍の普及は、出版社側にとって印刷や製本、流通などにかかっていたコストを大幅に削減できるメリットがある一方で、新たな課題を抱える要因ともなっている。
一つは、著作権者の許可なくアップロードされたマンガが読める、ネット上にはびこる海賊版サイトリーチサイトの存在。各社は違法サイト撲滅に向けて様々な対策を行っている。国内最大級の海賊版サイトと言われた「漫画村」は対策が功を奏し閉鎖されたが、海賊版サイト運営者が海外を拠点にしていることも多く、出版社と海賊版サイトとのいたちごっこは続いている。

もう一つは、電子書籍の普及でこれまでの流通システムが不要になること。書店や取次業者にとっては、これまでの取引を失う可能性のある死活問題。いずれも、解決しなければならない大きな課題だ。

好調なネット広告にも支えられ、広告費は過去最高水準に

大手広告代理店の電通が発表した「2022年 日本の広告費」によれば、2022年の日本の総広告費は、前年比4.4%増の7兆1,021億円と2年連続のプラス成長。1947年に広告費の推定を開始して以降、過去最高の数字となった。
新型コロナウイルスの再拡大や、ロシアによるウクライナ侵攻、円安や資源高による物価高騰などの社会的影響もあったものの、社会全体がデジタル化に向かう流れもあり、インターネット広告費が前年比14.3%増の3兆912億円と伸長し、初の3兆円突破となった。

これまで広告業界を牽引してきた、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ(地上波テレビ・衛星メディア関連)のマスコミ四媒体広告費は、前年比2.3%減の2兆3,985億円とマイナス成長となった。四媒体の中で、前年を上回ったのはラジオだけで、前年比2.1%増の1,129億円。新聞は同3.1%減の3,697億円、雑誌は6.9%減の1,140億円、テレビは同2.0%減の1兆8,019億円(地上波テレビは同2.4%減の1兆6,768億円、衛星メディアは同3.5%増の1,251億円)となった。

2022年は、全体としては、「北京2022冬季オリンピック・パラリンピック」や「FIFAワールドカップカタール2022」、さらに国内のプロ野球、ゴルフトーナメントなどの大型スポーツ大会や様々なイベントも開催され、プラス要素も多かった。ただ、2021年は「東京2020オリンピック・パラリンピック」が全国的に大きな盛り上がりを見せたことに加えて、「FIFAワールドカップカタール2022」のアジア最終予選もあり、マスコミ四媒体広告費への出稿増が大きく、2022年はその反動減を打ち消すほどの需要増とはならなかった。

マスコミ四媒体のうち、雑誌広告費は前年比6.9%減の1,140億円。雑誌、書籍とも出版物自体の発行部数が減少傾向にあることに加え、これまで二桁成長を続けていた電子出版の売上高は5,000億円を突破したものの、2022年は成長率が同7.5%増に鈍化したこともあり、雑誌広告は、年間を通じて前年を下回る結果となった。
業種別では、前年よりも増加したのは、交通・レジャー(前年比111.2%増)のみで、その他の業種では、すべて前年を下回った。減少したのは、出版(同24.1%減)、薬品・医療用品(同17.32%減)、化自動車・関連品(同16.1%減)、粧品・トイレタリー(同15.8%減)、自動車・関連品(同12.8%減)などがある。

また、屋外や交通、折込、イベントといったプロモーションメディア広告費は、前年比1.7%減の1兆6,124億円となった。コロナ禍からの回復や行動制限の緩和、全国旅行支援の実施などもあり、イベントや従来型の広告販促キャンペーンなどの再開はあったが、通年では前年を下回る結果となった。中には屋外(前年比3.1%増)、交通(同1.0%増)、折込(同0.8%増)のように前年を上回るものもあったがDM(1.9%減)、フリーペーパー(2.6%減)、POP(3.8%減)、イベント・展示・映像ほか(7.5%減)は、前年を下回る結果となった。

 

業界関連⽤語

運用型広告

広告主が広告枠を買い取って広告を掲載する純広告に対して、運用型広告は、1回の広告表示に0.1円、あるいは1回のクリックに1円といった具合に入札を行う。入札によって広告枠の金額が変動することが特徴で、いつでもリアルタイムに入札額、予算、広告出稿内容、配信量、配信地域、配信期間、ターゲティングなどを変更できる。なお商品を記事コンテンツとして掲載するタイアップ広告や、サイト内で広告主の商品を紹介し一定の成果があった場合に報酬を受け取れるアフィリエイト広告運用型広告には含まれない。

また、掲載金額、期間、出稿内容(掲載面、配信料、掲載内容など)が、あらかじめ定められている広告を予約型広告リザベーション広告という。

ZINE

「Magazine」の「zine」に由来していると言われ、日本語では「ジン」や「ザイン」と言われる。自由なテーマで体裁も自由、手作りの小部数雑誌や紙媒体のことで、ある意味マスメディアとは対極にある。同人誌ミニコミ誌なども同様の系譜にあるが、同人誌ミニコミ誌は、漫画やイラスト、小説が中心の自主制作の本が多い。一方で、ZINEのテーマや体裁は全くの自由。ポートフォリオ代わりに使う場合もあれば、写真やイラストなど、ポップで自由で開放的という特徴がある。

3Bの法則

広告などの注目率や閲読率を高めるのに効果的とされる有名な手法。広告などに、Beauty(美女)・Baby(赤ちゃん)・Beast(動物)を使うと目を引きやすく、好感を持たれやすいという法則。

カリギュラ効果

同じく広告などに用いられる手法。情報の閲覧や接触を禁止されると、かえって見たくなるという心理を利用した広告手法。
ローマ皇帝カリギュラをテーマにした映画の内容があまりにも過激なため、各地で上映禁止になり、かえって話題になったことにちなんでいる。

ティザーサイト

tease(閲覧者を焦らす)という言葉の通り、情報を小出しにして詳細を知らせず、見た人に好奇心や興味を抱かせる広告の手法を取り入れたサイト。一定期間が過ぎると種明かしされる。主として雑誌や書籍、映画やTV番組、ゲームソフトやデジタル製品、パソコン関連製品などに開設されることが多い。

ステルスマーケティング(ステマ)

消費者に広告や宣伝であることを気付かれないように行うマーケティングのこと。その手法や規模はさまざまで、中には組織立って大量の人員を動員して行われたことや、架空の評論家を仕立てて自社の商品を絶賛させるということもあった。近年はブログやインターネット上の口コミサイトに書き込まれた情報が、実は広告宣伝だったという例もある。

時限再販・部分再販

著作物の再販制度(再販売価格維持制度)とは、独占禁止法でも認められている制度で、出版社は本や雑誌の定価を決めて、小売書店などで、定価で販売することができる制度。時限再販とは、一定期間は出版社が決めた定価で販売し、その期間が経過した後は割引するなどした価格で販売できる方法で、返品率を低くする効果が見込まれる。また、部分再販とは、新刊発行時から小売価格を拘束せずに自由価格で販売する方法のこと。
なお、電子書籍は、再販制度の対象とならない。

どんな仕事があるの︖

出版業界の主な仕事

・書籍編集
企画を立て、著者に依頼し、必要に応じてフォトグラファー、デザイナーなどと連携を取り、仕上がった原稿の校正を行う。大抵の場合、編集者一人で1冊を担当する。

・雑誌編集
ライター、フォトグラファー、デザイナーなどと連携を取り、雑誌のページをつくる。自ら取材・執筆することもある。

・進行管理
印刷会社とのスケジュールの交渉や調整、出版物が出来上がるまでの制作スケジュールを管理する。

 ・広告営業
雑誌に掲載する広告を集めるため、スポンサー企業へのセールスを行う。最近はタイアップ記事も多い。

広告業界の主な仕事

・営業
クライアント(広告主)との連絡を担当。仕事の受注、スタッフ編成、制作全体の管理を行う、プロジェクトリーダー的存在。

・プランナー
広告の企画から関わり、その制作全体を統括する。営業と協力して指揮を執るが、こちらはよりクリエーティブ(制作現場)に密着した部分を受け持つ。

・メディア
テレビ、新聞、雑誌のメディアや交通広告、屋外看板などの広告枠を買い付ける。メディアごとの広告効果なども調査・分析する。

・マーケティング
クライアント企業やその商品に関する調査を行い、広告戦略を立てる。

・コピーライター
その広告の内容を最もよく伝え、最も人々にアピールするコピーを考案する。

・グラフィックデザイナー
ポスターや雑誌掲載の広告など、グラフィック広告に関するデザインを担当する。アートディレクターになると広告の立案、フォトグラファーやモデルの選定まで任される。

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マスコミ(出版・広告)業界の企業情報

※原稿作成期間は2022年12⽉28⽇〜2023年2⽉28⽇です。

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