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プラント・エンジニアリング業界

業界の現状と展望

社会・経済に大きな影響があるプラント・エンジニアリング

社会・経済に大きな影響があるプラント・エンジニアリング

プラントは、石油やガスなどのエネルギー、化学、医薬、金属など、社会や経済を支える重要な物資の生産設備。プラント・エンジニアリング業界では、国内外の企業から石油精製、化学、製鉄、発電などのプラントを対象として、企画、設計、調達、施工、管理を一括して請け負う。

巨大なプラントになれば、一国の経済を発展・加速させ、社会生活に大きな影響を与えることもある。また、海外におけるプラントの建設を通じて、世界のエネルギーの安定供給や産業の高度化などにも寄与している。

国内では日揮ホールディングス、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの3社が御三家としてよく知られている。

再生可能エネルギーなど海外でエネルギー価格上昇に伴う新規投資が順調

高い競争力を持ち、世界でも優位性を認められる日本の環境技術は注目されており、各種環境関連プラントは産油・産ガス国やアジアなどで旺盛な受注活動を展開している。
老朽化した国内インフラの整備や、海外へのインフラ輸出、エネルギーや水処理設備などの需要は高まりつつある。また、エネルギーの貯蔵やリニアモーターを使った物流システムの構築のほか、多用途での利用が期待できる大深度地下空間の開発や海洋開発など、将来にわたってプラント・エンジニアリング会社が活躍できるフィールドは広い。

コロナ禍で一時的に急落した原油価格も上昇。原油を含めた資源価格の上昇で、資源関連企業の投資意欲は改善し始めた。さらに、世界的な脱炭素化を受けて多くの企業は産業構造の転換を求められている。カーボンリサイクルやカーボンニュートラル技術、太陽光洋上発電水素アンモニアといった環境に優しい新エネルギー領域への取組みは、プラント・エンジニアリンsグ業界の成長力を大きく左右することになりそうだ。
2022年4月に、業界大手の日揮ホールディングスと東洋エンジニアリングは、燃料用アンモニア製造工場を共同で建設すると発表。ライバル会社同士が、大きな特定分野で全面協力するのは珍しいともいわれており、本気度がうかがえる。燃料用アンモニアは、燃焼しても二酸化炭素を排出しないことから、脱炭素の切り札のひとつとしての期待も高い。他方、IHIとアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)ガスパワーは、低炭素社会の実現をめざし両社が協力。発電分野における温室効果ガス(GHG)排出ゼロの達成に向けて、大型重構造型ガスタービンに適用するアンモニア燃焼技術を開発するための覚書を締結したと発表している。

プラント・エンジニアリング業界の課題

成長への期待が高い一方で、プラント・エンジニアリング業界は、海外のライバル会社との価格競争激化など課題も多く、多くの企業が(外国人も含めた)「労働力・人材の確保」を経営課題に挙げている。巨大プラント工事が、熟練労働者の人手不足や賃金上昇などの理由で予定通りに工事が進行せず、巨額な追加費用が発生し大きな損失を抱えるケースもあり、徹底した工期や費用の管理が求められている。人材の確保と同時に、AIドローンなどの最新のデジタル技術を積極的に活用して新たな価値を生み出す、デジタルトランスフォーメーションの推進も急務だ。
こうした中で、2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻。ロシアは欧州各国にパイプラインを通じて、大量の天然ガスを供給していたため、エネルギー危機が発生。天然ガスの調達に不透明感が漂い、世界各国はエネルギーに対する安全保障の重要性を強く認識することとなった。中長期的にも脱炭素への移行期の中で重要とされるLNG(液化天然ガス)の確保は急務であり、プラントの設計や建築などプラント開発は拡大、エネルギー安全保障への投資は活性化しそうだ。

業界関連⽤語

工場夜景

神秘的な暗闇の中でわずかな光が映し出す、圧倒的な存在感とSFのような非現実的な世界。石油コンビナートや製鉄会社を中心とした巨大工場の工場夜景の人気が高まっている。夜間の工場を撮影したり見学したりするだけでなく、旅行会社が主催するクルーズツアーや各地を回るパッケージツアーに参加する人も増えている。なかでも、北海道室蘭市や神奈川県川崎市、三重県四日市市、福岡県北九州市、山口県周南市は五大工場夜景エリアとして人気が高い。

洋上LNG(Liquefied Natural Gas=液化天然ガス)プラント

海洋ガス田では、洋上で取り出したガスを陸上にあるLNG液化プラントまで送る海底パイプラインが必要なため、ガス田の規模やガス田までの距離、水深によっては敷設が困難だったり、採算が成り立たなかったりする場合もあった。
そうしたガス田の開発手段として有望視されているプラントの1つが、液化プラントを洋上に設置するLNG FPSO (Floating Production, Storage and Offloading System)。ここでは、洋上で取り出したガスをその場で液化、LNGを生産し、積み出すことが可能になる。

動脈産業と静脈産業

採取もしくは輸入した資源を加工して、新たな製品を製造し流通・販売する産業のことを、酸素や栄養を運ぶ動脈の働きに例えて「動脈産業」、一方で不要になり回収した製品をリサイクルする産業を、老廃物や二酸化炭素を回収する静脈の働きに例えて「静脈産業」と呼んでいる。
これまで「静脈産業」は、廃棄物処理の延長線上にとらえられることが多かったが、今では新たな成長分野の産業として、政府も活動をバックアップしている。

水ビジネス

世界的な人口増加に伴って水資源の需要は増加。また、下水道の不備や水質汚染も深刻化しており、水の需給バランスは悪化している。そのため、各国で水インフラの整備が進められており、上下水道にかかわる水ビジネスは世界中で注目されている。
経済産業省の「水ビジネス海外展開」によれば、世界の水ビジネスの市場規模は、2030年には112.5兆円に到達するとしている。政府も水分野における海外展開に期待を寄せており、動向が注目される。

CCSとCCUS

いずれも、二酸化炭素の排出量を削減するための取組み。CCSは、Carbon dioxide Capture and Storageの略で、二酸化炭素回収・貯留技術と呼ばれている。発電所や化学工場などから排出された二酸化炭素を、他の気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入する技術で、海外ではすでに商用規模のCCS施設が稼動している。CCUSは、Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略で、分離・貯留したCO2を利用する取組み。アメリカでは、古い油田に二酸化炭素を注入することで、残った原油を圧力で押し出しつつ、二酸化炭素を地中に貯留するというCCUSがビジネスとして実用化されている。

DAC

DAC(Direct Air Capture)は、吸着剤などを用いて、大気中に含まれる二酸化炭素を直接回収する技術のこと。すでに実用化が進んでいる国もあり、日本でも実用化に向けた本格的な研究開発に取り組んでいる。

どんな仕事があるの︖

プラント・エンジニアリング業界の主な仕事

・営業
プラント建設案件を見つけてくるほか、顧客企業との折衝や契約などを行う。

・資材調達/購買
プラント建設に必要な機器や素材を、世界中から調達する。

・プロジェクトマネジメント
建設プロジェクトのスケジュールやコスト、人材、品質などを管理する。

・設計
機器や配管など、各専門設備の詳細設計をする仕事と、プラント全体の設計を担当する仕事に分かれている。

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プラント・エンジニアリング業界の企業情報

※原稿作成期間は2022年12⽉28⽇〜2023年2⽉28⽇です。

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