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不動産業界

業界の現状と展望

住みたい人と売りたい人、貸したい人をつなぐ

住みたい人と売りたい人、貸したい人をつなぐ

不動産業界では、商業施設、オフィス、個人住宅など、さまざまな建物や土地を取り扱い、開発、販売、賃貸、仲介、管理といった業務を行っている。
開発ではデベロッパーと呼ばれる事業者が、マンションや商業施設の企画から土地の取得、資金の確保などを、販売、賃貸、仲介では、建物に住みたい人(または利用したい人)と売りたい人(または貸したい人)をつなぐ仕事が中心となる。また、管理では建物の設備管理やテナントの誘致、賃料の回収やトラブル対応といった業務を行っている。

価格上昇が続く新築マンション。中古市場も活況に

マンションに関しては、事業用地は高止まりし、建築作業員も不足気味。原材料価格上昇の影響も大きい。そのため、新築で販売されるマンション価格は値上がりを続けている。特に供給戸数を大幅に増やすことが難しい大都市圏ではこうした傾向が顕著だ。かつてのような相続税対策のためのタワーマンション購入や、外国人による爆買いはなりを潜めているが、都心の高級物件の人気は引き続き高く、郊外の駅近マンションも高止まりの傾向が見える。また、不動産経済研究所の発表によれば、2022年1年間に首都圏で発売された新築マンション1戸当たりの平均価格は、前年比0.8%増の6,288万円で、2年連続で過去最高を上回った。

そのため、これまでのマンション取得層は中古マンションや賃貸住宅、建売住宅に流れており、中古価格も底堅い。実際に首都圏では、すでに中古成約件数が新築販売戸数を上回っており、その差はさらに拡がっていくと見られている。
ただし、2022年から欧米の中央銀行は大幅に金利を引き上げている。円安がさらに続くようであれば、割安とみた海外からの投資マネー導入の背中を押すことになりそうだ。都心の高級物件だけでなく、地方の人気観光地にある土地や物件に注目している外資も多い。

現在の日本のマンションオーナーは変動金利で借りている人が多いと言われており、日本銀行の金利政策によっては、銀行への返済額が増える可能性もあり、不動産業界にとっては、金利と為替の両面を注視する必要がありそうだ。
なお、国立社会保障・人口問題研究所によれば、日本の総世帯数は2015年の5,333万世帯から増加し、2023年の5,419万世帯でピークを迎えるが、その後は減少に転じ、2040年には5,076万世帯まで減少すると推計している(2023年問題)。人の流入が多い大都市圏では、大きな影響はないかもしれないが、地方では空き家が増加する可能性がありそうだ。

中古住宅・リフォーム住宅の補助制度

新築住宅は、資材価格や人件費の上昇、用地取得競争の激化などもあり、価格上昇が避けられない状況。対する中古住宅の魅力は、その差が縮小傾向にあるものの新築住宅と比べて価格が安いこと。ただし、耐震性断熱性能などの性能や機能面での見劣り、見た目の古さで敬遠している人がいるのも事実だ。

しかし、近年は中古住宅や住宅のリフォームにかかわる補助金・減税・優遇制度が充実している。こうした制度を有効活用して中古物件の購入を検討する人も増えている。

2023年問題と各国の中央銀行の金利政策の影響を注視する時期に

コロナ禍におけるテレワークの浸透や働き方そのものの変換もあり、大手企業でも都心のオフィスから郊外のオフィスへ移転した企業もあった。
ただし大手企業の場合、都心のオフィスの整理・売却は、経営の効率化と資金繰りの確保が主目的。「セールアンドリースバック」という手法を利用し、自社物件を売却した後に賃貸契約を締結し、オフィスを借り戻すというケースが一般的だ。そのため、本社売却のニュースをうけて、こうした企業が都心から郊外への移転に一気に舵をきったと考えるのは早計だ。
都心の大型ビルへの需要は高い一方で、そうでない物件もあり、物件ごとの人気が二極化していくという声もある。事実、テレワークの導入で都市部のオフィス需要は減少している。三鬼商事の調べによれば、2022年の東京での空室率は約6.4%と、需給の目安とされる5%を上回っており(空室率が5%を下回ると賃料が上がりやすい)、平均賃料も下落傾向にある。さらに、2023年は、東京都心で高層のオフィスビルの大量供給が待ち受けており(2023年問題)、さらに空室率が上がると指摘する専門家もいる。

一方で、いずれ需要は回復するという声も多く、急拡大しているEC需要を支える物流施設や、景気変動に比較的強いと言われる賃貸マンションへの投資、アフターコロナを見据えたホテルや商業施設への先回り投資も見られる。ただし、すでに海外では金融緩和から金融引き締めへシフトしており、FRB(連邦準備理事会)ECB(欧州中央銀行)の金融政策や、金利や為替の変動、経済データには注視が必要だ。

業界関連⽤語

デベロッパー

大型マンションやオフィスビル、商業施設などを含めた大規模な都市開発や、宅地開発リゾート開発などを、事業者として手がける不動産会社を指す。実際の建設作業はゼネコンなどの大手建設会社に発注するが、大規模開発事業では、デベロッパーとゼネコンが共同事業者として企画や開発を進めることも多い。

プロパティーマネジメント(Property Management)

土地や建物などの不動産に関する管理や最適化を行う業務のことをいう。具体的には建物の物理的な管理・維持、テナントや賃借人の誘致・交渉、賃料の請求・回収、トラブル時の対応などがある。 十分なメンテナンスを怠ると、経年変化で設備の陳腐化や資産価値の下落をもたらすことになる。そのため資産価値の向上には、最新のIT化への対応や、さらなる防災対策などを加えた、適切なプロパティーマネジメントが求められている。

空中権

土地の上空にある空間を利用する権利または未使用の容積率(敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合)を移転する権利のこと。東京駅の復元工事に要した資金500億円は、この空中権を周囲に移転・売却することで得たとして話題になった。
さらに、第45代アメリカ大統領になったドナルド・トランプ氏は、ニューヨーク5番街にあるティファニー本店の空中権を購入することで、隣接する58階建てのトランプタワーからの眺望を確保したというのは有名な話。

J-REIT(ジェイ・リート)

J-Real Estate Investment Trustの略語で、「日本版不動産投資信託」のこと。2001年スタート。投資家から集めたお金を、投資会社が分散して複数の不動産に投資し、その運用から得られる賃料収入などの収益が投資家に還元される仕組み。当初はオフィスビル主体だったが、次第に商業施設や店舗、住宅などへと多様化している。
2001年スタート時のJ-REITの時価総額は2,216億円(12月末時点)、2022年12月末時点での銘柄数は61、時価総額は15兆8,370億円となっている。

スーパーシティー構想

AIやビッグデータなどの最新技術を積極的に活用し、暮らしやすさやビジネスのしやすさにおいても世界最先端を行く、「まるごと未来都市」の実現を目指す取組み。国家戦略特区として様々な規制が緩和され、交通や医療、通信、教育、エネルギー、金融など種々の分野で新たなビジネスやサービスの登場が期待される。不動産業界のみならず、多様な業種から多くの企業の参画が予定されている。

キャップレート

不動産などの資産価格と資産から得られる純利益の比率で、不動産の収益性を算出するときに用いられる。還元利回り収益還元率とも呼ばれる。不動産の年間純収益(家賃収入から管理費や修繕費などの経費を差し引いたもの)を不動産価格で除した率のこと。

キャップレート
(%)= 1年間の純収益(家賃収入-経費など) ÷ 不動産価格

立地や築年数、間取りなどの条件によって変わるが、一般的に賃貸用住宅の場合は5~8%、事業用なら7~10%程度が目安とされている。例えば、年間で60万円の純収益が見込める物件で、不動産価格が1200万円の場合、60万円÷1200万円=0.05(5%)で、キャップレートは5%となる。逆に、キャップレートが5%で年間の純収益が60万であれば、60万円÷0.05=1200万円となり、不動産価格が1200万円なら適正価格と言える。もちろん、不動産価格が安く、純収益が高いほどキャップレートは高くなり、優良物件と言える。

どんな仕事があるの︖

不動産業界の主な仕事

・分譲営業
不動産を買いたい人に向けて、商品の魅力を紹介するほか、契約のための調整・交渉を行う。
モデルルームやチラシなどからの反響型営業が中心。

・仲介営業
不動産を借りたい人に向けて、ニーズに合う物件を紹介したり、貸したい人との条件交渉を代行したりする。

・土地の仕入
商業ビルや分譲マンションなどを建設するための土地を調査・分析し、土地所有者から土地を仕入れる。

・プロパティーマネジメント
ビルや住宅を1つの財産と考え、テナントの募集から設備メンテナンスまで、資産価値を高めるためのプランを練って、運営を管理する。

・マンション管理
賃貸・分譲マンションが快適、安全であるように見守り、管理をする。管理組合の運営補助や管理費などの調整・交渉なども担当する。

・管理技術
マンションなどの建物設備点検や修繕計画立案など、技術面での管理を担当する。

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不動産業界の企業情報

※原稿作成期間は2022年12⽉28⽇〜2023年2⽉28⽇です。

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