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ホテル・旅行業界

業界の現状と展望

急増する宿泊特化型ホテル

急増する宿泊特化型ホテル

ホテルは、宿泊はもちろんレストランやバーなどでの飲食、結婚式や宴会の開催など、さまざまなサービスを提供し、それによって収益を上げている。最近はホテルメイドのパンやお菓子、アメニティーグッズなども人気が高い。こうしたフルサービスホテルに対し、宴会場を持たず宿泊に特化したサービスを提供するいわゆるビジネスホテルの新規開業が、インバウンド需要の拡大に伴って増加した。

ホテル業界は、ホテルの運営サービスと、土地・建物の開発投資という2つの側面がある。ホテル施設を自ら所有しサービスを提供する帝国ホテルのようなケースは、いまでは少数派といえる。
近年のホテル施設は、投資法人や不動産会社、鉄道会社などが所有し、ホテルの運営を専門業者が行うケースが増えている。日本に進出してくる海外ブランドホテルなどではこういったケースが多い。

宿泊プランの拡充で需要の取り込みを狙う。一部ではコロナ後を見据えた積極投資も

観光庁の「宿泊旅行統計調査」によれば、2022年1月1日時点の宿泊業を営むホテル、旅館、簡易宿所、会社・団体の宿泊所などの施設数は6万2,989施設。ただし従業者数が100人以上の大型の宿泊施設は1,079施設で全体の1.7%に過ぎず、10人未満の宿泊施設は4万9,400施設と全体の78.4%を占めている。

2019年までは、中国や東南アジアからの訪日客が増加したこともありホテル業界は活況、稼働率も高かった。都心を中心に外資系ホテルの新規参入も相次ぎ、国内の老舗ホテルも全面改装を行うなど差別化を図っていた。さらに民泊も増加傾向にあり、宿泊施設間の競争に拍車がかかっていた。

しかし、コロナ禍で観光需要や出張需要が大きく落ち込み、宿泊施設全体の稼働率が12.9%まで下落した月もあった。その後は、GoToトラベルキャンペーンなどの実施もあって稼働率はアップ。キャンペーンの終了に伴って再び下落したが、政府の全国旅行支援が後押しとなって稼働率は徐々に回復しつつある。
また、2022年10月に入国者に対する水際対策が大幅に緩和され、海外からの来訪者が増加した。日本政府観光局(JNTO)の資料によれば、9月の訪日外国人数は20万6,641人だったが、10月は49万8,646人、11月は93万4,500人、12月は137万人と月を重ねるごとに増加し、年間では383万1,900人になったのは、明るい話題だ。ただし、年間で3,188万2,049人の訪日外国人数がいたコロナ前の2019年と比べると12%程度なので、さらなる増加を期待したい。
ホテル業界各社はこれまでも、コロナ禍における収益確保を目指して、国内観光旅行客やマイクロツーリズム客の獲得に注力するなど工夫を凝らしている。また、長期滞在プランを提供する宿泊施設も増えており、帝国ホテルが2021年2月に発表した、サービスアパートメントとして月額36万円から滞在できるプランは話題となった。
サービス面での工夫や充実で差別化を図るホテルも多く、多種多様なイベントやプランを繰り出すことで、需要の取り込みを目指している。一方で、長引く需要低迷で人員を整理したホテルもあり、回復しつつある需要を十分に取り込めないことを懸念する声もある。
近年は、コロナ禍にあっても、外出自粛や営業自粛といった厳しい対策をとることもなくなっており、ホテル需要が再び盛り上がるとする見方は強く、買収や再編も含めて攻めの投資に積極的な企業もある。

旅行予約はインターネットが主流に

旅行予約はインターネットが主流に

旅行業界は、交通、宿泊など旅行に関する商品を仲介あるいは企画して販売する。消費者のニーズやトレンドを読み取り、航空座席やホテル、現地での観光などを組み立てて、パッケージツアーを企画する。
そのツアーを仕入れて消費者に販売するのが旅行代理店だ。旅行会社の多くは旅行代理店の機能も持っている。
鉄道会社や航空会社、バス会社などが代理店業を行っているケースもある。

最近はインターネットでの旅行予約が主流になりつつあり、老舗旅行会社も小規模店舗を減らし、その分ネット販売や大規模店での販売に力を注ぐなどして、収益率アップを図っている。近年はパッケージツアーでなく、個人手配で旅行する人も増えており、老舗旅行会社とネット旅行会社だけでなく、ネット旅行会社間の競争も激しい。

現在と将来を見据えた対応が求められる旅行業界

日本政府観光局(JNTO)の推計によると、水際対策の大幅緩和もあり、2022年の訪日外国人数は383万1,900人に増加、伸び率は1,458.6%増となった。国別では、韓国が101万2,700人と最も多く、台湾(33万1,100人)、アメリカ(32万3,500人)、ベトナム(28万4,100人)、香港(26万9,300人)と続いている。国内旅行は、政府の施策もあって順調に伸びており、旅行会社にもようやく光明が見えてきた。国内外を旅行したいと考える人は非常に多く、社会環境が許せば旅行市場の回復は明らかなだけに、サイコロの目で旅の行き先が決まる旅行商品や、特定の趣味や目的など、テーマに沿うことで顧客ニーズをつかむユニークな旅行商品の開発に余念がない。
旅行の質を高めることで満足度と客単価を上げる、といった新たな旅行商品開発に力を入れる会社もあれば、企業や自治体を対象にしたソリューション事業(これまでのノウハウやデータの蓄積を生かして、クライアントの要望や悩みに応じた問題解決策を提案する)を新たな柱として事業展開する会社もある。
各社は海外拠点、国内店舗、役員報酬、人員などの削減に加えて、デジタル化による抜本的な構造改革に乗り出したり、事業モデルの転換や新規ビジネスへの展開をしたりするなど、現在と将来を見据えた対応に注力している。

業界関連⽤語

FIT:Foreign Independent Tour

団体旅行パッケージ旅行ではなく、個人で海外旅行に行くこと。個人手配旅行とも言われる。海外観光旅行が自由化された1964年からしばらくは、団体旅行やパッケージ旅行で海外に行くことがほとんどだったが、海外旅行経験者が増えるにつれて旅行目的も多様化。格安海外航空券の登場もあり、一般的になってきた。近年は、ネットで航空券やホテル、レストラン、送迎などが手軽に予約できることもあり、FITで旅行する人が増えている。

マイクロツーリズム

自宅から1時間程度を目安とする、同一都道府県や近隣の都道府県など近場への旅行のこと。地元の魅力をこれまであまり興味を示さなかった人たちに知ってもらえる、感染が拡大している地域を避けながら旅行ができるなどの理由から、コロナ禍において新しい旅行の形として注目されている。

オーベルジュ

フランスで発祥した、郊外や地方にある宿泊施設を備えたレストランを指す。都会の喧騒から離れ、その土地で生産された野菜、肉、魚介類などの新鮮な食材を使った料理が味わえることが特長。ホテルとの違いは、レストラン主体で営業している点が挙げられる。

Airbnb(エアビーアンドビー)

Airbnb(エアビーアンドビー)は宿泊施設を貸し出す人向けのWEBサイトを運営している。
外国人訪日客の増加で宿泊施設が不足していることや、空き部屋を活用し収入を得られるとあって、日本でも登録物件数は増加の一途にある。

ただし、分譲マンションでは、見知らぬ旅行客が出入りすることで所有者同士が対立したり、賃貸物件をAirbnbに登録したりするトラブルも発生している。

ハラール認証

インドネシアやマレーシアなどはイスラム教徒が多く、来日にはイスラム教の戒律に対応した食事やサービスの提供が必要で、その代表が、「ハラール」。

旅行客の積極的受入には、食事やサービスなどがイスラム法の基準に合致している証明であるハラール(イスラム法において合法なもののこと)認証が必要。ハラール認証には、禁止されている食材が含まれていないかだけでなく、食材の保存方法や、加工、調理の過程が正規の手順に従ったものであるかどうかも重要となる。

OTA

OTAは、Online Travel Agentの略で、実店舗を持たずインターネット上だけで取引を行う旅行会社のこと。航空券や国内外の宿泊施設の手配、宿泊と航空券をセットにしたダイナミックパッケージ、旅行保険商品などを取り扱っている。問い合わせにはメールやチャットで対応、24時間いつでも検索や閲覧ができ、ネット上で決済まで完結するので、利便性を求める顧客の支持を集めている。

どんな仕事があるの︖

ホテル業界の主な仕事

・ホテルクローク
宿泊予約の受付、チェックインからチェックアウトまでに生じるさまざまな手続きやサービスを行う。ホテルの利用客への各種案内も担当。

・宿泊予約
電話やメールなどでの宿泊予約に対応。空室状況や料金を確認し、受け付ける。

・コンシェルジュ
レストランの案内から観劇・映画の予約まで、お客さまの質問やリクエストすべてに答える案内役。さまざまな情報に精通することが求められる。

・バンケット
日本のホテルにおいて大きな売上を占める「宴会」を仕切る。

・企画
季節ごとのイベントやディナーショー、ブライダルプランなどのイベントを企画し、集客を図る。

旅行業界の主な仕事

・カウンターセールス
来店した顧客にパッケージツアーや航空券などを営業・販売する。顧客のニーズを読み取り、プランを提案するなどコンサルティング能力が求められる。

・団体セールス
企業や学校、各種団体など大口の顧客を訪れ、旅行商品を営業する。顧客の要望に合わせて企画を立て、ツアーの場合は添乗も行うなど、その旅行商品に関するすべての業務に携わる。

・企画
旅行商品となるパッケージツアーなどを企画する。売れる企画を立てるためには、アイデアはもとよりマーケティング能力も必要。

・仕入れ
航空券、鉄道など交通機関の座席やホテルの部屋を仕入れる。仕入れた座席・ホテルから企画が立てられることもあり、企画セクションとの連携が大切。

・手配
現地での観光バスや食事、ガイドなどを手配する。旅行には日程変更やキャンセルがつきものなので、状況に合わせて臨機応変に対応しなければならない。

・ツアーコンダクター
パッケージツアーに同行し、旅行者の引率やスケジュール管理、時にはガイドも行う。最近は専門の派遣会社に登録して仕事をするケースも増えている。また、外国語を話せる方が有利なことも多い。海外添乗の場合、資格が必要。

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ホテル・旅行業界の企業情報

※原稿作成期間は2022年12⽉28⽇〜2023年2⽉28⽇です。

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