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人材サービス(派遣・紹介)業界

業界の現状と展望

企業の求めに応じて必要な人材を派遣、紹介する

企業の求めに応じて必要な人材を派遣、紹介する

人材サービス業界では、「仕事量が急に増えたので人材を確保したい」、「新規事業の立ち上げに当たって、必要な能力を持った人を何人か集めたい」といった企業の要望を聞き、最適な人材を派遣・紹介・斡旋している。
また、求める人材を効率的に採用したい企業と、自分に合った仕事や働き方を探す人、双方のニーズを聞きながら、納得いく出会いをサポートすることも人材サービスの仕事だ。

具体的には、求める人材を必要に応じて派遣する「人材派遣」や、企業の業務の一部を丸ごと請け負う「アウトソーシング(業務請負)」、即戦力となる人材を紹介・斡旋する「人材紹介」などがある。

大手企業ではこうしたサービスを総合的に手がけるが、中小企業では、技術系派遣やアルバイト求人など、得意な業種や職種に絞ってサービスを提供している会社が多い。

経済活動の再開につれて、人材不足感が再び広まる

矢野経済研究所の調査によれば、2021年度の人材ビジネス主要3業界(人材派遣業人材紹介業再就職支援業)の売上高は、前年度比6.9%増の9兆5,281億円と増加。人材派遣業市場は同6.6%増の9兆2,000億円、人材紹介業市場が同17.5%増の2,960億円、再就職支援業市場は同5.2%増の321億円と、3業種とも増加した。
コロナ禍で、各社とも新規採用に慎重だったが、経済活動の回復とともに人材需要が高まっている。また、人材派遣市場では、同一労働同一賃金制度による派遣スタッフ一人当たりの請求単価上昇もあった。人材紹介業市場でも、人材需要の高まりやIT人材を扱うサービスが堅調だったこともあり、伸び率も大きかった。2020年度は、早期退職希望退職を実施した企業が増えたことで、大きく拡大した再就職支援事業だが、売上こそ伸びたものの、経済活動が回復するにつれて、成長率は鈍化した。

矢野経済研究所では、2022年度の人材ビジネス主要3業界の売上高は、前年度比6.6%増の10兆1,567億円とプラス成長を見込んでいる。足元では、人材採用ニーズは回復基調にあり、人材派遣業や人材紹介業は、引き続き市場拡大を見込んでいる。一方で、再就職支援業の売上は減少すると見ている。
多くの産業で人材不足が深刻化している近年、人材ビジネスは活況を呈しており、特に若年層の確保は事業者間で熾烈を極めている。一方で需要に対応できる派遣スタッフの確保は難しくなっており、業務未経験者を育成した上で派遣する、「育成型派遣」を強化する動きもある。

業界関連⽤語

ハローワーク

厚生労働省が管轄する機関で、かつては公共職業安定所といわれた(職安といわれることが多かった)。求職者には就職や転職の相談・指導、職業紹介、雇用保険の受給手続きなどを行い、雇用主には雇用保険、助成金や補助金の申請などのサービスを提供している。ただし、原則的に民間の職業紹介会社のように求職者から手数料・紹介料を徴収することは禁じられている。

非正規雇用者

そもそも正規雇用者とは、「雇用期間の定めがない」、「労働時間がフルタイム」、さらに「雇用主と直接雇用契約を結ぶ」などの条件を満たした雇用者を指す。こうした条件を満たさないパートタイマーや派遣労働者、雇用期間が定められた雇用者などを非正規雇用者と呼んでいる。

総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果」によると、2022年平均の正規の職員・従業員は3,597万人と8年連続の増加、非正規の職員・従業員は2,101万人と3年ぶりに増加した。役員を除く雇用者に占める割合は36.9%と前年比0.2ポイント増となっている。

紹介予定派遣

正社員や契約社員といった直接雇用を前提に、まずは一定期間(3カ月から6カ月程度)派遣の形で就業。期間終了後に、自身と企業双方の希望が一致すれば直接雇用に切り替わるシステム。紹介予定派遣では、派遣会社から求人を紹介されるので就職活動の手間が省けることや、職場の雰囲気が実際につかめるといったメリットがある。

シルバー人材

人材の確保がますます困難になり人手不足が予測される中、不足分を埋める労働力として期待されているのがシルバー人材といわれるシニア層。65歳以上の高齢者になっても働きたいと考える人も多く、近年はシルバー人材の派遣や紹介を中心とする事業者も増えている。

同一労働同一賃金

正規・非正規という雇用形態にかかわらず、同じ仕事なら同水準の賃金を支払うという考え方で、2020年4月(中小企業は2021年4月)から適用された。直接的な罰則規定はないが、非正規雇用労働者の賃金が低かったり、通勤交通費がもらえなかったりなどの待遇差の解消が期待される。

RPA

Robotic Process Automationの略で、これまで人間が手で行ってきた作業を、人間に代わってコンピュータやロボットなどが行う、作業プロセス自動化技術のこと。ロボットは指定された操作をミスなく高速で処理できるため、業務の効率化や生産性の向上が期待でき、RPAの導入を図る自治体や企業が増えている。ただし、現状ではRPAで自動化できるのは定型化された作業が中心で、業務プロセス全体に占める割合はそれほど多くない。そのため、機械学習などAI技術の導入で、非定型作業を自動化できるRPAや、作業プロセスの分析、改善、意思決定までを自動化できる自律型RPAの開発が求められている。

ジョブ型雇用

日本企業の多くは、採用時に職種や勤務先を限定せずに、総合職として採用するメンバーシップ型雇用が主流。長く勤めて退職金をもらう給与体系や、異動を通じて職種や仕事内容を変えることで適性を見極める人事・研修制度を取り入れている。一方で、ジョブ型雇用とは、特定の職務内容に適したスキルや経験を持った人を採用する雇用方法のこと。
年齢や学歴と関係なく、企業が求めるスキルの有無が評価ポイント。給与は、担当した業務であげた成果に応じて決められることが多い。これまでのメンバーシップ型雇用では、幅広い知識や経験は得られるが、スペシャリストとしての専門職人材が育ちにくい、変化や進化のスピードが早い現代にそぐわないなどの考え方もあり、ジョブ型雇用を積極的に導入する企業が増えている。

どんな仕事があるの︖

人材サービス(派遣・紹介)業界の主な仕事

・企画営業
顧客企業の人材ニーズをヒアリングし、人材ソリューションを企画・提案する。また顧客企業で働く派遣スタッフのフォローも行う。

・コーディネーター
企業の求める条件と派遣登録スタッフの希望条件を引き合わせ、マッチングを行う。

・キャリアコンサルタント
転職希望者に職業紹介を行う際、スキルや希望条件を聞き、分析したうえで、その人物にマッチした求人情報を紹介。採用までサポートする。

・ジョブカウンセラー
派遣先でのトラブルの相談に乗るなど、派遣企業での就業中の派遣スタッフをサポートする。

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※原稿作成期間は2022年12⽉28⽇〜2023年2⽉28⽇です。

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