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ゲームソフト業界

業界の現状と展望

拡大を続けるゲーム市場。国内ではオンラインプラットフォームゲームが市場を牽引

ゲームソフト業界がソフトの開発・販売にかかわるのは、大きく分けて、業務用ゲーム(アーケードゲーム)、家庭用ゲーム(コンシューマーゲーム)、スマートフォン用ゲーム(デジタル配信オンラインプラットフォーム)となる。また、家庭用ゲーム市場では、任天堂、ソニーグループ、マイクロソフトの3社は、ゲームソフトだけでなく、ハードと呼ばれるゲーム機器の開発・販売も行っている。
業務用ゲーム市場については、ゲームセンターの店舗数が減少していることや、スマートフォンなどの普及で余暇の楽しみ方が変わってきたこともあり、縮小傾向にある。

2022年8月に発刊された「ファミ通ゲーム白書2022」によれば、2021年の世界ゲームコンテンツ市場は前年比6%増の21兆8,927億円となった。地域別では、東アジアが全体の41.6%を占める8兆8,231億円と最も大きく、次いで北米が29.1%の6兆4,060億円、欧州が17.7%の4兆634億円となっている。
国内のゲーム市場全体の規模は、前年比99.2%とわずかにマイナスとなったが、2兆円の大台はキープした。2020年は、コロナ禍による巣篭もり需要や、記録的なセールスとなった「あつまれ どうぶつの森」の影響もあり、前年比20%増と大きく成長したことを考えれば大健闘と言えよう。また、オンラインプラットフォーム市場(スマートフォンやタブレット、PC向けに提供されているゲームアプリなど)も、微増ながら1兆6,414億円となった。オンラインプラットフォーム市場の多くはゲームアプリ市場で、「ウマ娘プリティーダービー」の大ヒットもあり、1兆3,001億円と全体の79%を占めている。また、2020年に初めて5,000万人を上回った国内のゲーム人口は、昨年からの流れを引き継ぐように、5,535万人まで増加している。
ゲーム人口が大きく増えたのは、前年が微減だったスマホのアプリゲームユーザーが持ち直したためで、前年比6.4%増となった。PCゲームユーザーも4.8%増加し、PCでのみプレーする人口も約20%増と大きく伸びている。PCゲームユーザーの増加は、eスポーツ系のタイトルや、PC、スマホ、タブレットなど複数のデバイスで遊べる、マルチデバイス対応のタイトルが人気を集めたことも一因と見られる。

2020年末には、ソニーがPS5を、マイクロソフトがXbox Series Xを新たに投入。ハードを手がける3社は、オンラインによる継続課金といったビジネスでも実績を上げている。先の白書でも、家庭用ソフト販売のうち、オンライン市場は上昇している。加えて、グーグルやアマゾンといったアメリカの巨大企業もクラウドゲームに参入している。
さらに、メタバースと言われるインターネット上の仮想空間を使ったゲームの登場も期待されている。任天堂は、ゲーム開発会社の巨額買収に積極的というイメージはないが、近年はCG映像製作の中堅会社ダイナモピクチャーズの全株式を取得し子会社化。また、DeNAとの合弁会社となる、ニンテンドーシステムズを設立するなどの動きを見せている。一方、マイクロソフトは大手ゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザードを、全額現金の687億ドルで買収することを発表した。ソニーは、かつてマイクロソフト傘下でXboxのキラータイトルとして有名な「Halo」を開発したバンジー(現在はマイクロソフトから独立)を36億ドルで買収するなど、2022年に入って業界には大きなニュースが流れている。中国政府による未成年のゲーム依存防止対策という不安要因もあるが、世界的にはさらなる市場の盛り上がりが期待できそうだ。

eスポーツの現状

近年マスコミで目にすることが多くなったeスポーツエレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略称で、コンピューターゲームやビデオゲームを使ったスポーツ競技のこと。実際に競技でプレーされているのは、格闘ゲーム、スポーツゲーム、RTS(リアルタイムストラテジー)、MOBA(マルチプレーヤーオンラインバトルアリーナ)、トレーディングカード、パズル、シューティングの7種類が主流だ。国内でも、市場規模は年々増加しており、一般社団法人日本eスポーツ連合によれば、2022年に116億1,400万円だった市場規模は、2023年には129億4,700万円、2025年には179億6,800万円に拡大すると推定している。eスポーツというと若者向けというイメージが強いが、シニア層への拡大も期待されている。

海外ではeスポーツをスポーツとして、プロゲーマーをスポーツ選手として認知している国が多いだけでなく、賞金総額でも注目されており、賞金総額が1億円を超える大会も多い。2019年8月に中国で開催された「The International 2019」の賞金総額は3,433万ドル、優勝チームは1,562万ドルを獲得した。国内での高額賞金大会は景品表示法風俗営業法刑法に抵触するとされ、日本のeスポーツでは高額賞金が出せないという事態に陥っていた。しかし、「プロ選手同士の競技であること」や「賞金だけではなく仕事の報酬として受け取ること」など、一定の条件の下で高額賞金を出せる大会開催が可能となり、賞金総額3億円という大会も開催されている。

eスポーツは、2018年のジャカルタアジア競技大会で公開競技として採用されたこともあり、近年マスコミで目にする機会も増え、徐々に認知度も上がりつつある。2025年開催のパリオリンピックでの採用は見送られたが、2023年の中国・杭州アジア競技大会ではメダル種目となることも発表されている(当初は2022年開催予定だったが、コロナ禍で2023年に延期された)。いまでは、世界の名だたる企業がイベントや選手のスポンサーに名乗りをあげており、出遅れた感のある日本だが、巻き返しに期待したい。

業界関連⽤語

MOBA

Multiplayer online battle arena(マルチプレーヤーオンラインバトルアリーナ)の略で、司令官として攻撃や補給など複数のタスクを同時に処理する、RTS(Real-time Strategy:リアルタイムストラテジー)から派生した、比較的新しいジャンルのゲーム。eスポーツの大会も多く、人気が高まっている。5対5や3対3などのチームに分かれ、プレーヤーは一つずつキャラクターを操作。チームで協力しながら、相手の拠点を攻撃する。RTSでは1人が複数のキャラクターを操作するが、MOBAでは参加者がそれぞれのキャラクターを操作。個々のスキルに加えて、チームとしての連携、ゲーム展開に応じた臨機応変な対応が求められるため、プレーヤーも観客も楽しめるゲームと言われている。

ゲームクリエーター

プロデューサー、ディレクター、プログラマー、シナリオライター、サウンドクリエイターなど、ゲームの企画・制作にかかわる、さまざまな人を総称してこう呼ぶ。
かつては、1人で企画立案からプログラミンググラフィックデザインなどを行っていたこともあったが、近年は、製作作業は分業化・専門化している。ディレクターやプロデューサーが企画立ち上げから完成まで立会い、分業の業務を統括。アドバイスや、最終判断などを任されている。

ネイティブアプリ

スマートフォンなどの端末機にある演算装置が直接データ処理を行うタイプのアプリのことで、アプリマーケットを通じてダウンロードする。ゲームの表現力や操作性が高く、通信環境の制約を受けにくいといわれている。
他方、それぞれの企業が運営するゲームポータルのページから遊ぶことができるゲームは、ブラウザゲームSNSゲームといわれる。

MMORPG

Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略で、大規模多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲームと訳される。
MMORPGでは、ゲーム会社が用意した専用サーバーにあるインターネット上の仮想空間にアクセス、同時に数千人といった多くの人が同じ世界を共有しながらオンラインで遊ぶことができる。
他のプレーヤーとの会話や情報交換、また、ゲーム内仮想通貨(バーチャルマネー)を使って装備を充実させるなどの要素もある。

クロスプラットフォームゲーム

かつての家庭用ゲーム市場では、それぞれのハードごとに根強いファンがおり、いかに有力な人気タイトルを自社のハード陣営に取込めるかを競い合ってきた。一方で、複数のハードでソフトを供給したい会社もあり、家庭用ゲーム市場では、こうした戦略をマルチプラットフォームと呼んでいた。近年は、異なるハードを使っているユーザー同士がオンラインで対戦できるクロスプレイや、異なるハード間でのセーブデータを共有できるクロスセーブなど、ハードの垣根を越えて連携できるゲームも開発されている。こうした機能を持つゲームをクロスプラットフォームゲームと呼んでいる。

Play to Earn

文字通り遊んで稼ぐことが目的のゲームで、P2Eと略して呼ばれることもある。主に仮想通貨ブロックチェーン技術を使ったオンラインゲームをしながら、仮想通貨を稼ぐことになる。稼ぐためには、ゲーム内で課せられたミッションをクリアしたり、ゲーム内で獲得したNFTアイテムキャラクターを販売することなどで得られる。リスクとしては、ゲームによって異なるが初期費用が数万円から数十万円程度かかることや、稼いだ仮想通貨の価値が変動しやすいこと、さらに、ポンジスキーム(出資者から得た資金を運用せずに初期の出資者に配当し、あたかも資金運用によって利益が出ていると装う投資詐欺)の可能性などが指摘されている。

どんな仕事があるの︖

ゲームソフト業界の主な仕事

・シナリオライター
ゲームのストーリーや構成などを考える。

・グラフィックデザイナー
ゲームに登場するキャラクターやアイテム、背景などを描く。

・サウンドクリエイター
ゲームに欠かせない音楽や効果音などを作成する。主に曲作りを行うコンポーザーと、コンポーザーが作った曲をゲーム上で再生できるようにするプログラマーの仕事がある。

・プログラマー
プログラミング言語を使いこなし、実際にキャラクターなどをゲーム画面上で動かすシステムを開発する。

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ゲームソフト業界の企業情報

※原稿作成期間は2022年12⽉28⽇〜2023年2⽉28⽇です。

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